本気なのよ!!(脚本)
〇狭い畳部屋
棗絢音「あ! もー・・・ またぁ〜」
・・・それは夕飯の洗い物を終えた時だった。
台所から帰ってきた絢音は、雑に脱ぎ捨てられた靴下を見て眉を顰める。
棗絢音「藤次さん!!何回も言わせないで!!靴下はちゃんと表にして脱衣カゴに入れる!」
棗藤次「んー? なんやねん藪から棒に〜。 今面白いとこやねん。 絢音やっといて」
そう言って、書店で買ってきたお気に入りの作家(因みに女)の小説を読む藤次の態度に、温厚な絢音の堪忍袋が切れる。
棗絢音「なによ!そんなだらしのない藤次さん、私大っ嫌い!!!」
棗藤次「!」
不意に耳をついた「嫌い」発言に、藤次は一瞬目を丸くしたが、やがてニヤニヤと薄気味悪く笑うものだから、絢音はたじろぐ。
棗絢音「な、なによ・・・」
棗藤次「お前なぁ、いくら今日言うてええ日やからて、そんな見え見えの嘘つくなや〜。おもんないわ〜」
棗絢音「はあ?! ちょっ?! なに・・・」
狼狽える絢音を抱きしめて、藤次は可愛可愛いと頭を撫でる。
棗藤次「今日エイプリルフールやもんなぁ。やから一生懸命考えたんやろ?」
棗絢音「え、あの、違」
棗藤次「うんうん。 そやし、そない分かりやすいのは、逆に可愛いアピールにしか聞こえんえ?」
棗絢音「いや違っ! 私本気で・・・!!」
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