アパルトとヘイト

山縣将棋

アパルトとヘイト5(脚本)

アパルトとヘイト

山縣将棋

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〇綺麗な図書館
ヘイト「でね、その後──」
ブルース「おい、起きろよアーノルド」
ブルース「おいっ!」
アーノルド「おっと、スマン、つい眠気が──」
ブルース「これでも飲め!」
アーノルド「すまん」
アーノルド「おお、目が冴えると同時にパワーがみなぎる」
ブルース「パワー&コーヒーだ!気に入ったか?」
アーノルド「美味いが、売れそうにもないネーミングだ」
ブルース「さぁ、話しの続きを!」

〇組織のアジト
エイミー「ねぇ?表彰前に大統領と何話してたの?」
アパルト ヘイト「何だったかな?忘れちゃった」
ロイ「ハハッ、俺なら不満をぶちまけてやるんだが」
エイミー「ロイちゃんは表彰されるような事なんて一生ないんじゃない?」
ロイ「確かにそんな事、俺には無縁だろうな」
アパルト ヘイト「表彰はあっさり終了したけど、僕にとっては最高の誕生日プレゼントだったよ」
エイミー「えっ!?アパルト今日が誕生日なの?」
ロイ「そりゃ、めでたい事だ!」
エイミー「なんか、お祝いしてあげないとね! ケーキ買ってこようか?」
ロイ「そんなもん、男が喜ぶ訳ねぇだろ」
エイミー「えっ?じゃあ何かプレゼントでも──」
ロイ「エイミー、お前は男を分かってねぇな」
エイミー「えっ?どういう事?」
ロイ「エイミー、俺を今日はお前の家に泊まらせてくれ。いいよな?」
エイミー「べ、別に構わないけど──」
ロイ「じゃあ、アパルト今日はいい時を過ごせよ! 食い物は冷蔵庫を勝手に漁ってくれ!」
ロイ「最高の誕生日を過ごせよ!」
ロイ「行くぜ、エイミー」
エイミー「え、あ、うん」
アパルト ヘイト「どういう事?」
アパルト ヘイト「1人で静かに過ごせる様に気を遣ってくれたのかな」
アパルト ヘイト「意味が分からないや」

〇綺麗な図書館
アーノルド「その誕生日プレゼントってアレか?」
ブルース「おう、1人にさせるって事は絶対にアレだろ」
ヘイト「分かったのかい?凄いね!」
ブルース「ま、まぁな!」
ヘイト「何だと思う」
アーノルド「言っていいのかよ?」
ヘイト「もちろん!」
アーノルド「答えはだな──」
ブルース「俺にも言わせてくれ!」
ヘイト「じゃあ、せーので答えて。いくよ? ──せーのっ!」
「筋トレ時間の確保だ!」
ヘイト「──違うよ」
「ええぇぇ!」

〇組織のアジト
  それは突然だったんだ
アパルト ヘイト「誰?」
アパルト ヘイト「今、開けるよ!」
エレン「指名ありがとう、シャワー借りてもいい──」
アパルト ヘイト「エレン」
エレン「えっ!へ、ヘイト?」

〇綺麗な図書館
「そっちか!」
アーノルド「それは、それで気になるな」
ブルース「お、おう、その後はどうなっていくんだ?」
ヘイト「その後はね──」

〇組織のアジト
エレン「えっと、ヘイト、その、これは──」
アパルト ヘイト「どんな形でも会えて嬉しいよエレン!」
エレン「う、うん──」
アパルト ヘイト「エレンには聞きたい事が沢山あるんだ、ベトナムの事とか、趣味の事とか、色々ね」
エレン「ハハッ。ヘイト変わらないね」
アパルト ヘイト「そう?ゆっくりお互いの事を話そうよ」
エレン「──そうだね。そうしようか」
エレン「じゃあまず、ベトナム戦争の事から話そうか」
エレン「ベトナムではね──」

