家族の猫

もち雪

『家族の猫』 公園で猫に餌をあげていた主人公のお話です。(脚本)

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〇空き地
  夕方、スピーカーから流れる童謡を聞い後、小学生が帰った後の誰も居ない空き地に向かう。
  猫の為の餌入れを、花壇の陰から取り出していつもの所に置く。
  そうするとどこからともなく・・・
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)「野良君こんばんは」
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)「ごはんだよ」
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)(故郷を離れて都会に住んでいる私には、野良君は唯一の家族みたいなものかもしれない・・・)
絢美(あやみ)「野良君美味しい?」
  野良君はご飯を食べながら目を細める
絢美(あやみ)「やっぱりうちに連れて帰りたいなぁ・・・」
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)「でも、ごめんね・・・ うちは動物禁止なの・・・」
  私は野良君をひとなでして、重い気持ちで公園を後にした・・・

〇住宅街
  ある日の朝
  アパートの前ではいつもの様に井戸端会議をしている
二階堂「ねー山﨑さん聞いた? 裏の空き地で、誰か猫に餌あげてたじゃない?」
山﨑 静子(しずこ)「あー町内会でも問題になってたアレねー」
二階堂「うんうん、そうそうあれ」
二階堂「でー、あそこの猫が歩道に通る自転車にびっくりしたらしく、空き地の中から自転車の前に飛び出したらしいのよー」
山﨑 静子(しずこ)「まぁー危ない!?」
二階堂「その自転車の奥さん、買い物帰りだったせいもあって転んでしまったらしくもー大変だったらしいのよー」
山﨑 静子(しずこ)「とんだ災難ね・・・」
絢美(あやみ)(野良君!?)
  私は急いで空き地へと向かった。

〇空き地
絢美(あやみ)(野良君!?)
  公園の前まで来た時
絢美(あやみ)「嘘!? 血!?」
絢美(あやみ)(どうしょう・・・)
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)「野良君、良かった・・・」
絢美(あやみ)「じゃ・・・・・・この血は誰の・・・・・・」
秋下「あのすみません」
絢美(あやみ)「あっはい?」
秋下「私、秋下と言います。 不躾な質問なんですが・・・」
秋下「その猫、貴方の猫ですか?」
  私は、秋下と名乗った男と野良君を交互に見比べる。
絢美(あやみ)「いえ、違います」
秋下「そうですか・・・・・・ありがとうございます でも、困ったなぁ・・・・・・」
秋下「もしかして、この猫の飼い主知ってたりしませんか?」
絢美(あやみ)「いえ・・・・・・ちょっとわかりません・・・・・・」
秋下「すみません 時間取らせてしまって、ありがとうございました」
絢美(あやみ)「いえいえ」
野良君「ニャーン」
  野良君は、一声鳴くと何処へ行ってしまった。

〇オフィスのフロア
絢美(あやみ)「ニュースは何処にもないか・・・・・・」
  会社の休み時間ネットで検索したが、それらしいニュースは無かった。
絢美(あやみ)(あの血はもしかして事故の時のものじゃなかったのかも?)
絢美(あやみ)(もしかして事故の時の血でも、きっと少し怪我しただけなのかな?)
  そう考えて仕事終わりの時には事故の事などすっかり忘れてしまった・・・・・・

〇空き地
  会社の帰り道
  見知らぬ兄弟と野良君が居た。
お子様兄「なぁ〜 お前餌くれる人が居たら、絶対教えろよ!」
野良君「ニャーン」
お子様弟「こいつわかってるのかな?」
  兄弟は、野良君に話かけているようだ。
お子様弟「もう帰りたいよ・・・ にぃちゃん」
お子様兄「でも、山﨑さんが言うにはこの時間じゃないかって言ってたしー」
お子様兄「絶対もう来るって!」
  その時、野良君が私を見つけて一声鳴いた!
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)「!?」
  私は慌てて元来た道へ引き返した。

〇女の子の一人部屋
  自宅に戻って落ち着く、明日になればなんとかなるだろう・・・・・・
  きっと
絢美(あやみ)「はいー」
謎なお子様「すみませんー」
謎なお子様「猫の飼い主は貴方ですか?」
絢美(あやみ)「貴方は誰?」
謎なお子様「貴方は猫の飼い主ですか?」
絢美(あやみ)「帰ってください・・・・・・違います・・・・・・」
謎なお子様「違わない・・・・・・だって・・・・・・」
絢美(あやみ)「・・・・・・」
野良君「ニャーン」
絢美(あやみ)「野良君・・・・・・」
  家の中にはいつの間にか、野良君がいる
謎なお子様「鳴いてるよ!!」
謎なお子様「開けて!!」
謎なお子様「開けて!!開けてよ!!」
  ドアの叩く音は、部屋中に響いていた・・・・・・
  その音の中、野良君はゆっくりドアに近づいて行く・・・・・・
野良君「ニャーン」
  その声とともに・・・・・・
絢美(あやみ)「・・・・・・」
  私はゆっくり扉が開くのを見ている事しか出来なかった・・・・・・

〇明るいリビング
TV「昨夜から木下絢美(あやみ)さんが行方不明になり・・・・・・」
「ただいま! やっぱり今日も猫の飼い主は来なかったよ!」
秋下「だから連れて来たわ!」
秋下「猫!」
お子様弟「僕、餌用意するね!」
お子様兄「一番は、俺がやるの!!」
野良君「ニャーン」
お母さん「あら、猫ちゃんごめんなさいって顔してる!?」
お母さん「ちょっと怪我してただけだから大事よ」
秋下「まぁ卵は大丈夫じゃなかったけどな」
秋下「まぁこれから新しい家族として宜しくな!」
  終わり

次のエピソード:『夜、誰かの声に応えたら』の前編です。 夜に外で、話してる人に関するホラーです。

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