バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

第9話 愛の告白? ……キスされちゃう??(脚本)

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〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「この際だから聞いちゃうけど!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンって、リアリナと聖女、どっちが好きなの?」

〇黒
  ──

〇怪しげな酒場
リアリナ・シャルルド・グレイ「では、スタン、せっかくだからお聞かせください」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この私と、ミレーユと、どちらを妃に迎えたいのですか」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そ、それは!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・ぐう・・・zzz」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょっと、スタン? 寝たふり??」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・zzz」
リアリナ・シャルルド・グレイ「嘘でしょ? スタン」
リアリナ・シャルルド・グレイ「逃げたわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(でも・・・、スタンがあんなに人のために頑張るなんて)
リアリナ・シャルルド・グレイ(スタンって、こういう王子様だった?)
リアリナ・シャルルド・グレイ(少しずつだけど、キャラの行動がずれている気がする・・・)
リアリナ・シャルルド・グレイ(まるで、リアリナが主人公みたい)
リアリナ・シャルルド・グレイ(って、ナイナイ。リアリナは明日婚約解消される身だし)
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンはミレーユを溺愛してる。・・・はずなんだけど」

〇城の客室
宿屋主人「この部屋だ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「選んでくれてありがとう! 助かったわ!」
宿屋主人「お安い御用だ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(スタンが上司だったら、放置確定だったけど)
リアリナ・シャルルド・グレイ(王太子という身分に感謝してよね)
宿屋主人「では楽しい夜を!」
宿屋主人「・・・ぐっ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「やっぱり、勘違いされてる気がするわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ううっ・・・ここは?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下、目が覚めました?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リ・・・アリナ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下が眠ってしまわれたので、部屋に案内してもらったのです」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「なんだっ! この狭い部屋は!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この宿で一番豪華な部屋を用意してくださったのに、失礼ですわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「文句言わずに、ありがたく使いましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「では、おやすみなさい」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「待て! ベッドが一つだ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ですわね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「この私が、床で寝ろというのか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「まさか、私はベッドの左側を使いますから、こちらの半分をお使いください」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そ、そんな! リアリナと同じベッドで眠れと?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これだけ大きなベッドなら、殿下の寝相が相当悪くないなら落ちることはありませんわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そういう問題ではない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「婚前の2人が同じベッドなどと!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それは、ならん! 断じてならぬ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(そういえば、ゲームでもスタンて真面目王子だったわ)
リアリナ・シャルルド・グレイ(それは、ミレーユを溺愛してたからだったわけだけど)
リアリナ・シャルルド・グレイ「今夜までは婚約者ですから、気にせずに眠りましょう」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今夜・・・までは?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「はっ! しまった! つい!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「もしや、リアリナ。 何か知っているのか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ううっ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ち、違う! 違うの!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今夜までは婚約者と言った理由は、」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今夜は婚約者のリアリナではない、新しい私の一面をお見せするということですわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ、何か一曲歌いましょうか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(あー。もう何を言ってるの・・・?)
リアリナ・シャルルド・グレイ(でも、スタンに勘づかれたら頭が吹き飛ばされる)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それは・・・ということか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ん? 殿下、今、なんとおっしゃいました?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「つまり、この私に新たなリアリナを見せたいということだな!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ははは! そうだったのか!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「って、壁ドン! してきた!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・スタン?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ、其方の気持ちを受け止めてやろう」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「申せ・・・、この私を愛していると」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どうしてそうなったの?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「照れなくていい。もう其方のことはわかっている」
リアリナ・シャルルド・グレイ「全然、わかってないですが?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「って、ちょ! 聞いてます???」
リアリナ・シャルルド・グレイ(てか、顔、ちかっ!)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「告げるがいい。その赤く染まった唇で」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ス、・・・スタン??」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・リアリナ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(キス・・・されちゃうーーー!!)
リアリナ・シャルルド・グレイ「だめえー!!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ぐほぉおおおおー!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「やば!!!」

〇城の客室
テオフィル・ベフトン「リアリナ様! 何があったのです?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これ絶対、斬首エンドよね? 悪役令嬢あるあるのエンドよね⁈」
テオフィル・ベフトン「心配ございません。これは全て、テオがしたことです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ・・・」
「・・・リ、・・・リアリナ」
「ううっ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あっ。まだ生きてた!」
テオフィル・ベフトン「お任せください。ここは私がトドメを・・・」
  と、長剣を抜き出す──
リアリナ・シャルルド・グレイ(えええー??)
リアリナ・シャルルド・グレイ「待って!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「流石にキス如きで、それはやりすぎ!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様の唇に触れたのですか?」
テオフィル・ベフトン「やはり息の根を!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「してない!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「寸でのところで吹き飛ばしちゃったから。キス・・・してないわ」
テオフィル・ベフトン「そうでしたか!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「なんか喜んでない?」
テオフィル・ベフトン「まさか。そんなことは、ございません」
「・・・ううっ・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「一体・・・、何が起きたのだ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・あ、えっっとお」
テオフィル・ベフトン「スタン様、この部屋はガスが充満しており、爆発が発生したようです」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ガス・・・。そうだったのか」
テオフィル・ベフトン「ここは私が処理いたしますので、殿下は部屋でお休みになってください」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「う・・・む」
テオフィル・ベフトン「よろしければ、私の部屋をお使いください」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「心遣い感謝する」
テオフィル・ベフトン「滅相もございません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタン・・・、信じて行っちゃったわ」
テオフィル・ベフトン「あのご様子ですと、朝まで部屋からは出て来ないでしょうね」
テオフィル・ベフトン「では、リアリナ様。明日、早朝にお迎えにあがります」
リアリナ・シャルルド・グレイ「待って!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンに部屋をあげちゃったでしょ? どこに泊まるつもり?」
テオフィル・ベフトン「私のことは、お気になさらず」
リアリナ・シャルルド・グレイ「気にするわ。私の従者ですもの」
テオフィル・ベフトン「心配には及びません。一介の騎士は、どこででも眠れるように訓練されておりますので」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも・・・」
テオフィル・ベフトン「では、おやすみなさい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あっ。テオ!」
テオフィル・ベフトン「お嬢様?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「その・・・。助けてほしいの」
テオフィル・ベフトン「助ける?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「知らない土地じゃ、1人で眠れない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だから・・・、そばにいてくれる?」

〇英国風の部屋
「リアリナ様、こちらへ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これは?」
テオフィル・ベフトン「眠れないとおっしゃられていたので、足を温めましょう」
テオフィル・ベフトン「では、御御足を・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(靴を脱がされるのって、なんか・・・なんだか)
テオフィル・ベフトン「ああ、やはり冷えておりましたね」
テオフィル・ベフトン「湯加減はどうです?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょうどいいわ」
テオフィル・ベフトン「たくさん歩かれましたからね。少し揉みましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「っ!」
テオフィル・ベフトン「強すぎましたか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょ、ちょうどいいわ」

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