15話 海辺の告白(脚本)
〇黒背景
〇原っぱ
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンって、案外リアリナに甘々よね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ん?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ! つい、ゲームのリアリナを見てる気持ちで呟いてしまったわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「し、仕方がないだろう。其方は、我が婚約者なのだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「本当は、もっと優しくしてやりたいのだが」
テオフィル・ベフトン「お腹がすきませんか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「!!」
テオフィル・ベフトン「この土地の食事処に案内してくださるそうです」
街の案内人「美味い料理なら、おまかせでさぁ」
〇海辺の街
〇海辺
〇結婚式場のレストラン
街の案内人「ここが一番美味い店でさあ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ほお。それは楽しみであるな」
テオフィル・ベフトン「私も殿下とご一緒させていただけるとは大変光栄でございます」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「構わん。人数が多い方がよかろう」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それに、君はべフトン伯爵家の次期当主であろう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「当主って、テオにはお兄さんがいたはずよね」
テオフィル・ベフトン「兄は、戦争の際に亡くなりました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そんな・・・」
テオフィル・ベフトン「私はグレイ家に忠誠を誓った身。家長は義理の兄に譲りました」
テオフィル・ベフトン「ですから、今の私は一介の従者でございます」
テオフィル・ベフトン「何よりこの仕事を楽しんでおりますので」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・テオ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「まあいい。其方がリアリナのそばにいると思うと安心できるからな」
テオフィル・ベフトン「それは身に余るお言葉でございます」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「さあ、食事にしよう!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どれも聞いたことのない料理だが、どれがいいのだ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、これ美味しかったのよね。注文していいかしら」
街の案内人「その料理は、ここの郷土料理でさぁ」
街の案内人「お嬢さん、この土地に来たことがあるのかね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ううう!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(なんで、ここで!)
テオフィル・ベフトン「顔色が悪いですが、大丈夫ですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・ちょっと席を外すわ」
テオフィル・ベフトン「・・・」
〇海辺
「リアリナ様!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・テオ?」
テオフィル・ベフトン「夜風が冷たいので、」
テオフィル・ベフトン「お召し物をお持ちいたしました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ありがとう」
テオフィル・ベフトン「海なんて久しぶりでございますね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ、昔はリュカと来ていたのにね」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様のボールが波にさらわれては」
テオフィル・ベフトン「リュカ様が魔法で取り戻しておりました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ふふっ。懐かしい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「リュカ、大丈夫かしら」
テオフィル・ベフトン「そうご心配なく」
テオフィル・ベフトン「明日には戻られますよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「明日・・・」
テオフィル・ベフトン「はい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ボールのように私も波にさらわれてみたいわ」
テオフィル・ベフトン「どこか遠くへ行かれたいのですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「行きたい。海の向こう側へ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「旅行で! 奴隷じゃなくて! 旅行で!!」
テオフィル・ベフトン「その時には、ご一緒いたします」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ありがとう。テオ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(きっとここにいれば、この前のループのようにあの二人組は現れない)
〇謁見の間
そして予定通りに明日、城へ行き
「婚約破棄される」
婚約が白紙になれば、ミレーユが私を殺そうなんて考えることも無くなるし
私は希望通りにスローライフを送れる
〇黒背景
私だけ幸せになれる
そんなの、いいわけない
〇海辺
リアリナ・シャルルド・グレイ「誰かの犠牲の上で自分が生きられるのって、やっぱり嫌だわ」
「リアリナ様!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「っきゃ!」
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