サクッと読める怖い話

あいれん

episode.4 可愛い甥っ子(脚本)

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〇明るいリビング
まこと「お、いらっしゃい! よく来たな裕太。それに兄ちゃんも!」
慎二「なんだぁ? 俺はついでかよ!」
  裕太は俺の兄貴である慎二の息子。つまり、俺の甥だ。
裕太「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
  でも、なんかぼーっとしてる気がする。
  俺の事をじっと見つめて、自分の頭をポンポンと触っている。
裕太「おじちゃん久しぶりー!」
まこと(お、なんだ。いつもの裕太だ)
まこと「おう! 久しぶりだなー! 最後に会ったのいつだっけか?」
裕太「とおくに住んでて中々会えないから・・・3ヶ月ぶりくらいってお父さんが言ってた」
慎二「そうだな・・・ごめんな裕太。この辺りは家賃高いからな」
慎二「父さん、もっと稼いでまことおじちゃんの近くに住めるように頑張るからな」
裕太「ううん、大丈夫! 僕今のおうち気に入ってるよ!」
慎二「お前は・・・本当に良い子だなぁ・・・!」
まこと「えっ、泣いてんのか?」
裕太「さ、おじちゃん、お父さんはほっといて遊ぼ!」
まこと「おう、そうだな! ははっ、そういうとこはお父さんそっくりだな」
まこと「おじちゃんは記憶力に自信あるからな。あれは12年前の6月・・・」
慎二「あーハイハイ! 悪かったな意地悪な兄貴で」
慎二「裕太の優しい性格は、母さんに似てるからな」
裕太「ん? えへへ、そうだね! 僕お母さんに似てるってよく言われるよ!」
まこと「さて裕太、何して遊ぼうか」
裕太「・・・・・・・・・・・・」
まこと「・・・・・・ん? 裕太・・・?」
裕太「にゃんこ・・・! おじちゃん、外に真っ黒なにゃんこがいる!」
まこと「え? お、本当だ! すげー近くを通って行ったな」
裕太「こんな近くで黒い猫見たの初めてかも!」
慎二「そうだな! あんな真っ黒な猫はそうそういるもんじゃないからな」
裕太「ロボットのおもちゃがある! おじちゃん、遊んでいい?」
まこと「ああ、もちろん! 知り合いの息子のおもちゃだったんだけどその子が高校生になったからくれたんだよ」
まこと「持って帰ってもいいぞー!」
裕太「さいこーだよおじちゃん! 僕ロボット好きなんだ!」
慎二「そういや最近、ロボットのアニメをよく見てるよな。まこと、サンキューな」
まこと「いいって事よ。もらい物だし、裕太が喜んでくれると嬉しいしな!」
裕太「・・・・・・・・・・・・」
慎二「・・・ん? 裕太、どうした?」
裕太「レンタルビデオかな? ソファの下に・・・・・・」
まこと「あっ、こんなとこにあったのか!」
まこと「わ、悪い悪い。さっき話してた知り合いがこの間持ってきて、探してたんだ」
裕太「るいはともをよぶってやつかな? お父さんがこの前レンタルしたビデオもね、ベッドの下に・・・」
慎二「わー! それ以上言わなくていい!」
慎二「それより、類は友を呼ぶなんて難しい言葉よく知ってるな! 父さんは誇らしいぞ!」
まこと「確かにすごいな! 学校で習ったのか?」
裕太「たまたま本に出てきたんだよ! 意味は分からなかったから、お母さんに聞いて覚えたんだ」
まこと「へぇ、本も好きなんだな! 裕太は将来、賢い大人になりそうだ」
慎二「ふふん、だろ?」
裕太「スマホなってる! お父さんの?」
慎二「おお、会社からだ。ちょっと出てくるわ」
まこと「おう!」
慎二「裕太、いい子にしてるんだぞ」
裕太「けがしないようにちゃんと良い子にしてます!」
まこと「そういやずっと気になってたけど、鼻のとこ怪我したのか? 絆創膏貼ってるが・・・」
裕太「てつぼうやってて怪我したんだ」
まこと「それは痛かったな・・・・・・大丈夫か?」
裕太「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
まこと「裕太?」
裕太「・・・・・・・・・・・・・・・」
  裕太は何かを訴えるような眼差しで俺を見つめた。
  さっきのように、頭をポンポンと叩きながら。
まこと「裕太、一体どうしたんだよ?」
裕太「・・・っ、!!」
まこと「・・・・・・・・・っ!?」
まこと(そういえば裕太は頭の良い子で、なぞなぞやクイズが好きだったな)
まこと(頭を何度もポンポンと叩いている。そして、裕太はもうこれ以上話さない。いや、話せない?)
まこと(なぜだ?)
まこと(・・・“さっきまでの言葉に、意味があるから” なんじゃないか?)
まこと(さっきまでの言葉の頭文字をとれ。そういう事か?)
まこと(裕太の言葉を思い出せ)
  おじちゃん久しぶりー!
  とおくに住んでて中々会えないから・・・3ヶ月ぶりくらいってお父さんが言ってた
  ううん、大丈夫! 僕今のおうち気に入ってるよ!
  さ、おじちゃん! お父さんはほっといて遊ぼ!
  ん? えへへ、そうだね! 僕お母さんに似てるってよく言われるよ!
  にゃんこ・・・! おじちゃん、外に真っ黒なにゃんこがいる!
  こんな近くで黒い猫見たの初めてかも!
  ロボットのおもちゃがある! おじちゃん、遊んでいい?
  さいこーだよおじちゃん! 僕ロボット好きなんだ!
  レンタルビデオかな? ソファの下に・・・・・・
  るいはともをよぶってやつかな? お父さんがこの前レンタルしたビデオもね、ベッドの下に・・・
  たまたま本に出てきたんだよ! 意味は分からなかったから、お母さんに聞いて覚えたんだ
  スマホなってる! お父さんの?
  けがしないようにちゃんと良い子にしてます!
  てつぼうやってて怪我したんだ
  と、言うことは・・・
まこと「頭文字だけとると・・・・・・」
  お と う さ ん に
  こ ロ さ レ る
  た ス け て
  おとうさんに殺される助けて
まこと「・・・・・・なぁ、裕太。 その傷、本当に鉄棒をやっててできたものか?」
裕太「・・・・・・・・・」
  裕太は首を何度も横に振る。
まこと「・・・・・・・・・わかったよ」
慎二「おう、待たせたな!」
まこと「おー兄貴」
まこと「裕太とすぐそこのコンビニ行ってくるわ。なんか酒とかつまみとかも買ってくるか?」
慎二「おお、そうだな。じゃあ、頼むわ!」
慎二「俺は適当にくつろいでるわー」
まこと「テレビとか飲み物とか、好きに観たり飲んだりしてていいぞ〜」
まこと「じゃ、行くか裕太」
裕太「うん!」

