〇シックなバー
蒼葉（あおば）「ちょっと明音！ 私、こんな本格的なとこ入ったことないよ？」
明音（あかね）「平気平気ー！」
明音(あかね)「ま、私も初めてなんだけど」
明音(あかね)「さてと、どうしよっかなー」
蒼葉（あおば）「・・・どうせお酒の知識なんて ないんでしょ？　メニュー借りる？」
明音(あかね)「いや、せっかくだし ここはフィーリングで行こう！」
明音(あかね)「うーん・・・」
明音(あかね)「マスター！　 甘くて飲みやすいお酒を２つ！」
蒼葉（あおば）「そんな適当なオーダー?!」
明音(あかね)「いや〜、やっぱよく分かんなくて」
明音(あかね)「でも心配なさそうだよ？　ほら！」
明音(あかね)「来た来た」
明音(あかね)「蒼葉くん 早速食レポ行ってみようか！」
蒼葉（あおば）「”食”じゃないけどね、これ」
蒼葉（あおば）「わっ・・・美味しい!!」
明音(あかね)「オーダー大成功！ って事で、チーズも追加でー！」
明音(あかね)「んー！　週末の酒は沁みるっ！」
明音(あかね)「たまには落ち着いたお店で 飲むのもいいね」
蒼葉（あおば）「確かに。日常の慌ただしさからも 離れられる気がする」
明音(あかね)「私、こういう新しい場所は」
明音(あかね)「やっぱり蒼葉と来たくなるんだよねぇ」
蒼葉（あおば）「物好きだね、明音は」
明音(あかね)「あ！」
明音(あかね)「チーズご到着〜！　ほら蒼葉も食べな？」
蒼葉（あおば）「私は、いいや」
明音(あかね)「えー、なんで？」
蒼葉（あおば）「実は・・・今仕事が立て込んでて」
蒼葉（あおば）「大きいプロジェクトを、任せてもらったの 嬉しい反面、プレッシャーも感じてて」
蒼葉（あおば）「あんまり、食欲ないんだよね」
明音(あかね)「通りで。この前から少食だと思った」
明音(あかね)「もしやまた一人で悩んでたの？」
蒼葉（あおば）「だって、やるって決めたのは自分だもの。 全部私の問題」
蒼葉（あおば）「──誰かに話したところで どうにもならないし」
明音(あかね)「逆の立場なら、蒼葉はなんて言う？」
明音(あかね)「もし私が・・・同じように 行き詰まってたら」
蒼葉（あおば）「何で明音の話になるのよ？」
明音(あかね)「真面目に考えて」
蒼葉（あおば）「それは・・・抱えずに会社の誰かに 相談したほうがいいって、言うけど」
明音(あかね)「ほんとは自分でもそうした方がいいと 思ってるんでしょ!?　なら行動！」
明音(あかね)「蒼葉がいつも真剣にやってること 周りも絶対わかってるから！」
明音(あかね)「このままうじうじ悩んでるとねぇ！ カビ生えるよ!?」
蒼葉（あおば）「──っ」
明音(あかね)「え、何その微妙な表情は!?」
蒼葉（あおば）「違うの。疲れてたからか、涙腺が弱くなってて・・・気を抜くと、まずい」
蒼葉（あおば）「トイレ行ってくる!!!!」
明音(あかね)「いってらっしゃい」
明音(あかね)「ふぅ、やっと本音がでた」
明音(あかね)「あ、大丈夫ですよ！　お気にせず」
明音(あかね)「親友なんです」
明音(あかね)「私の100倍賢くて頼りになるのに 自分のことには疎いんですよー」
明音(あかね)「ほっとくと、すぐ無理する」
明音(あかね)「だーかーらっ」
明音(あかね)「この！　”しっかり者”のわたしが」
明音(あかね)「いつもガス抜きしてるんです」
明音(あかね)「お、戻ってきた」
明音(あかね)「今の話、ないしょですよ？」
明音(あかね)「えへへっ」
蒼葉（あおば）「おまたせ。なに？　ニヤニヤして」
明音(あかね)「なーんにも？　さぁ２杯目ー！」
明音(あかね)「そう!! 私は蒼葉にこれを話したかったの！」
蒼葉（あおば）「ん？」
明音(あかね)「大阪のライブの感想」
蒼葉（あおば）「あー・・・またあのバンドの南君？ ほんと好きだね」
明音(あかね)「もうアンコールがやばくって！」
明音(あかね)「前奏のギターのデーデーデ、ジャッジャッーンからの、観客のきゃっー!!　からの！」
明音(あかね)「もう少し一緒に遊んでってください！」
明音(あかね)「だよ!?　かっこよすぎて死んじゃう」
蒼葉（あおば）「なんだろう、仙台と東京公演の感想も 似た話だった気が」
明音(あかね)「全っっ然違います！」
蒼葉（あおば）「いや絶対同じだって！」
明音(あかね)「しかもね、セトリの」