〇アマゾン川のほとり
兵士「デイン中尉、味方の前線が下げられています」
兵士2「何とかしないと、ここも危険です!」
デイン「そうか。ちょっと、そこをどいてくれ」
「えっ!?」
ロイ「・・・──」
エレン「ねぇ、流石にここは、ヤバくない?」
デイン「やぁ、慰問団の方々だね?」
ロイ「ああ」
デイン「僕はね、君たちの到着を待っていたんだよ!」
ロイ「こんな危険な所でショーは開催できねぇぞ」
エレン「ロイさん、引き上げようよ」
デイン「えっ?危険?どこが?」
ロイ「・・・──」
デイン「ちょっと、見ててくれ」
デイン「おいっ!そこのお前!」
兵士 3「は、はい!」
デイン「これを海に向かって投げるから回収してこい」
兵士 3「えっ!皿をですか?」
デイン「面白いだろ?」
兵士 3「あの、銃弾が飛び交って──」
デイン「出来ないなら、前線で戦え」
兵士 3「そ、そんな!」
デイン「なに、回収してくれば、ずっと後方支援にしてやる。それでも、やらないのか?」
兵士 3「えっと──」
デイン「よし分かった、前線に配置を替え──」
兵士 3「やります!」
デイン「そうか、そうか」
デイン「なら、行くぞ!それっ取ってこい!」
兵士 3「うぉぉぉぉお!」
デイン「ハハッ、溺れるなよ!」
ロイ「何してんだ、テメェ!」
デイン「死を恐れない勇敢な兵士がいる。安全だろ?」
ロイ「アイツが死んだらどうすんだ」
デイン「別の勇敢な黒人に皿を取りに行かせるよ」
ロイ「命をもて遊んでんじゃねぇ!」
デイン「その言葉そのまま返すぜ 俺たちが必死で戦っているのに、気の抜けた格好で来やがって、何様だ?」
ロイ「何だとゴラァァ」
エレン「引き上げようよロイさん」
デイン「次のヘリの到着までは時間がある、死を肌で感じていきなよ、お嬢さん」
ロイ「クズやろうが!」
デイン「死んだ兵士の為に泣けば優秀な上官なのか?」
デイン「あっ!」
デイン「彼は残念だったみたいだ!」
エレン「・・・イカれてる」
デイン「ヨシッ、次はお前だ!」
兵士2「わ、私ですか?」
デイン「そうだ。回収してこい」
ヘイト「デイン中尉敵がそこまで迫っています!」
エレン「えっ!ヘイト?」
兵士「えっ?ヘイト?何を言ってるんです?」
エレン「あれ?見間違い?」
デイン「おっ、お前が回収しに行くか?」
兵士「中尉?」
デイン「よ〜し今から皿を投げるぞ〜」
エレン「そんな狂った奴ほっといて早く逃げな!」
兵士「は、はい!」
エレン「ロイさんも、残りの皿を持って逃げるよ!」
ロイ「お、おう!」
デイン「皿を返せ!愚か者ども!」

