ep,1夢・現実(脚本)
〇黒背景
私は平々凡々な日常を送る女子高校生。
嫌いな学校、思い通りに行かないことばっかりでこの世界はつまらない
そんな時ある夢をみた
〇グラウンドの隅
内海晴弥「羽鳥さん!ずっと前から貴方が好きでした。良ければ俺と付き合ってください」
羽鳥 紀「え!」
内海晴弥「だめですか?」
羽鳥 紀「実は私も・・・」
羽鳥 紀「私も内海くんが好きだった!」
内海晴弥「じゃあ!」
羽鳥 紀「うん」
羽鳥 紀「付き合お!」
松前純「かーなめ! おめでとー!!」
羽鳥 紀「もー恥ずかしいよぉ」
普段の私にはとても似つかわしくない容姿、好きな人に告白されてなぜかそれをクラスの対して仲の良くない陽キャが祝っている夢
何もかもが順風満帆なその夢は現実世界の私をさらに追い込んで行く
〇黒背景
あれから続きが見たいあの夢は一度も見ていない
〇通学路
羽鳥紀「あの夢を見るためには・・・」
羽鳥紀「なにこの店」
羽鳥紀「『貴方が望む物をご紹介いたします、導き屋より』?」
羽鳥紀「んなわけねーじゃん」
羽鳥紀「まあ取りあえず入ってみっか」
〇薬屋
羽鳥紀「こんにちはー・・・」
羽鳥紀「なにこれ」
羽鳥紀「水晶?使えんのかな」
「なにかお探しですか?」
羽鳥紀「え、えっと」
雑貨屋の店主「ゆっくり見ていって下さい ほとんど人の出入りはありません」
羽鳥紀「はい、ありがとうございます」
羽鳥紀「うーん」
雑貨屋の店主「貴方 この水晶に手をかざしてくれないかしら?」
羽鳥紀「え、まじすか?」
占いの類いは信じないタイプなんだけどな
羽鳥紀「わかりました」
羽鳥紀「どうでした?」
雑貨屋の店主「貴方、特定の夢を見たがっていますね?」
羽鳥紀「そうですが」
雑貨屋の店主「そんな貴方にはこちらを差し上げましょう」
羽鳥紀「時計?」
雑貨屋の店主「これは「見たい夢」がいつでも見られる時計です」
羽鳥紀「まじですか?」
雑貨屋の店主「はい」
雑貨屋の店主「ただし使いすぎると・・・」
羽鳥紀「これ下さい、いくらですか?」
雑貨屋の店主「・・・」
雑貨屋の店主「390円です」
羽鳥紀「意外と安い」
羽鳥紀「どうぞ」
雑貨屋の店主「じゃあおつりね」
羽鳥紀「ありがとうございました、!」
これであの夢が見られる
全てが順風満帆になる!!
雑貨屋の店主「・・・はぁ」
雑貨屋の店主「ただし使いすぎると夢から戻れなくなります と忠告しておこうと思ったのですが、きっとあの子には関係ないのでしょうね」
〇男の子の一人部屋
羽鳥紀「この時計か・・・」
羽鳥紀「首からかけて・・・っと」
羽鳥紀「これで寝ればいいんだよね」
羽鳥紀「おやすみなさい」
それからこの日はあの夢の続きが見れた
〇男の子の一人部屋
毎日使い続けて1週間が経った頃
羽鳥紀「この時計があればもうなにもいらない」
羽鳥紀「おやすみなさい」
〇一戸建て
羽鳥 紀「いってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
内海晴弥「紀、学校行こーぜ!」
羽鳥 紀「晴弥!」
羽鳥 紀「うん、行こー」
私は紀、順風満帆な女子高校生!
