殺し屋、出勤中。

吹宮良治

エピソード27(脚本)

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吹宮良治

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〇高層ビル

〇オフィスのフロア
中堀伸介「結城さん! 待ってたよ、今日から出社だったね。 大丈夫?」
結城あかり「ご心配おかけしました」
中堀伸介「まだ落ち着いてないだろうし、仕事はゆっくりでいいから」
星野千尋「あかりさん、おかえりなさい」
石田克典「やっぱり、あかりさんがいると営業部に華がありますねぇ」
星野千尋「私に喧嘩売ってます?」
石田克典「言葉尻とらえないでよぉ。 デリカシーのなさは俺の十八番なんだからさ」
星野千尋「あーもう嫌だ」
結城あかり「ふふ」
星野千尋「あかりさんが笑ってくれた!」
結城あかり「私、本当にここでまた働いていいんですか」
中堀伸介「もちろんだよ」
石田克典「中堀さん、毎日社長に掛け合ってましたもんね」
中堀伸介「お前と千尋ちゃんも、社員たちから署名集めてたじゃないか」
石田克典「あれ、バレてました?」
星野千尋「あかりさんは、この会社に必要な人です」
結城あかり(私はまたここに戻ってこられるなんて思ってもなかった)
結城あかり(事件に巻き込んでしまった私をまた迎え入れてくれた営業部の仲間たち。一生の宝物)
結城あかり(そして私より一足早く復帰した彼も・・・)
中堀伸介「お、高井」
高井雄太「・・・あかりさん」
結城あかり「高井くん」
石田克典「湿っぽいのはなしにしましょうね。 これで全員揃ったんですから」
結城あかり「ごめんね、私のせいで・・・」
高井雄太「あかりさんが無事で良かったです」
結城あかり「・・・ありがとう」
石田克典「はい、しめっぽいのは終わり!」
高井雄太「・・・そういえば不破さんは」
結城あかり「・・・・・・」
高井雄太「見つかったんですか?」
結城あかり「・・・まだ」
中堀伸介「確か肩を撃たれてたよな。まさか・・・」
星野千尋「やめてください、不破さんは無事ですよ」
中堀伸介「・・・すまん」
石田克典「これ全然関係ないとは思うんですけど、ちょっと気になるニュース見たんです」
中堀伸介「なんだよ」
石田克典「この近くの動物園で、誰かの血痕が見つかったって」
結城あかり「え?」
石田克典「ゴリラの檻の前にあったらしいですよ」
中堀伸介「なんだよそれ。飼育員が怪我したんだろ」
星野千尋「不破さんが動物園なんて・・・」
結城あかり「今の話本当ですか!」
石田克典「え?」

〇ゴリラの飼育エリア
ゴリラ「ウホウホウホ!」
結城あかり「不破さんと前にここへ来たことがあって・・・」
石田克典「マジっすか」
中堀伸介「じゃ見つかった血痕って、本当に不破さんのじゃ・・・」
ゴリラ「ウホ!」
星野千尋「ゴリラもそうだって」
石田克典「ゴリラ語分かるの?」
星野千尋「気がしただけです」
石田克典「安心した」
  はっはっはっは
高井雄太「!」
結城あかり「!」
灰島竜也「頭の弱い会話してるねぇ」
結城あかり「・・・あなた」
灰島竜也「見つかった血痕は、あの人のもので間違いないと思うよ」
結城あかり「不破さんがどこにいるか知ってるの?」
灰島竜也「あの失血量だったからね。 もう死んでるんじゃない?」
灰島竜也「撃ったのは俺だから、殺したのは俺か。 はっはっは」
結城あかり「・・・よく笑えるわね」
灰島竜也「そちらの僕ちゃんも久しぶり」

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