〇組織のアジト
エレン「あんな最低なヤツ初めてだったよ!」
アパルト ヘイト「ひどいヤツだね、その人」
エレン「ロイさんと私は、全力で逃げたんだけど──」

〇密林の中
ロイ「止まれ!エレン!」
エレン「ロイさん何?」
ロイ「敵から遠く離れたのに、何故、近くから爆破音が聞こえるんだ?」
エレン「そういえば、銃声は聞こえないのに・・・」
ロイ「エレン、隠れろ、誰か来るぞ」
「どこだ~!隠れてないで、姿を見せろ!」
デイン「そして、皿を返せ〜!」
デイン「返さないと、痛い目みるぞ!」
デイン「そうか、そっちがその気なら、仕方ない」
デイン「適当に投げるから、当たらないようにしろ!」
デイン「いくぞ〜!」
デイン「う〜ん、ハズレか」
デイン「次いくぞ!」
エレン「イカれてるよアイツ」
ロイ「黙らせるしかねぇな」
エレン「どうやって?」
エレン「──今回はロイさんに大賛成よ」
ロイ「この事は俺とお前の秘密だ」
エレン「絶対に誰にも言わないわ」
ロイ「近くに隠れてろエレン」
エレン「気をつけてね、ロイさん」
ロイ「ここにいるぞ!」
デイン「なんだ、そこに居たのか」
デイン「要求は一つ。皿を返せ」
ロイ「悪いが、それは出来ねぇ」
デイン「その理由は?」
ロイ「テメェが、戦争とは別の理由で兵士を殺すからだ!」
デイン「まるで、僕が殺人者みたいな言い方だな」
ロイ「その通りだ!」
デイン「なら、お前を倒して皿を奪うだけだ!」
デイン「おや?」
デイン「なんだ、さっきの女が隠れてるのか?」
デイン「それなら、女の方からくたばれ!」
ロイ「クソ野郎が!」
エレン「ロイさん?」
エレン「ちょ、ロイさん!大丈夫!ロイさん!」

〇組織のアジト
エレン「ってな感じでさ狂気の中から、生き延びる事が出来たんだ」
エレン「その時に私を庇ってロイさんが視力を失ったの」
エレン「その事、ちゃんと謝罪したいんだけど」
エレン「どの病院に運ばれたのか分からなくて それ以来会えてないんだ」
エレン「どっかで元気ならいいけど・・・ きっと私を恨んでるに違いないわ」
アパルト ヘイト「大丈夫、ロイさんは恨んでないよ」
エレン「そんな事、何でヘイトが解るの?」
アパルト ヘイト「だって、ここロイさんが借りてる家だから」
エレン「ん?どういう事?状況が飲み込めないわ」
アパルト ヘイト「一昨日、偶然ロイさんに会って、それで成り行きで僕が泊まってるんだ」
エレン「ここ、ロイさんの家?」
アパルト ヘイト「うん。僕に楽しい夜を過ごせ。誕生日プレゼントだ!って言ってさ、彼女の家に行っちゃったんだ」
エレン「誕生日?そういう事か!」
エレン「これは凄い偶然だよヘイト!」
アパルト ヘイト「そうだね、僕は最高に嬉しいよ」
エレン「じゃあ、もっと最高の夜にしないとね!」
アパルト ヘイト「へっ?」
エレン「仕事はキッチリとこなすよ」
エレン「ちょっと、シャワー借りるね」
アパルト ヘイト「あ、うん」
エレン「ヘイトも一緒に入る?」
アパルト ヘイト「あ、えっと──」
エレン「冗談だよ!」

〇綺麗な図書館
アーノルド「おい、この流れって今度こそアレだよな」
ブルース「おう、アレだな」
ヘイト「2人とも本当に分かるの?」
ブルース「言ってやれよアーノルド」
アーノルド「しょ、しょうがねぇな」
アーノルド「答えは──」
アーノルド「筋肉の回復だ!」
ブルース「流石だ、アーノルド!」
アーノルド「一旦入浴し、筋肉をリラックスさせる事で、より筋肉の質を高め──」
ヘイト「見当違いも甚だしいよ──」
アーノルド「嘘だろ!」

〇組織のアジト
エレン「さて、始めようか」
アパルト ヘイト「な、な、な、何を」
エレン「分かってるだろ?服、脱ぎなよ」
アパルト ヘイト「えっ、えっと」
エレン「それっ!」
アパルト ヘイト「ま、まってよ、エレン」
エレン「待たない。女々しいこと言ってんじゃないよ」
エレン「横になってな、ヘイト」