〇教室
羽鳥 紀「おはよー」
内海晴弥「じゃあ紀、後でなー」
羽鳥 紀「うん、ばいばーい」
松前純「紀おはよー」
羽鳥 紀「純おはよ!」
松前純「今日もラブラブで何よりだわ」
羽鳥 紀「えへへ」
松前純「そういえば明日ららぽ行くんだけど紀も来る?」
羽鳥 紀「行くいく!」
松前純「おっけー じゃあみんなに知らせとくね」
羽鳥 紀「よろしく」
〇商業ビル
羽鳥 紀「ごめーん!待った?」
松前純「紀!」
松前純「待ってないよー」
羽鳥 紀「良かった~」
西条紫帆「お待たせー」
松前純「もー紫帆遅いよー」
西条紫帆「ごめんって~」
この人は誰だろう
知っている気がするけど思い出せない
松前純「あ紀、この子西条紫帆っていうんだ」
西条紫帆「よろしくお願いします」
羽鳥 紀「よ、よろしく」
松前純「じゃあ中いこーよ」
〇ゲームセンター
西条紫帆「わーこれ欲しい、綺麗だなー」
羽鳥 紀「紫帆ちゃん、これ取ってあげるよ」
何故だろうあの時計、見たことがある気がする
西条紫帆「ほんと!ありがとう」
西条紫帆「上手いね!」
羽鳥 紀「ありがとう」
松前純「クレープ買ってきたよー」
「ありがとー」
松前純「もーパシりやがって~」
松前純「なにそれ」
西条紫帆「紀ちゃんが取っ手くれたんだー」
松前純「よかったじゃん!」
西条紫帆「うん!」
〇可愛い部屋
羽鳥 紀「ふぅ疲れたー」
羽鳥 紀「寝るかなー」
あの時計、なんだったんだろう
見たことあるようなないようなー
羽鳥 紀「まあいっかー」
羽鳥 紀「おやすみなさい」
〇教室
羽鳥紀「ほんとにこれでいいのかな」
松前純「もー内海ってば笑」
内海晴弥「しゃーねーだろ わかんなかったんだから」
松前純「はは笑」
羽鳥紀「すいませ・・・」
松前純「ちょ内海、ぶつかったよー」
内海晴弥「そうか?」
晴弥?なんで私を見てくれないの?
付き合ってるんじゃないの・・・
松前純「てかあれ誰だっけ」
内海晴弥「はと・・・?」
内海晴弥「わかんねーや」
──嫌いな陽キャ──
え、純と晴弥が嫌い?
なに考えてるんだろ
〇男の子の一人部屋
羽鳥紀「はぁあのくそ陽キャども・・・」
羽鳥紀「ぶつかったら謝れよ」
くそ陽キャ?なに言ってるの私・・・
羽鳥紀「やっぱこの時計かわいいなー」
え、この顔・・・紫帆ちゃん?
でも晴弥は「羽鳥」って?
羽鳥紀「またこれで良い夢みるかー」
羽鳥紀「いやーほんとにこれ効くよなー」
その時計、今日紫帆ちゃんに取ってあげたやつ
羽鳥紀「おやすみなさーい」
〇可愛い部屋
羽鳥 紀「めっちゃリアルな夢みたな」
羽鳥 紀「まあいいかー」
羽鳥 紀「ってもうこんな時間!?」
「もしもーし」
羽鳥 紀「あ、晴弥?もう着いてたりする?」
「めっちゃ着いてる笑」
羽鳥 紀「ごめんね!今起きた」
「ゆっくり準備してきな、俺待ってるから」
羽鳥 紀「ありがとー!」
〇通学路
内海晴弥「おはよ!」
羽鳥 紀「おはよ💦」
内海晴弥「寝坊なんて珍しいな」
羽鳥 紀「今日嫌な夢見てさー」
内海晴弥「どんな夢?」
羽鳥 紀「──って夢」
内海晴弥「えーなにそれ」
内海晴弥「俺が紀のこと無下に扱うわけねーのにな!」
羽鳥 紀「そ、そうだよね!」
そう、晴弥がそんなこと言うはずない・・・
──嫌いな陽キャ──
あれはなんだったんだろう
〇教室
松前純「紀、おはよ 今日遅いじゃん」
羽鳥 紀「純おはよ」
