26話 異変の気づき(脚本)
〇テレビスタジオ
キャスター「最近はペットなどから感染してしまう動物腫瘍病が発生しています」
キャスター「早めにお近くの病院などで厚生省推奨の抗体注射を打ちましょう」
キャスター「フェイザーやダイオー製薬のこの注射は感染を95%防いでくれます」
キャスター「あのブレインマイクロチップ社のキル・ゲッツもこういった製薬注射を推奨していますよ」
キャスター「安心して病院で打ちましょう」
〇おしゃれなリビングダイニング
千穂の家のダイニングルーム
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「この病気、ニュースになってもう二週間くらい経つね」
良和「うん 急に騒がれだしてな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「打った方がいいかな、大横注射っての」
良和「うーん しばらくはいいんじゃないか」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そうね・・・」
良和「はっきりとは分からん だがとりあえずだ、ゲッツや政府の言うことなど信用できんだろ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そうね」
〇教室の教壇
担任「はーい、みんな 最近の動物腫瘍病知ってるかなー」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あ、それテレビで見ましたー」
担任「最近話題よね ペットから感染する恐ろしい病気なんだって」
熊元治(くまもと おさむ)「あのキル・ゲッツが言うことなど信じられるのかな・・・」
担任「なるほど。確かに陰謀論の好きな東北ならそう言いそうだね」
担任「熊元には悪いんだけれど うちの学校は大横注射を全校生徒が接種することに決まったんだ」
熊元治(くまもと おさむ)「え。本当ですか?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「先生、それってまずいんじゃ・・・」
担任「あんたたちもすっかり東北のカラーに染まってしまったようね」
担任「まあとにかく決まったことなのよ そういうわけで一週間後に医者が来るから接種希望者は 紙に書いて出してください」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「よかったー 強制かと思った」
熊元治(くまもと おさむ)「希望者って・・・ それじゃ打つ人が大半じゃ・・・」
担任「まあそうなるかな・・・」
〇体育館の裏
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(はぁーやっと三時間目が終わった 熊元と顔を合わせづらい。ここで休もうっと・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(本当にやばいんじゃないの。みんなあんな注射打つって・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(まあさすがにゲッツもそこまでひどいことはしないか・・・ ・・・今までの予防接種だってクラスで死人はいなかったんだし)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ん・・・あれは」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(福鳥さんと・・・虹場君? こっちに来る! あの二人知り合いだったっけ?)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・・・・ちょっと様子を見よっと」
虹場 柊(にじば しゅう)「ここでいい」
福鳥ゆな(ふくとり)「はい」
虹場 柊(にじば しゅう)「学校では 普通にしてろ」
福鳥ゆな(ふくとり)「しています」
虹場 柊(にじば しゅう)「そうだな。バカとは付き合うなよ」
福鳥ゆな(ふくとり)「前もこんな感じですから」
虹場 柊(にじば しゅう)「そうか」
虹場 柊(にじば しゅう)「例のあざは消えたか」
福鳥ゆな(ふくとり)「はい、どんどん目立たなくなっています」
虹場 柊(にじば しゅう)「それはよかった」
虹場 柊(にじば しゅう)「お前の精神が進歩した証拠だ」
虹場 柊(にじば しゅう)「今後間違いを犯さなければだが、順調に消えていくだろう」
福鳥ゆな(ふくとり)「・・・はい」
虹場 柊(にじば しゅう)「まあいい。それならもうこの学校ですることもない」
虹場 柊(にじば しゅう)「今後も今の状態を継続するように」
福鳥ゆな(ふくとり)「分かっています」
福鳥ゆな(ふくとり)「虹場さんは今後どうするんですか」
虹場 柊(にじば しゅう)「さあな」
虹場 柊(にじば しゅう)「注射は打つのか」
福鳥ゆな(ふくとり)「はい。そのつもり」
虹場 柊(にじば しゅう)「そうだな」
虹場 柊(にじば しゅう)「話はそれだけだ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(どうなってんの・・・前から知り合い?)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「変ね」
〇大きい施設の階段
