第3話 千春の決意(脚本)
〇教室
神埼 千春(かんざき ちはる)(でも・・・授業を受けていたら、距離も縮まってくるかな)
神埼 千春(かんざき ちはる)(こんなわたしでも、できることはやらないと!)
桜井 えりか(さくらい えりか)「ねえねえ、こんなの面白くない?」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「あはっ、なにこれw 男の人もよくやるよねーw」
桜井 えりか(さくらい えりか)「それなぁーw ほらほらこれも見てよ__」
神埼 千春(かんざき ちはる)(あの人たち、何やってるんだろう・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(もうとっくに時間は来てるのに)
神埼 千春(かんざき ちはる)(って、あれ? もう9時なのに、先生とか誰も来ないの?)
里河 渼白(りかわ みしろ)「あれ?千春ー、何か困りごと?」
神埼 千春(かんざき ちはる)「えっと、先生とかは・・・?」
神埼 千春(かんざき ちはる)「もう9時過ぎてるのに、全然来ないので・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)「ああ、そういうことね!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「あたしたちも先生の姿を見たことはないよ」
里河 渼白(りかわ みしろ)「いつも放送でね__」
里河 渼白(りかわ みしろ)「ほら、言ったそばから」
神埼 千春(かんざき ちはる)(え・・・?)
放送の声「おはようございます。 教室の生徒の皆さん、お元気でしょうか」
放送の声「今日もポイント獲得に向けて、いくつかのゲームに取り組んでもらいます」
神埼 千春(かんざき ちはる)(げ、ゲーム!? テストとかじゃなくて?)
神埼 千春(かんざき ちはる)(それに、ポイント獲得って・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(まるで、『ポイントをたくさん集めればここから出られる』って言ってるみたい・・・)
放送の声「今日の種目は『校内鬼ごっこ』『だるまさんがころんだ』『人狼ゲーム』の三つです」
放送の声「教室に、それぞれのルールや獲得ポイントが書かれた紙があると思うので、しっかり理解しておいてください」
放送の声「『校内鬼ごっこ』の開始は9時30分です」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)「今日はなんだか多いね! みんなで頑張ろうー!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「そうだね! 真由、足引っ張らないでね?」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「当然でしょ? えりりんこそ遅れず付いてきてよ?」
神埼 千春(かんざき ちはる)(・・・って、みんななんでそんなに冷静にいられるの!?)
神埼 千春(かんざき ちはる)(というか、ルールが書かれた紙なんて、どこにあったんだろう?)
神埼 千春(かんざき ちはる)(ま、今さら嘆いても仕方ないよね。 この教室で、学校で頑張って、ポイントを稼いで__)
神埼 千春(かんざき ちはる)(ここからみんなで帰る!)
堺 将𠮷(さかい まさよし)「・・・じゃあ、始めよう」
里河 渼白(りかわ みしろ)「よっ!我らが知謀まさ~!鬼ごっこの作戦、もうあるんでしょ?」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「・・・ああ」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「こんな感じ」
里河 渼白(りかわ みしろ)「ありがと~」
神埼 千春(かんざき ちはる)(堺くん、ほんとに喋んないや)
神埼 千春(かんざき ちはる)(作戦とか考えてるのは意外だけど、なんか、里河さんたちのことを避けてるような・・・)
里河 渼白(りかわ みしろ)「ふむふむ・・・」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「うわ、今回もぎっしりー・・・」
桜井 えりか(さくらい えりか)「まさ~、もうちょっと簡潔に書けないのー?」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「・・・・・・仕方ないだろ」
里河 渼白(りかわ みしろ)「そうだよ!まさは考えてくれてるんだから、細かいところとかはあたしたちで決めるのも大事!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「でもぉ・・・」
桜井 えりか(さくらい えりか)「ここの、『騙して逃げる』って何?アタシ、そんなことできないんだけど・・・」
神埼 千春(かんざき ちはる)(わっ、ほんとぎっしりだな・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(でも、分かりやすくまとめられてる)
神埼 千春(かんざき ちはる)(堺くんは話すのが苦手なんだろうけど、これを読み解けば、いい立ち回りができるかも)
里河 渼白(りかわ みしろ)「千春~、えりかに教えてあげて~! あたしじゃお手上げだよ~・・・」
神埼 千春(かんざき ちはる)「ひゃっ」
里河 渼白(りかわ みしろ)「ここ、騙すってどんな感じだと思う?まさ、いつもこんな感じで書いてるんだけど、全然分かんなくて」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・うーん」
神埼 千春(かんざき ちはる)「それは・・・多分、だけど」
神埼 千春(かんざき ちはる)「『騙して逃げる』ってことは、『私は鬼になってる』みたいに、見方を装う、とかじゃない・・・?」
里河 渼白(りかわ みしろ)「なるほど!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「確かに、逃げる方の印を隠して言えば、敵が混乱してくれる!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「千春、いい案出してくれるね!ありがとう!」
神埼 千春(かんざき ちはる)「へっ?わたしはただ、堺くんのノートを見てそう思っただけで・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)「あたしたちじゃ解けなかった!これは千春のおかげだよ!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「そーだよ!アタシも何したらいいかわかったし!」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「ちはっちのおかげで、戦況も変わりそう🎵 ありがとね、ちはっち~」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・・・・」
神埼 千春(かんざき ちはる)(そう、なのかな・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(こんなわたしでも、みんなの役に立てることがあるのかな・・・?)
堺 将𠮷(さかい まさよし)「神埼。俺は、お前に作戦を託したい」
神埼 千春(かんざき ちはる)「堺くん・・・」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「俺がみんなに直接指示を出すのは難しい。 分かってもらえないことも多いと思う」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「でも、神埼ならいい案でみんなを導いてくれる、そう感じるんだ」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・わかった」
神埼 千春(かんざき ちはる)「わたし、堺くんのノートで、みんなに指示を出してみようと思う」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「・・・ああ。神埼にしか任せられない。 よろしく頼む」
神埼 千春(かんざき ちはる)「うん・・・!」
神埼 千春(かんざき ちはる)(わたしに務まるか分からないけど、堺くんから任されるんだ、やりきってみせないと!)
神埼 千春(かんざき ちはる)(ノート全部読んで、みんなに分かりやすく伝える!)
里河 渼白(りかわ みしろ)「決心はついたみたいだね!もうすぐ時間だよ」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・っ、はい!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「千春、落ち着いて頑張ろう!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「みんなで!」
神埼 千春(かんざき ちはる)「うん___!」