羽鳥 紀「寝坊したー」
松前純「昨日はしゃぎすぎたか笑」
羽鳥 紀「そーかも!」
〇可愛い部屋
羽鳥 紀「もしもし」
「もしもーし」
羽鳥 紀「あ、紫帆ちゃん?」
「あ、紀ちゃん?」
羽鳥 紀「今度二人で遊ぼーよ」
「いいよー」
羽鳥 紀「紫帆ちゃんともっと仲良くなりたいし!」
「なにそれー笑」
「私も紀ちゃんと仲良くなりたいかも笑」
羽鳥 紀「ありがと!」
羽鳥 紀「じゃあ今度また連絡するねー」
「うん、ばいばーい」
羽鳥 紀「これでちょっとはあの夢のことがわかるかな」
この夜見た夢は変だった
悲しくも楽しくもない変な夢
〇電脳空間
鏡須アリサ「貴方、早く夢から覚めなさい」
??「夢?」
鏡須アリサ「はぁ」
鏡須アリサ「やっぱりわかっていなかったのね」
鏡須アリサ「忠告を聞かないから」
??「・・・?」
鏡須アリサ「じゃあまず聞くわね」
鏡須アリサ「今の貴方は現実と夢どちらにいるの?」
??「夢?現実?なにそれ」
??「私は「羽鳥紀」!それ以上でもそれ以下でもない」
鏡須アリサ「はぁ鏡よ・・・この子の姿を写しなさい」
彼女の言う『現実世界』の私が表示された
??「なにこれ・・・」
羽鳥 紀「よく、夢に出てくる人」
──私だよ──
羽鳥 紀「いつも私の夢に出てくる干渉してくる人!?」
鏡須アリサ「あのね貴方はずっと夢を見ているの」
鏡須アリサ「とても都合の良い夢、幸せな夢」
鏡須アリサ「いい加減現実世界に戻りなさい」
羽鳥紀「嫌だ!」
鏡須アリサ「いや心配する人いるでしょ」
羽鳥紀「・・・」
鏡須アリサ「まあいいわ」
鏡須アリサ「これを見なさい」
羽鳥紀「なにこれ・・・」
羽鳥紀「『現実世界』の私に戻ってる・・・」
羽鳥紀「嫌だ、よ! こんな幸せな世界・・・手放したくない!!」
鏡須アリサ「幸せな世界というか都合の良い夢よ こんな世界存在しない」
鏡須アリサ「貴方に『内海晴弥』よいう彼氏はいないし、『松前純』と言う名前の友達もいないのよ」
鏡須アリサ「全部『貴方が望んだ世界』であって『現実世界』ではない!!」
羽鳥紀「うぅ」
鏡須アリサ「以上のことを聞いた上で貴方が起きたいと望めばその通りになるわ」
鏡須アリサ「起きた後は・・・その時計を老婆の店に返しなさい返金してくれるはずだから」
羽鳥紀「わ、わかったわ」
雑貨屋の店主「彼女は起きることを望むでしょうか」
鏡須アリサ「さあそれはわからないわ」
鏡須アリサ「まあ目覚めないという未来が鏡に写っているということは・・・そういうことよ」
雑貨屋の店主「要は望まない、と?」
鏡須アリサ「でしょうね」
鏡須アリサ「彼女のとって都合の良い『夢』を見ている今は幸せなのよ」
鏡須アリサ「つまりそれが真実よ」
〇可愛い部屋
羽鳥 紀「ん、」
「もしもし、今着いたよ」
羽鳥 紀「わかったー今行くね!」
羽鳥 紀「ふぅ」
羽鳥 紀「起きたいなんて、望むわけないよね!」
こうして羽鳥紀は『夢』から出ることはなかった
ハッピーエンド? 完
『胡蝶の夢』じゃないですが、人生なんて夢みたいなもの。果たして人が蝶の夢を見ているのか、蝶が人の夢を見ているのか・・・
つまらない現実より夢の世界の方が良い。考え方を変えれば、つまらない現実の方が実は夢なのかもしれない。だったら楽しい夢の方を現実と捉えても良いのかもしれません。ずっと夢から覚めない方が幸せですね。考えさせられました!!😮