RiversideBaron~最終章~

山本律磨

蓬莱事変(8)(脚本)

RiversideBaron~最終章~

山本律磨

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〇廃倉庫
「戦え!戦え!戦え!戦え!」
「壊せ!壊せ!壊せ!壊せ!」
トラ「ブルジョワどもを叩き潰せーーーー!」
デンキ「僕たちの金を搾取するなーーーーッ!」
ダリア「異人を差別するな!女を馬鹿にするな!」
活動家「さあ!帝都に乗り込むぞ!」
活動家「国会を包囲しろ!政治家を駆逐しろ!」
活動家「俺達は自由だーーーーーーーーーーッ!」
活動家「・・・え?」
先程まで活動家だったはずの男「ひ、ひいっ!」
先程まで活動家だったはずの男「い、痛いいいッ!撃たれたあああッ!」
先程まで活動家だったはずの男「足いいッ!足があああッ!」
活動家「おのれ!官憲の犬め!」
活動家「我々は決して怯ま・・・」
先程まで革命家だったはずの男「ぎゃあああッ!痛ああああああッ!」
先程まで革命家だったはずの男「撃たれたあああッ!医者、医者あああ!」
先程まで革命家だったはずの女「いやああああッ!助けてえええッ!」
ロン「に、逃げろ・・・」
ロン「『アイツら』本気だ!本気で俺達を・・・」
  『如何にも』
  『時は満ちたのだ』
天粕「我々も諸君も」
天粕「秩序と自由、双方に決定的な回答、を出す時が来たのだ」
天粕「諸君は我が国を滅ぼさんとする暴徒である」
天粕「帝都を破壊せんとする兇徒である」
天粕「対話は終了しよう」
天粕「捕縛も終了しよう」
天粕「今ここで諸君の思想を、否、存在そのものを街ごと、根絶やし、とする」
天粕「これは善良なる臣民を守る為の自衛である」
天粕「これはやむおえぬ発砲である」
天粕「今から行われる事は諸君に与えられる自由の極北であり我等が執行する秩序の正当な行使である」
天粕「選べ」
天粕「逃亡するか」
天粕「処刑されるか」
天粕「ではこれより日本国を脅かす蓬莱事変、を鎮圧する」
天粕「撃てえええええええええええええええ!」
先程まで革命家だったはずの男「ひいいっ!助けてええっ!」
先程まで革命家だったはずの女「ごめんなさい!ごめんなさい!」
先程まで活動家だったはずの男「ひゃああああッ!やめてええええッ!」
トラ「怯むなーーッ!逃げるなーーッ!」
デンキ「戦うんだ!もう誰にも、僕達を馬鹿にさせないために!」
デンキ「ぎゃあっ!」
トラ「デンキ!大丈夫か!」
デンキ「足だけ・・・まだ足だけだ!」
天粕「否」
天粕「雑魚、を散らす為急所を外している」
天粕「これは自由を渇望する者の覚悟の無さ、を臣民に露呈させる戦いでもある」
天粕「何故か分かるか?」
天粕「今この鎮圧作戦は日本国に放送されている」
天粕「秩序と自由の最後の戦い、その審判が臣民に委ねられているのだ」

〇潜水艦
放送局員「臨時放送をお送りしております!臨時放送をお送りしております!」
放送局員「帝都第十三番管区、通称蓬莱街において、国家転覆を目論む大規模な反乱が起こっております!」
放送局員「現在戒厳警備兵による鎮圧作戦が遂行されている模様です!」
放送局員「蓬莱街貧民及び過激活動家が街を出て私達臣民に危害を加える恐れがあります!」

〇狭い畳部屋
  『皆様はどうか屋内退避の上、このラジオをお聞きください!』

〇レトロ喫茶
  『臣民の皆様!帝都放送局の報道をお聞き下さい!帝都放送局の報道に従って下さい!』

〇路面電車
  『屋内に退避し放送を聞いて下さい!』
  『自由を標榜する暴徒にはくれぐれも気をつけて下さい!』
  『皆様の安全は軍隊が守ります!』
  『屋内に退避し戒厳警備兵の指示に従って下さい!』