〇警察署の入口
まこと「もう少しだ! 頑張れ裕太!」
裕太「う、うん!」
  俺達はコンビニを通り過ぎ、近くにあるこの警察署まで走ってきた。
警察官「どうされました?」
まこと「実は・・・・・・」
  警察官に全てを話した。
  この後、兄貴は逮捕された
  奥さんにも裕太にも日常的に暴力をふるっていて、近所の人の話によると、怒鳴り声もほぼ毎日聞こえていたようだ。
  父親が逮捕されてからは、裕太はお母さんと平和に暮らしている。
  どうか、これからも健やかに過ごして欲しい。

〇川沿いの原っぱ
セレナ「何とも悲しい事件ですね・・・」
セレナ「とても胸が痛くなります。愛を誓ったはずの奥様や我が子を傷つけるなんて・・・」
セレナ「そんな人がいるなんて、私には信じられません」
セレナ「有り得ないような話、ですが・・・」
セレナ「実際に居るのです」
セレナ「暴力をふるう父親、母親、時には子どもが両親にそうする事も・・・」
セレナ「家族もそうでない人達も、傷つけて良い人などこの世に存在しません」
セレナ「暴力と言っても、言葉による暴力もあります」
セレナ「悪口、無視なども精神的な暴力です」
セレナ「裕太さんやお母様のように傷つく人々が減るよう、祈りましょう」

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