読切(脚本)
〇ハチ公前
──202X年
明るい──街の光が──人の顔が
私は、出口A8から降り、右を向くとふと気付く。
待ち合わせている人たち、談笑している人達は多種多様だ。
──
──
──!?
──彼らは待ち合わせ相手とこれから何を食べるか、どこへ行くか、等を考えているようだ
──私もそのうちの一人
・・・
・・・
かおり(・・・明美まだかな)
〇ハチ公前
〇ハチ公前
〇ハチ公前
かおり「わた・・しは・・彼女・・・に・・つ・・・たえ・・・なく・・ては・・なら・・ない・・・ことが・・・」
──志半ばで夢が潰えそうな、正にその時
お待たせ~♪さぁ、いこっか~♪
彼女は太陽8個分の笑顔──それをエネルギに変換が可能ならば、地球上のエネルギー問題が即解決──を湛えて現れた
明美「わぁ、すっごい疲れたひどい顔してる~!?ゾンビ映画に出演予定!?」
彼女の名は本田明美。私と同じ大学の同級生だ。成績は学年首位だが、時間感覚が人間のそれとは思えないのは、ご愛敬か。
かおり「はは・・わ・・・たし・・・ハリ・・・ウッド・・いけ・・・るか・・n」
かおりは倒れた!!
明美「かおりーーーー!?」
〇ハチ公前
かおり「こ、ここは・・・公ハチ前か・・・」
明美「もう、びっくりしたよ~!!急に倒れちゃうんだもん。。糖分取らないと、当分動けないかも!?」
明美「ということで、これあげる!」
かおり「冗談が過ぎるよ!?私、ロボットじゃないよ!?」
明美「ごめんごめん!!こっちだった!」
明美「あ~・・・テレビのリモコンの電池変えなきゃいけなくて、近くのコンビニで買ってからポケットに入れっぱなしだったんだよね!!」
かおり(これは、追及しないとな。。)
かおり「・・・前、今は情報過多の時代で、テレビは必要ないから持ってないとか言ってなかったけ?」
明美「じ、時代は移り変わっていくのだよ・・・飛花落葉・・・」
明美「!!そうだ!! さっき、おいしいケーキが食べられるお店発見したんだよね! レッツゴー!!」
かおり「あ、はぐらかしたな~!!」
明美「光陰矢の如し!!時は金なり!!」
かおり「ちょ・・・速すぎ!?車と・・・並走してるよ!?」
かおり「待て~~!!」
〇レトロ喫茶
明美「いや~夜遅くまで営業してるから助かった~♪さぁ食べよう食べよう♪」
かおり「はぁ、、はぁ、、、やっと追いついた~~」
明美「店員さーん!!」
店員1「ご注文はいかがなさいますか?」
かおり(魔法陣から出てきた・・・昨日公ハチ前にいた人、ここで働いていたんだ・・・)
明美「私は抹茶ケーキで!!」
かおり「あ、私も、抹茶ケーキ一つください!!」
店員1「抹茶ケーキお二つですね。承りました」
明美「ところでさ、これからどこへ行く?」
かおり「!?え、ツッコミなし!?」
明美「!?え、世は無常だよ!?」
かおり「そうだね。。世は無常だね。何が起こっても、それに動じない不動心が必要だよね」
明美「そうそう。そうなのだよ」
店員1「抹茶ケーキをお二つお持ち致しました」
「ありがとうございます!!」
店員1「ごゆっくりどうぞ」
「モグモグ・・・美味し~い♪」
かおり「さっきの話の続きだけど・・・」
明美「モグモグ・・・なんだっけ!?さっきの話って!?」
かおり「どこへ行くのかっていう話!」
かおり「私は、901でショッピングした後に、映画を見に行きたいんだけど・・・」
明美「うーん。坂巡りしない!?お金かからないし!」
かおり「坂巡りか~いいね!シブヤは坂が多いからね!」
〇SHIBUYA109
明美「ドウゲン坂良いよねぇ、この901の前で、二股に分かれるところがさ~。人生って感じ!?」
かおり「あ~。確かにどちらかの選択肢を選ばなくてはいけない時ってあるよね。妥協か、追及かみたいな」
明美「単純に妥協がダメとかではなくて、追及しても、誰かと衝突して、最終的に妥協したほうが良かったとかね~」
かおり「そ~そ~。面倒くさいよね。」
明美「私は、そういう面倒臭さが、好きなんだよね。人として生きているって感じがして。」
明美は、何かに対する羨望からか恍惚とした表情をしていた
〇東急ハンズ渋谷店
〇スペイン坂
明美「夜遅くても、賑わってるね~さすがシブヤだね~」
かおり「・・・あのね。。明美に伝えたいことがあるんだけどいいかな」
明美「なに~♪勿体ぶっちゃっつて♪」
かおり「私・・・私、明美のことずっと前から好きだったんだ!付き合ってください!」
そう言った瞬間、周りの喧騒が一瞬にして静まりかえった気がした。
明美「・・・かおり、その気持ちはありがたいよ。私も、かおりのこと大好きだもん」
明美「けど、ごめんね。付き合うことはできない」
かおり「な、なんで!?あなたが、アンドロイドだから!?」
明美「えーー!?知ってたの!?バレない様に、細心の注意を払っていたのに!!」
かおり「ずっと前から、バレてるよ。。流石に。。今日だって、私のほうがひやひやしてたぐらいだよ」
明美「・・・そっか。私のこと、誰かにひきわたすつもりなの?」
かおり「なんで?」
明美「だって、私、一日に太陽八個分のエネルギーを生み出せるんだよ!電池一個で!これで、エネルギー問題解決しちゃうよ!」
かおり「私は、地球よりも、あなたと過ごせることのほうが尊いの!!」
〇スペイン坂
明美「私・・・生まれた時から、自分は、壊れるまで使われて、打ち捨てられる運命なんだなって思ってた」
明美「でも、かおりに救われたよ。ありがとう」
明美「それだけで、十分だよ。本当にありがとうね!!」
そのまま、明美は走り出して、人ごみに紛れて見えなくなった。
私は、追いかけられなかった。彼女がそれを求めていないことは分かったから。
〇ハチ公前
シブヤ──人が沢山いるのに、彼らは互いにぶつからず、
自分の人生をひたむきに歩いている
私もそのうちの一人
多種多様な人がいるって考えると、少しワクワクしますね!
他人の感情や心はわからないので、自分以外の人間はロボットなのでは?宇宙人なのでは?と思うこともたまにあります笑
所々にギャグがあったり、
テンポよくすいすいと読んでおりました😌
どこか儚さも感じる物語ですね🥲
魔法陣大活躍です🙆♀️笑
アンドロイド、つまりロボットであっても人間であっても、心があるなら、こんなに深い愛情、友情がうまれますね。利用価値ではなく、存在価値を認められることのほうがずっとずっと嬉しい。ロボットだとばれてしまえば、利用価値を重視する人間につれていかれてしまうかもしれない。このふたりがこれからも幸せで平穏な時間を過ごしていけますように。