『瓢箪から彼女の未来』1〜3話の謎を回収しょうとしたら、ホラー要素が行方不明です(脚本)
〇水中
色彩豊かな私の故郷の海──
絢美(あやみ)(やっと帰って来れた・・・・・・)
絢美(あやみ)(きっと夢だけど・・・・・・ それでもいい帰って来れたのだから──)
霞(かすみ)「これはお前の故郷の海なのか?」
絢美(あやみ)(だれ?)
霞(かすみ)「法道寺院『霞院』のかすみじゃ」
霞(かすみ)「再び、問う これはお前の故郷の海なのか?」
絢美(あやみ)「はい・・・・・・とっても、帰りたかった故郷の海です」
霞(かすみ)「では、本当に返してやろう」
絢美(あやみ)「えっ!?」
彼女が私の肩を押すと、海の中を静かに私は落ちていく──
〇田舎の一人部屋
絢美(あやみ)「懐かしい実家の鳩時計の音・・・・・・ でも、私が高校の時壊れて──」
絢美(あやみ)「えっ?」
私が小学生の時の、部屋の眺めがそこにはあった。
絢美(あやみ)(手も小さい・・・・・・ 夢?)
絢美(あやみ)(じゃー海に行かなきゃ!)
私は、軽い足どりで階段を降りる。
〇狭い畳部屋
絢美の母「おはよう絢美、お兄ちゃんはもうプールへ行ったけど絢美は行かなくていいの?」
絢美(あやみ)「お母さん!?」
絢美(あやみ)「うん、今日はいいかな? 宿題やらなきゃいけないし」
絢美の母「そう? あっそろ開店時間だから、お店戻るね」
絢美の母「ご飯は、ちゃんと食べなよ」
絢美(あやみ)「うん、いってらっしゃい」
絢美(あやみ)(久しぶりのお母さん若かったなぁ・・・・・・)
絢美(あやみ)「朝ご飯はこれでいいか・・・・・・」
絢美(あやみ)「野良君!?」
絢美(あやみ)「いくらなんでも、実家はまずいよ! うち飲食店だよ!」
絢美(あやみ)「これは夢だからまっいいか」
絢美(あやみ)「いらっしゃいませ、野良君」
絢美(あやみ)「誰か帰って来た!?」
絢美(あやみ)「野良君隠れて!!」
私が野良君に触れるほど、近づいた時──
絢美(あやみ)「野良君泣いているの?」
霞(かすみ)「家族同然の者に、自分の存在を否定されれば泣くのは当然じゃろ?」
霞(かすみ)(まぁナツメは、知恵がまわる奴だから── 泣き真似じゃがな)
霞(かすみ)(本当に、猫はこざかしいのう)
絢美(あやみ)「野良君ごめんね・・・・・・ 私、野良君の事傷つけたのかな?」
絢美(あやみ)「野良君・・・・・・」
絢美の兄「何、一人で話してるんだよ?」
絢美(あやみ)「お兄ちゃん!?」
絢美の兄「お前、またプールさぼったのか?」
絢美(あやみ)「宿題やらないと駄目だったから・・・」
絢美の兄「プールから帰ってから宿題やれよー」
絢美(あやみ)「わかってるよー」
絢美の兄「わかってるならプール行けよ!! マジわけわかんねー」
絢美の兄「泣くなよ・・・・・・」
兄は何処へ行ってしまった。
霞(かすみ)「大丈夫か?」
〇水中
〇海辺
絢美(あやみ)「ブゥハァ」
私は、慌てて水の中から顔を出した。
海の深さは、私の肩の高さまであり、口の中は塩水でしょっぱい。
「あはははぁはぁはは!! 可笑しい!あはははぁはぁ」
霞(かすみ)「可笑しい過ぎて息継ぎを忘れた・・・・・・ ふぅ〜」
声の方を見ると、彼女が海面の上で腹を抱えて笑っていた──
霞(かすみ)「大の大人が、子供に叱られて泣いて誤魔化すとは──」
霞(かすみ)「本当にうぬは大丈夫か?」
霞(かすみ)「ほれ、何か言ってごらん」
絢美(あやみ)「これは夢じゃないのですか?」
霞(かすみ)「そんな事は聞いておらん!!」
絢美(あやみ)「はい・・・・・・」
野良君「ミャァーォン」
いつの間にか私と彼女の間に、野良君が居て毛を逆立てるように彼女を威嚇している
絢美(あやみ)「野良君・・・・・・」
霞(かすみ)「ナツメ、そうやって甘やかすのは良くないですよ」
絢美(あやみ)「ナツメ?」
霞(かすみ)「その子の新しい名前です」
霞(かすみ)「貴方がここへ来た後から、ナツメはある家族と一緒に暮らしているのです」
絢美(あやみ)「そっか・・・・・・ 野良君には、新しい家族が出来たんだね」
霞(かすみ)「でも、この子は貴方が心配だから、ここに来たって事も覚えておいてくださいね」
絢美(あやみ)「はい、ありがとうナツメ君」
野良君「ニャーン」
霞(かすみ)「では、貴方をここから出してあげる事にしましょう」
霞(かすみ)「ナツメに着いていけばこの法道自院『霞院』から出る事が出来ますが!」
霞(かすみ)「一つ、霞院から出るまで全て肯定する事」
霞(かすみ)「二つ、約束は絶対守る事」
霞(かすみ)「この二つを守ってくださいね」
絢美(あやみ)「はい・・・・・・」
〇水中
返事をするとともに、私は深い水の底に落ちていく。
〇神社の本殿
秋下「おい!おい!? 大丈夫か?」
気づくと私は何処かの境内に倒れていたらしく、彼が介抱してくれていた様だ。
天気は曇一つない青空なのに、私だけ海水で濡れた状態だった。
ナツメ「ミャァー」
絢美(あやみ)「野良君・・・ あっ今は、ナツメ君だったね・・・・・・」
秋下「もしかしてやっぱりあんたか? ナツメに餌をやってたのは」
一つ、霞院から出るまで全て肯定する事
絢美(あやみ)「はい、あの時は、正直に言わなくてすみませんでした」
絢美(あやみ)「ナツメ君のせいで怪我をした人が居たら、私が償うべきだったのに本当にごめんなさい」
秋下「かすり傷だったし、そんなに気に病む事はないさ」
秋下「何処で、もしかして貴方は霞様に会ったのか?」
絢美(あやみ)「はい、会いました」
秋下「じゃあ、貴方が新しい巫女さんだったりするのか?」
絢美(あやみ)「それは・・・・・・」
ナツメ「ニャーン」
秋下「おっ、そうなのか?」
絢美(あやみ)「はい・・・」
私は消え入りそう声で答えたが・・・・・・
秋下「そうか!善は急げで町長に連絡してくるわ」
秋下「すまないけれど、境内の裏の我が家にナツメを届けるついでに詳しい事は妻に聞いてくれ!!」
そう言って彼は軽い足どりで、去っていった。
不安いっぱいの私の前を、ナツメが私を導く様に歩く
もしかしたらナツメは、あの恐怖の夜からナツメはナツメなりに私を導いて歩いているのかもしれない・・・・・・
絢美(あやみ)(あの不器用な兄の様に・・・・・・)
終わり