好きの在処

夏名果純

第12話 拓人くんとデート(脚本)

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〇駅の出入口
  7月15日(月・祝)海の日
  謙弥と会った2日後、最後は拓人と午前中からデートだった。
  花奈は駅前で拓人を待っている。
水杉花奈(一昨日はここで謙弥と待ち合わせしたんだよね・・・おかしな感じだなあ)
本谷拓人「待たせちゃってごめんね!」
  花奈が着くと、すぐに拓人も姿を見せた。
水杉花奈「ううん、全然! 今来たところだよ」
本谷拓人「そう? なら、よかったんだけど。 暑いよね、早く行こっか」
  そう言いながらも、拓人はどことなく涼しそうな顔をしている。
水杉花奈「そうだねーって、今日は・・・」
本谷拓人「よかったらなんだけど、買い物に行かない?」
水杉花奈「うん、いいよ」
本谷拓人「ねえ、1個お願いがあるんだけど」
水杉花奈「何?」
  拓人は花奈の目を見つめながら笑って聞く。
本谷拓人「せっかくのデートだから、花奈ちゃんって呼んでもいいかな?」
水杉花奈「あ・・・うん。いいけど」
本谷拓人「よかった! じゃあ花奈ちゃん、行こっ!」
水杉花奈(あっ!)
  拓人はとても自然に、花奈の手を取って歩き始めた。
本谷拓人「どうしたの?」
本谷拓人「・・・もしかして、嫌だった?」
  不安そうに尋ねる拓人に、花奈はゆっくりと首を左右に振る。
本谷拓人「よかった。デートだから、ね」
水杉花奈「うん・・・」
水杉花奈(嫌じゃないけど、なんか恥ずかしいな)
水杉花奈(それに・・・謙弥の手の方が大きかったな)
水杉花奈「!」
水杉花奈(何、謙弥のことを思い出してるんだろ、私ってば・・・)
本谷拓人「・・・花奈ちゃん?」
水杉花奈「ううん! 何でもないの」
本谷拓人「そう?」

〇デパートのサービスカウンター
本谷拓人「さてと、どのお店に入ろうか・・・あっ!  浴衣のフェアやってるよ」
水杉花奈「本当だ。みんな、可愛いー」
本谷拓人「せっかくだから、ちょっと見ていこっか。 花奈ちゃんは浴衣持ってる?」
  そう聞きながら、浴衣売り場に歩いていく拓人の後を花奈はついていく。

〇試着室
水杉花奈「持ってるよ。えっとね・・・こんな感じの」
  そう言って、花奈は近くにあった赤い浴衣を手に取った。
本谷拓人「そうなんだ。可愛いね!」
水杉花奈「気に入ってるんだけど、やっぱり新しいのも欲しくなっちゃうよね」
本谷拓人「そうだな。他に花奈ちゃんに似合いそうなのは・・・やっぱり赤?」
本谷拓人「大人っぽく紺もいいよね。 ねえ、どれが好き?」
水杉花奈「うーん、どれも可愛いけど・・・これとか好き」
  目移りしそうになる中、花奈が選んだのは朝顔が描かれている、淡い色使いの浴衣だった。
本谷拓人「水色もいいね!」
水杉花奈「うん。やっぱりこのピンクとか、そっちの赤いのとかも気になるけど」
水杉花奈「自分じゃどの色が似合うかよくわからないんだよね」
水杉花奈「拓人くんはどう思う?」
本谷拓人「うーんと、そうだなあ」
本谷拓人「花奈ちゃんには・・・どれを着てもきっと可愛いと思うけど、ボクが選ぶならこれだな!」
  拓人が選んだのは大きくひまわりが描かれた、黄色い浴衣だった。
水杉花奈「へえ、黄色?」
本谷拓人「うん。 元気な花奈ちゃんにピッタリのイメージ」
本谷拓人「この大きなひまわりもいいと思うし」
本谷拓人「これを着た花奈ちゃんと一緒に花火を見れたらいいのになって思うよ」
水杉花奈(拓人くん・・・)
本谷拓人「花奈ちゃん、浴衣じゃなくても普段、黄色って着たりする?」
水杉花奈「ううん、普段の服でもあんまり選ばないかなあ」
本谷拓人「似合うと思うよ。 今度、思いきって試してみたら?」
水杉花奈「本当だね。 いっつも紺とか白とかが多い気がする」
水杉花奈「ちょっと冒険してみようかな」
本谷拓人「いいんじゃない?  じゃあ、服も見に行こっか!」
水杉花奈「見てみたいけど、拓人くんの買い物は?」
本谷拓人「ボク? いいのいいの」
本谷拓人「今日は花奈ちゃんの買い物に付き合いたいから」
本谷拓人「さあ、行こう」
水杉花奈「ありがとう」
水杉花奈(やっぱり手、つなぐんだ・・・)
  その後も拓人に手を引っ張られ、花奈はいくつか店を見て回った。

〇おしゃれなレストラン
  正午が近づいて、拓人と花奈はショッピングモールの中にあるハンバーガーショップに入った。
水杉花奈「わあ、おしゃれなお店だね!」
本谷拓人「ここ、時々来るんだ。 好きなバーガーがあって」
本谷拓人「花奈ちゃんは初めて?」
水杉花奈「うん。このショッピングモールには時々来るんだけど」
水杉花奈「拓人くんの好きなのってどれ?」
本谷拓人「ボクはね、これなんだけど」
  拓人くんが指差したのは、『ウルトラミート』と書かれた特大のハンバーガーだった。
水杉花奈「わっ、これを拓人くんが食べるの? っていうか、食べられるの?」
本谷拓人「余裕だよ」
水杉花奈「拓人くん、細いのに」
本谷拓人「ボク、肉がつかない体質みたい。 結構食べるんだけど、太らないんだよね」
水杉花奈「羨ましい・・・」
本谷拓人「別に、花奈ちゃんも太ってないよ?」
水杉花奈「これでもお菓子とかセーブしてるから。 本当はもっと食べたいんだけど」
本谷拓人「そっか、努力してるんだ」
本谷拓人「でも、もう少し太っても丸くなって可愛いかも」
水杉花奈「えーっ、丸くなるのは嫌だよ」
本谷拓人「ハハッ、そう? いいと思うけどなあ」
  注文を済ませてから、花奈と拓人が席を確保する。
本谷拓人「ちょっと待ってて」
  花奈を座らせて、拓人はポテトにつけるケチャップや紙ナプキンなどを取ってきた。
本谷拓人「はい、どうぞ」
水杉花奈「ごめんね、気がつかなくて!」

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