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・っていう光景を見ちゃったのよ」
熊元治(くまもと おさむ)「あの二人がな・・・今まで話してるところなんて見たことなかったよ俺」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしもびっくりしたよ」
熊元治(くまもと おさむ)「何かおかしいよな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「うん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「どうしよっか」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「高の木・・・あのさ ごめんな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ん・・・何が?」
熊元治(くまもと おさむ)「いろいろと いつも喧嘩ばかりしちゃうからさ 俺も何か最近いらだっててさ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしの方こそごめんね 何か話す場所にこだわっちゃうのよ」
熊元治(くまもと おさむ)「いや、もういいんだ 高の木が気になるんだったら教室で話すのはやめようと思う」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ありがとう・・・ けど・・・こだわっていたのが変な気もするのよね、こうして話してる今は・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「そうなのか」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「なんであんなに教室で陰謀論の話をするのを嫌がっていたのか・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「俺もだ、自分の意見に固執したのが今では分からない」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「不思議なものだな」
〇電車の中
熊元治(くまもと おさむ)(よし・・・福鳥は向こうの車両にいるな・・・)
熊元治(くまもと おさむ)(ほんとに今まで通りの生活をしてるのかな バレないように後をつけないと・・・)
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「前の家がある駅で降りたな・・・」
〇一戸建て
福鳥ゆな(ふくとり)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)(前と同じところに住んでるな・・・ 両親はまだ帰ってない? 特に変わったとこはないか・・・)
熊元治(くまもと おさむ)「いや、まだわからん・・・」
熊元治(くまもと おさむ)(よし、庭に入って様子を見るか)
〇豪華なリビングダイニング
男「・・・」
福鳥ゆな(ふくとり)「ただいま」
男「おかえり」
男「どうだ、学校は」
福鳥ゆな(ふくとり)「はい、一人で静かに過ごしていました」
福鳥ゆな(ふくとり)「そうすると以前と違って気分がいいです」
男「そうか」
男「よくなってきたな」
男「・・・」
男「もう攻撃行動はするなよ」
福鳥ゆな(ふくとり)「はい。以前の私は間違っていました 深く反省の日々です」
男「よろしい」
男「おい。奴隷と囚人を連れてこい」
男「はい」
男「・・・」
祐芽(ゆうが)「学校は終わったんだね、ゆな」
菜季(なき)「お帰り、ゆなちゃん」
福鳥ゆな(ふくとり)「うん」
男「へへへ」
男「プッ」
男「ハハハ」
福鳥ゆな(ふくとり)「・・・」
男「今後調子に乗ったらまた強制労働、独房行きだからな」
男「そして今後は会に金を納めろよ」
男「払わなかったらまた辛ーい毎日だ」
男「わかったな?」
祐芽(ゆうが)「はい」
菜季(なき)「・・・」
男「返事がないな」
菜季(なき)「きゃっ!」
男「バカが! お前もわかるな?」
祐芽(ゆうが)「はい、逆らったのですから当然です ご主人様」
男「当たり前だ」
男「まったく、いい加減にしてもらいたいものだ」
男「こっちも迷惑なんだよ。折伏九回目だぞ」
男「相互会に対して今日も謝ったのか」
祐芽(ゆうが)「はい、生きた本尊様に百回謝らせていただきました」
男「よし」
男「じゃあくれぐれももう相互の皆さんに迷惑をかけるなよ」
男「逆らうんじゃねえぞ。ハゲ」
祐芽(ゆうが)「はい」
男「我々はこれで帰るが、まだ監視しているからな」
男「そうだ」
男「じゃあな 下等な日本人」
祐芽(ゆうが)「はい」
祐芽(ゆうが)「・・・」
福鳥ゆな(ふくとり)「・・・」
菜季(なき)「ありがとうございました」
祐芽(ゆうが)「申し訳ありませんでした」
〇一戸建て
熊元治(くまもと おさむ)(部屋で何をやってるんだ)
熊元治(くまもと おさむ)(あいつらどっかで見たことあるな・・・そうか、相互の奴らか!)
熊元治(くまもと おさむ)(一人は髪を染めてたけどカラオケにいた奴だ)
熊元治(くまもと おさむ)(やばっ。奴らが出てくる・・・ 退散しないと)
それぞれの家の距離まで考えているとは、設定がすごく緻密なんですね!!
フィクションの形を借りて、結構やばい現実を反映してますね。怖くなってきました!!