episode.2 立ち入り禁止(脚本)
〇山奥のトンネル(閉鎖中)
地元には、立ち入り禁止のトンネルがある。
いわゆる心霊スポットといわれるトンネルと比べると、まあ小綺麗な方だとは思う。
でも、「このトンネルを通ると不幸が降りかかる」って噂があって、実際に通った事ある人は不幸にあったらしい。
交通事故やら、受験の失敗やら、8年付き合ってきた彼女に理由もなくフラれたなど、様々だ。
とある夏の日、私は友人達と肝試しをするスポットを探しに来ていた。
美々子「もーっ、やっぱり立ち入り禁止なんだ! 肝試しに最適だと思ったのに!」
悠「あははっ、まあ仕方ないよ。ずっと立ち入り禁止だもんな」
泰人「でも残念だな。ここって昔、通った人は必ず不幸になってたらしいぜ。 危険だから立ち入り禁止になったんだとか」
美々子「うぅ〜それを聞いてますます入りたくなったよ・・・・・・」
弥生「まあ、仕方ないわよ。他のとこを探しましょ」
悠「そうだね。他にも肝試しできそうなとこはあるし、探してみようか」
________数時間後。
弥生「・・・・・・なかなか見つからないわね」
美々子「うちの地元じゃ無理なのかなぁ・・・・・・。 「あんまりいいとこないかも」って友達に連絡してみるわ」
泰人「まあ、急ぎじゃないんだし、焦らず探そうぜ」
〇山奥のトンネル
美々子「見つからないまま夜になっちゃったねー!」
弥生「ええ。少し残念だわ・・・・・・」
泰人「うおっ!?」
美々子「わ、なになに? どうしたの?」
泰人「ほら、あそこ見てみろよ。立ち入り禁止が無くなってんぞ」
悠「ホントだ!」
美々子「わーい! やったー! ねね、試しに入ってみない?」
泰人「え〜・・・・・・マジかよ・・・・・・」
弥生「美々子は一度言い出したら聞かないからね。行きましょう」
美々子「立ち入り禁止が無くなったってことは、入ってもいいってことじゃない?」
私達はそれぞれ懐中電灯を持ち、真っ暗なトンネルに足を踏み入れた。
美々子「へぇ、こんな感じなんだ! 真っ暗だね!」
悠「これは盛り上がること間違いなしだね。 期待以上だな」
泰人「ああ! んじゃ、今度の肝試しはここで決まりっつー事で・・・・・・」
美々子「あれ。弥生、どうしたの?」
弥生「・・・・・・・・・・・・」
美々子「や、弥生・・・・・・?」
弥生「・・・・・・やっぱり。聞き間違いかと思ったけど、違うわ」
泰人「ん? 何が?」
弥生「・・・・・・「だめ」って言ってる」
悠「だめ? 俺は何も聞こえないけど・・・・・・。 もしかして、心霊現象?」
弥生「わからないわ。けど・・・・・・」
美々子「そういえば、弥生は少し霊感あるんだっけ? どんな感じなの?」
弥生「悲しい・・・・・・子どもも大人もいるわ。男女問わず、ご老人の声も聞こえる」
弥生「「だめ」「暗い」「寂しい」「怖い」「悲しい」「辛い」」
こ っ ち に お い で
美々子「えっ・・・・・・!?」
弥生「・・・・・・「来ないで」「危ない」「逃げて」「走って」「戻って」「今来た道を戻って」「早く」」
弥生「「来る」「早く」「来ちゃう」」
弥生「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
弥生「来た」
泰人「お、おい、これって・・・・・・」
悠「うん・・・・・・」
トンネルの奥の方から、女が歩いてきた。
美々子「走って!!」
〇車内
泰人「はぁっ、はあ・・・・・・なんだよ、アレ」
悠「見えた? 足音がしたと思ったら、奥の方に・・・・・・女の人がいた」
美々子「見たよ! アレ、本物かな? 幽霊って本当に白い服着てるんだ・・・・・・」
「は・・・・・・?」
美々子「えっ・・・・・・?」
泰人「あの女、深緑っぽい色の服着てたじゃねぇか。 腰ぐらいまでの長いボサボサした髪で、よろよろ歩いてて・・・・・・」
悠「いや、俺には真っ赤に見えたよ。懐中電灯で照らしたら、真っ赤な靴とワンピースが見えて、首をカクカクしながらこっちに来てた」
美々子「私が見た人は白い服で、髪の長さは肩ぐらいだけど、前髪も同じくらいあった。ボサボサじゃなくて綺麗に整ってたよ」
美々子「首をずっと傾げてる感じで・・・」
泰人「みんなバラバラって・・・・・・どういう事だ?」
弥生「複数いたのよ。あの場にいた霊達が怖がる奴らが・・・・・・」
美々子「複数・・・・・・!?」
悠「弥生は全部見えたの?」
弥生「・・・・・・ええ」
弥生「白い服の女性、深緑のボサボサの女性、真っ赤な服を着た女性・・・・・・」
弥生「それと、ボロボロの服を着た四つん這いの女性もいたわ」
美々子「四つん這い・・・・・・!? ど、どんな人だったの・・・・・・?」
弥生「茶色・・・・・・というよりは、白い服が茶色くなったような色をしていたわ。 こちらを見て、ニヤリと笑っていた」
泰人「想像しただけで、怖」
弥生「あっ」
美々子「えっ!? ど、どうしたの?」
弥生「・・・・・・」
弥生「大変・・・・・・」
う し ろ を み て
「えっ・・・・・・!!?」
車を運転する弥生の言う通り、後ろを振り返ると、
車の窓から、薄汚れた服の女がニタニタと笑いながらこちらを覗き込んでいた。
〇川沿いの原っぱ
セレナ「「立ち入り禁止」と書かれた場所。あなたの地元にはありますか?」
セレナ「そういう場所には、決して立ち寄らない方がいいですよ」
セレナ「理由もなく立ち入り禁止にする訳がありませんから」
セレナ「考えて見てください。「受験に失敗」「彼女に振られた」などの理由でトンネルが立ち入り禁止になるでしょうか?」
セレナ「たしかに不幸なことですが、全てがトンネルのせいではないかもしれないのに」
セレナ「あのトンネルは以前、死者を多く出したようなのです」
セレナ「長く暗い道で、夜になると前も後ろもわからない暗闇になる」
セレナ「真っ暗な長いトンネルで、戻る道すらもわからなくなって・・・・・・」
セレナ「だから封鎖されていたのでしょうね」
セレナ「4人が見た女性達は、そこに住まう悪霊だったのでしょうか」
セレナ「「立ち入り禁止」はその者達によって外されてしまったのでしょうか」
セレナ「真相はわかりません。神のみぞ知る、というやつです」
セレナ「いいですか? もう一度言います」
セレナ「「立ち入り禁止」の場所に入らないようにしてくださいね」
セレナ「4人が見た霊達は、もしかしたら遊び半分で来た美々子さん達に、怒った幽霊達だったのかもしれません」
セレナ「遊び半分で近づいてはいけませんよ」
白い服で普通の霊が一番怖いですね!!
霊が立ち入り禁止を外したのなら、誘っておいて怒るのも勝手だなと思いましたww
しかし遊び半分で行くのは、やはり気をつけた方がいいですね。
自分が霊になって、今度は誘う番になるかもしれませんしね😅