異形の討伐

悠々とマイペース

討伐者(脚本)

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〇エレベーターの中
  白衣を来た医者だろうか。
  エレベーターで、2人組が同じ階へ向かっているらしい。
???「それで、今年の特記戦力は何人ほど居る?」
???「特記戦力ほどの実力者は、今年なんて特に少ないっすね」
  右側に立つ軍服の男がやれやれと言った感じに首を振る。
???「ならば、今年のアンプルは例年より少なめで良さそうだ」
  懐中時計で時間を確かめるのは、白衣の男だ。
???「──おっと、トオルさんや、機密事項を聞かれているぞ?」
  奥に立っている人物に、軽く会釈してそれとなく伝える。
トオル「それを言ったら元も子もないだろう?」
トオル「すまないな扉を占領してしまって。 ここで会ったのも何かの縁だ、自己紹介でもしよう。 私は、普段医者をしている桜川トオルだ」
ツバサ「そんで、僕が普段指令室で偉そうに指示する島田ツバサ。 見た感じ、その黒服の君は救護部隊かい?」
  ここに来たばかりで全く2人の会話がわからず、新人だと説明する。
ツバサ「ほぇ~、救護部隊って事は、僕らと同じ階だね」
トオル「今時珍しいな、救護部隊を志願するなど・・・。 いや、その前に特記戦力は確かめたのか?」
  何か言いたげの表情が気になったが、それよりも、”特記戦力”に”アンプル”、さらには”救護部隊”と用語だらけだ
トオル「ああそれと、ここでは時間を気にするといい」
  そう言って、懐中時計を差し出す。
ツバサ「変に遠慮する必要無いよ。 だいたいトオルのおせかっかいみたいなものだから」
ツバサ「まぁ、いろいろと分からない事もあるけど、これから僕が簡単に・・・」
トオル「さて、付いたようだ。 その説明は、実際に見れば分かるだろう?」

〇エレベーターの中
ツバサ「そうそう、最初に聞くのを忘れていたけど、君の名前は?」
  一瞬間が空き、口を開きかけた瞬間・・・

〇ビルの地下通路
???「なるほどっす。 確かに声張り上げて先輩方に挨拶するのは少し控えるっす・・・」
  いかにも体育会系のガタイの良い男は、2人に怒られて小さくなっていた。
トオル「すまない。 彼は私達の後輩で君と同じ新人なのだが・・・」
ツバサ「まだ、所属先が決まってないんだよね〜」
  2人して大きな嘆息を吐き出す。
つのる「自分、大山つのるって言います!」
  敬礼ポーズを取るつのるにまた2人は先程よりも更に大きい嘆息を吐き出した。
ツバサ「そうだ! つのる、新人の案内頼めるかい? 僕らは先に終わらせたい用事を思い出したからね!」
つのる「マジっすか!? 自分、案内しても良いんですか!!」
  目を輝かせて喜ぶつのるを断れる訳もなく・・・

〇おしゃれな教室
つのる「ここが、特記戦力筆記試験会場っす。 空はシュミレーターっすよ!」
つのる「ふむ、自分わかっていますよ新人さん! ”特記戦力に筆記試験は不要”とね?」
つのる「ですが、残念ながら知識は必要なんっすよ。 敵は何型なのか? 弱点は? 知識を得るだけで分からない事が分かるっすよ」

〇白い扉の置かれた森
つのる「ここが、シュミレータールームっす」
つのる「主に戦闘訓練や連携と模擬戦等をするっす。 もちろん、特記戦力試験の戦力試験会場にも使われるっすよ!」
つのる「えっ!? ”特記戦力”を知らないっすか!?」
つのる「さては・・・推薦っすね? まぁ、たとえ推薦でも知識を得るのは無駄じゃないっすからね?」
つのる「いいっすか。 特記戦力とは・・・。 特が、特効薬 記が、記憶時間 戦が、戦闘能力 力が、力量」
つのる「これら全てを当てはめてSからCに分けられるっす」

〇ビルの地下通路
つのる「まだまだ紹介したい所はたくさん残っているっす」
つのる「大丈夫っすか? 確かこの振動は、多分奴らっす 招集の前に担当場所まで案内するっす!」

〇研究所の中枢
つのる「ここが、救護部隊の場所っす。 では、これで自分は・・・」
???「なぁに、緊急事態に逃げるつもりだ? わざわざ他を捨ててまでここまで来たんだ、何か理由があるんだろう?」
  つのるの肩を鷲掴みにするのは、一件年を取ったおばさんに見えるこの女性は、つのるよりもガタイが良い。
つのる「まって下さいっす、烏島隊長。 自分はただ、配属させる新人を連れてきただけっすよ〜」
烏島「ふーん、確かにあたし達の制服だが、なよってんな。 本当に救護箱運べるのかい?」
  烏島は、全身を軽く見て、首を横に振る。
烏島「まぁいい。 こっちは、ただでさえ人員不足だらかね。 付いてきな」
つのる「あのー、自分に拒否権はないんっすか・・・」
  肩を掴まれたまま、強引に連れて行かれるつのるに付いて行く。

〇武器庫
烏島「いいかい、装備を整え次第出るよ!」
つのる「なぜ、救護部隊に・・・」
烏島「ガタガタ抜かすんじゃないよ!」
  救護部隊の装備はそこまで重くはない。
  医療道具一式を何個かの腰のポーチに小分けされている。
烏島「今日も外は大荒れだ、防護マスクを忘れずに装備しな!」
  隊員達がマスクを着用し、外へ出る通路へ向かう。

〇街外れの荒地
烏島「いいかい、救護部隊は、前衛で戦う連中の援護と治療を忘れるな!」
烏島「いざとなれば、アンプルも許可する」
つのる「了解っす」
  戦場・・・奴らにとってはこの砂埃は良い環境だろう。
つのる「っちょ、新人さん!? その先は、廃ビル・・・」
  飛び出し、斜めに埋もれている廃ビルを壁を走るかのように軽々と進む。

〇近未来の会議室
???「なんという速度だ!?」
  とある映像を見ていた男は、モニター画面に映る人物が手こずっていた人型の異形を一瞬にして片付けたのだ。
???「あり得ない。 アンプルも使わずに戦えるとは・・・」
  懐中時計を閉じ、映像に集中するのは、エレベーターで軽く話しただけのトオルだ。
???「確かにアンプル無しで倒した例は今までないんだよね」
トオル「ツバサ、お前の感で良い。 あの者は特記戦力どのくらいだ?」
ツバサ「ウ~ン、救護の早さと単独での高速戦闘から見て、確実にS、適正アンプルを使えば、計測不能だね」
???「あれはまるで、異形を何回・・・いや、何年も戦い続けたような練度だ」

〇壁
つのる「なんっすか、あの速度は! 追い付くのに時間がかかっちゃったっすよ」
  肩で息をするつのるだったが、巨大な石の壁に思わず呟いた。
つのる「次元の狭間・・・」
  壁の歪からどこからともなく現れる異形を処理するのが討伐隊が出来た理由だ。
烏島「『撤退しろ! 今まで次元の狭間を閉じた者は居ない』」
つのる「ほら、烏島さんもああ言っているっすよ。 戻りましょう」

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