〇廃倉庫
クラムぼんぼん「放送・・・」
クラムぼんぼん「そうか!だったらこっち側の声も届ければいい!」
マネ玄人「桜子さん!叫べ!あなたの声を!」
桜子「て、帝都臣民の皆さま!わ、私は自由推進活動結社新生自由の翼代表・・・」
マネ玄人「ひいっ!」
天粕「次は当てるぞ」
天粕「巨悪無頼な暴徒の首魁無知蒙昧な貧民窟の扇動者自由の女神、こと、来栖川桜子よ」
天粕「父が民権弾圧の魔王なら貴様は詐術を以て破壊活動を誘発する魔女である」
天粕「呪われし来栖川宗家は正に日本国に害なす邪悪な貴族である、よって征伐、する」
天粕「そう、この国に、もう、貴族はいらぬ」
天粕「四民平等我が国は一つの家族となる。臣民すべからくがミカドの子となって・・・」
天粕「国家の為に生き国家の為に死ぬのだ!」
桜子「違う!国は家じゃない!家は国じゃない!」
桜子「人は一つじゃない!人は一人!」
桜子「その一人を尊重し合って・・・」
タジマ七郎「もうやめろ!姫さん!殺されるぞ!」
バリトン豊「逃げるんだよ!死んだら声も出せない!」
桜子「・・・クッ!」
未来子「あらあら。とんでもない事にになってきたわね」
ダリア「何を他人事みたいに・・・」
ダリア「みんなを調子づかせたのは、アンタの歌でしょう・・・」
「・・・そうだ」
ダリア「ジュン・・・」
燕「だからもう一度歌え」
燕「ラジオを通して君の歌を」
燕「僕を勇気づけた、優しい愛に満ちた歌を、国民に届けるんだ!」
燕「歌姫、松音未来子!」
未来子「・・・」
未来子「いつも応援してくれる臣民の皆様、今日は大事なお知らせがあります」
未来子「私、この蓬莱街のコンサートを以て、今度こそ完全に引退させて頂きます」
燕「・・・へ?」

〇幻想空間
未来子「変~身っ!」

〇廃倉庫
未来子「っていうか私、あの人達に脅されていたんです!」
未来子「私の歌を洗脳に使うなんてひどすぎる!」
未来子「私は自分の歌で誰かに勇気を与えたかっただけなのに!」
未来子「私は・・・私は・・・私は・・・」
未来子「うわあああああああああん!」
戒厳機動兵「ちょっと・・・耳キンキンするんで」
戒厳機動兵「もう帰っていいですよ」
未来子「ありがとうございま~す」
未来子「私、今回の一件でひとつ学んだ事があるの」
未来子「自由も秩序もどっちも大切ってコト」
未来子「だからみんな・・・」
未来子「ガンバ(死語)」
ダリア「まあ、あれね」
ダリア「シリアスなままの関係で終わるよりも良かったのかもね」
「ちっくしょお!絶対成り上がってやる!」
「見てろよ!東京ーーーーーーーーー!」
ダリア「・・・ガンバ(死語)」
ダリア「あっぶない!踊り子の体に傷つける気!」
  『ふふっ。やっと前の明るかったアンタに戻ったようね』
ダリア「・・・親分!」
蝶子「やれやれ、ちょっと出払ってる間に家の中がスッチャカメッチャカじゃないかい」
蝶子「しかも妙な恰好した変質者共が土足で踏み込んで来てやがる」
天粕「格好に関しては今後改善してゆくとして」
天粕「ここはお前達の家ではない」
蝶子「いいや、蓬莱街の全部が私の家」
蝶子「砂一粒までこの御堂組のもんなんだよ!」
鹿沼「今まで役人どもが放ったらかしにしといたゴミ溜を一体誰が面倒みてやってたってんだ!」
猪頭「街の秩序は俺達が守る!余所者はとっとと失せやがれ!」
天粕「その歪んだ秩序を焼き払う時が来たまで」
天粕「国家を蝕むゴミの巣をな」
蝶子「そしてその更地に、人間に番号つけて飼い慣らすような国を作るって訳かい」
天粕「安心安全社会の構築、である」
蝶子「どっちにしろ気に入らないね」
天粕「ならばどうする?」
蝶子「ぶっ潰す」
天粕「それは・・・」
天粕「俺の台詞だチンピラどもがあああああ!」
蝶子「野郎ども!やっちまいなーーーーーッ!」
天粕「総員、攻撃開始!」
天粕「ゴミ溜に巣食う害虫どもを除去せよ!」
  つづく

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