〇黒
エレン「窓から月の光が差し込んでるでしょ?」
アパルト ヘイト「う、うん」
エレン「月に照らされた私達に何が生まれると思う?」
アパルト ヘイト「え、え、えっと・・・」
エレン「答えは、黒い影と白い影が生まれるのさ」
アパルト ヘイト「白と黒の影?」
エレン「そう」
エレン「徐々に白と黒の色の差が小さくなり」
エレン「やがて一つの影になる」
エレン「その影は何に変わると思う?」
アパルト ヘイト「あ、えっ、い!?」
エレン「そう。愛だよヘイト」
エレン「ヘイトはもう少し、ロマンチックな雰囲気を学びなよ」

〇組織のアジト
アパルト ヘイト「はっ!」
アパルト ヘイト「待って、エレン!」

〇港の倉庫
アパルト ヘイト「エレン!」
エレン「おはよ、ヘイト」
アパルト ヘイト「どこ行くの?エレン」
エレン「どこって、職場に戻るんだよ」
アパルト ヘイト「えっと、その職場って、その──」
エレン「ヘイトが想像してる所じゃないよ」
アパルト ヘイト「えっ!」
エレン「今回の仕事は、これっきり」
エレン「ちょっと、金欠だったもんでね」
アパルト ヘイト「そうなんだ、安心したよ」
アパルト ヘイト「──ねぇ?エレン」
エレン「ん?」
アパルト ヘイト「僕と一緒に暮らしていかない?」
エレン「ヘイトと?」
アパルト ヘイト「うん。後悔させない自信はあるんだ」
アパルト ヘイト「家事だって僕がするし──」
エレン「ゴメンね、ヘイト。それはまだ出来ないかも」
アパルト ヘイト「な、何で?」
エレン「・・・まだ、夢を追いかけていたいの」
アパルト ヘイト「歌手になる事、諦めてなかったんだ──」
エレン「ヘイトの言葉は嬉しい。けれど、もう少しだけ夢に挑戦させて欲しいの」
アパルト ヘイト「きっと、エレンなら叶えられるさ」
エレン「ヘイト、一緒に暮らせるタイミングが来たら必ず連絡をいれるから」
アパルト ヘイト「連絡、待ってるよ!」
エレン「また笑顔で再会しようね、ヘイト」
アパルト ヘイト「うん」
アパルト ヘイト「・・・──」

〇港の倉庫
アパルト ヘイト「・・・──」
ロイ「ヘイト!?」
アパルト ヘイト「ロイさん」
ロイ「何してんだ?」
アパルト ヘイト「僕、フラれたみたいです」
ロイ「は?」
  エレンはまた、目の前から居なくなったんだ

〇綺麗な図書館
ヘイト「雨の中、長時間、放心状態だったから風邪を引いて──」
チャールズ「それは、悲劇だな・・・」
ヘイト「初めまして」
チャールズ「チャールズだ、よろしく」
ヘイト「ここに居た2人組み知りません?」
チャールズ「知らんな。来た時には君しか居なかったよ」
チャールズ「私はいつも開館と同時にこの場所に来るんだ」
ヘイト「一番乗りですね」
チャールズ「いや、君の方が私より先にその場所に居たように思えるのだが・・・」
チャールズ「君はいつから居るんだい?」
ヘイト「昨日の夜からです」
ヘイト「僕自身の事なら、貴方が産まれる前からです」
チャールズ「何処かで会ったかね?」
ヘイト「どうでしたかね?」
チャールズ「君は幽霊かホームレスかな?」
ヘイト「どちらの存在にも似ていますよ」
チャールズ「両親は近所に住んでいるのかい?」
ヘイト「いえ、物心ついた時に僕は1人でした」
チャールズ「複雑な家庭環境のようだな──」
チャールズ「辛かろう?」
ヘイト「皆、優しいので平気です」
ヘイト「沢山、僕の話を聞いてくれますし」
ヘイト「まぁ、僕が見えた人だけですけど──」
チャールズ「君のメンタルはまるで、喜劇だな!」
チャールズ「君に興味が湧いたよ 私にも話しを聞かせてくれんかね?」
ヘイト「もちろんです!」

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