好きの在処

夏名果純

第15話 取り戻した記憶(脚本)

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夏名果純

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〇ファンシーな部屋
水杉花奈(謙弥と修司との正真正銘、第一回目のデートはどうだったんだろう?)
  花奈はドキドキする胸を押さえ一呼吸置いてから、日記の続きを読み進めていった。

〇黒
  6月8日(土)
  今日は謙弥とデートした。・・・とは言っても、全然デートらしくなかった。

〇ファストフード店の席
水杉花奈(そりゃ「2人とは幼馴染みのままがいい」って言ったのは私だけど・・・)
川崎謙弥「やっぱり、ここのポテトが一番ウマいよな!」
水杉花奈(ここ、たまに放課後、3人で寄るハンバーガーショップだし)

〇レンタルショップの店内
川崎謙弥「ええっと、俺の好きなグループのが入荷されてるはずなんだよ」
水杉花奈(CDも、謙弥の好きなのを見てばっかりだし・・・)

〇ゲームセンター
水杉花奈「ウソ!? ちょっと謙弥、手加減してよ!」
川崎謙弥「手加減してやったとしても、お前、俺に勝てっこないだろー」
水杉花奈(ゲーセンでは、対戦ゲームで容赦ない攻撃・・・ちょっとつまんない)

〇一戸建て
川崎謙弥「今日はすげー遊んだなって・・・花奈? なんかお前、機嫌悪くねぇ?」
水杉花奈「だって・・・」
川崎謙弥「なんだよ?」
水杉花奈「今日は謙弥ばっかり楽しんで、私はあんまり楽しくなかった気がする・・・」
水杉花奈(言っちゃった・・・)
川崎謙弥「! わ、悪い! ごめん!」
水杉花奈「えっ?」
  花奈の言葉に、急に謙弥が焦りだした。
川崎謙弥「デートなんてしたことねぇし、相手は花奈だし、どうしていいかわかんなくて」
川崎謙弥「とりあえずいつもどおりが一番だって張り切ったつもりが・・・結局、俺ばっかり楽しんでた」
川崎謙弥「マジでごめん!」
水杉花奈「謙弥・・・」
水杉花奈(そんな真剣な顔で謝られるなんて・・・)
水杉花奈「私こそ、文句言ったりしてごめんね」
川崎謙弥「いや、花奈は何も謝ることねぇだろ。 楽しいデートになんなくて悪かった」
川崎謙弥「もうちょっとなんかできればよかったんだけどな」
川崎謙弥「あー、修司ってこういうの得意そうだし、俺、自分で不利にしちまったー!」
水杉花奈(謙弥も謙弥で今日のデート、きっといろいろ悩んでくれたんだろうな・・・ありがとう、謙弥)

〇ファンシーな部屋
水杉花奈「だから、クラシックのコンサートだったの!?」
水杉花奈(この間のデートで、謙弥は何度も「デートっぽいだろ」って言ってた気がする)
水杉花奈(それって、前回のことを考えてだったんだ・・・)
水杉花奈(クラシックもやっぱり間違えたって焦って、きっと苦し紛れに遊園地を提案してくれたんだろうなあ)
水杉花奈(おかげで、遊園地ではとっても楽しく過ごせたよね。・・・謙弥らしいというか何というか)
水杉花奈「・・・いいヤツ」
  謙弥の顔を思い浮かべた後、花奈は再び日記へと目を落とす。
水杉花奈(次は修司とのデート・・・)

〇黒
  6月9日(日)
  今日は修司とデートした。・・・とは言っても、私のせいで全然デートらしくなかった。

〇一戸建て
吉岡修司「今日はね、いくつかプランは考えてきたんだけど、花奈のリクエストは何かある?」
水杉花奈「うん、そうだね・・・」
吉岡修司「・・・花奈?  どうしたの、なんか心配事でもある?」
水杉花奈「えっ! いや、そんなことは・・・」
吉岡修司「その反応は図星みたいだね。 もし僕に話せることなら、言ってみて」
  修司に瞳をじっと見つめられて、花奈は白状した。
水杉花奈「・・・実はね、明日の朝一に英語のテストがあるんだけど」
水杉花奈「さっぱりわからないってことに、昨夜、眠る前にやっと気づいて」
吉岡修司「ああ、そうだったんだ」
水杉花奈「うん、せっかく修司と、その・・・デートするって決めた日なのに、気が散っちゃってごめんね」
吉岡修司「それなら、今日は図書館でテスト勉強しようよ」
水杉花奈「えっ? でも、修司はクラスも違うし、今日はデート・・・」
吉岡修司「いいからいいから。 心配事は早めに解決した方がいいよ、ね」

〇図書館
吉岡修司「・・・だから、動詞に気をつければいいんだよ」
水杉花奈「そっか、わかった!」
吉岡修司「ふふっ、これでテスト範囲は全部かな」
水杉花奈「修司、本当にありがとう!  おかげで、明日のテストはどうにかなりそう」
吉岡修司「なら、よかったよ」
水杉花奈「でも、もう夕方になっちゃった・・・ごめんね」
吉岡修司「花奈と2人で過ごせたし、これも立派なデートだよ。テスト勉強を2人でするって、いかにもそれっぽいしね」
水杉花奈「修司・・・」
  申し訳なく思いながらも、花奈は修司の言葉を少し面映ゆく感じていた。
吉岡修司「それに、花奈が楽しめないのに、他のデートコースを回るのは違うよ」
吉岡修司「僕もきっと楽しくないから、はじめに花奈が言ってくれてよかった」
水杉花奈(修司って、本当に優しい・・・)

〇ファンシーな部屋
水杉花奈(先日は王道の映画デートだったな。 ちょっとでも修司、楽しんでくれたかな?)
水杉花奈「それで、デートの後は・・・」

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