好きの在処

夏名果純

第8話 拓人、参戦!(脚本)

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〇教室
  今週中に出すように言われ、英語のプリントを受け取った花奈はぎょっとした。
水杉花奈(何これ! 問題の数、多すぎなんだけど!!)

〇教室
  休み時間になると、花奈は早速、明日香に愚痴った。
水杉花奈「ちょっと、明日香ー! 何なの、このプリント」
松木明日香「ああ、それ」
松木明日香「花奈が休んでた時、ちょうど英語は自習が重なって、そのプリントを出すように言われてたんだよねー」
水杉花奈「そっか、自習中にやるプリントだったの。 どうりで数が多いと思った・・・」
松木明日香「言うの、すっかり忘れてたや。ごめんねー!」
水杉花奈「いや、もうこのままずっと誰にも言われたくなかったけど・・・」
松木明日香「あははっ、だろうね」
松木明日香「それ、数が多いだけでそんなに難しくはなかったよ」
松木明日香「まあ、がんばれ!」
水杉花奈「が、がんばる・・・」
水杉花奈(今週中か・・・今日の放課後、残って教室でやろう!)

〇教室
  放課後、花奈は1人教室に残って英語のプリントに向き合っていた。
水杉花奈(確かに明日香の言うとおり、答えはなんとなくわかる)
水杉花奈(よかった・・・そういえば)
水杉花奈「今日は来なかったな・・・」
水杉花奈(謙弥と修司、今日も一緒に帰ろうって・・・)
水杉花奈(いや、こういう風に考えるのって、なんだか誘ってくれるのを待ってるみたい)
水杉花奈(なんかやだな・・・)
水杉花奈「はあ・・・」
水杉花奈(2人は気にするなって言ってくれたけど)
水杉花奈(そんな告白なんて大事なことを完全に忘れてて、私ってかなり失礼だよね・・・)
本谷拓人「ねえ、どうしたの?」
  花奈の口から思わず大きなため息がこぼれた時、拓人が声をかけてきた。
水杉花奈「えっ!」
水杉花奈「・・・あっ、本谷くん!  あれ、いつからいたの?」
本谷拓人「いや、今。 ちょうど通りかかったんだけど・・・」
水杉花奈「気づかなかった・・・やだな、ボーっとしてたよ」
本谷拓人「最近、なんだか元気がなさそうだね」
  拓人が心配そうに眉をひそめて、花奈を見つめる。
水杉花奈「そんなこと・・・私、なんか顔に出てる?」
本谷拓人「ぼんやりしてることが多いなって思ってた」
本谷拓人「あと、今、大きなため息ついてたから」
水杉花奈「! 恥ずかしい」
本谷拓人「ハハッ、誰もいないと思ってた?」
  拓人に笑われて、花奈は顔が熱くなる。
水杉花奈「完全に油断してたよ・・・」
  そう言う花奈の手元を、拓人がそっとのぞき込んだ。
本谷拓人「あれ?  それって、もしかして英語のプリント?」
本谷拓人「確か、自習の時にやったヤツ」
水杉花奈「そうなんだってね」
水杉花奈「私、休んでたから、今週中に出さないといけなくて」
本谷拓人「わっ、それはため息が出るよ」
水杉花奈「でしょー?」
  そう言って、花奈と拓人は笑い合った。
本谷拓人「わからないとことかある?  もしボクでわかるなら・・・」
水杉花奈「ありがとう!  でも、答えはだいたい分かるの」
水杉花奈「ただ量が多いし、これなんて・・・」
本谷拓人「ああ、読解ね。 それ、よく読めばわかるんだけど・・・」
水杉花奈「ねー、読むのが面倒・・・」
水杉花奈「だから、やっぱりひとりでやるしかないよね」
水杉花奈「がんばるよ!」
本谷拓人「もしわかんないとこが出てきたら、また言って」
本谷拓人「じゃあ、邪魔しちゃいけないから行くね。 バイバイ」
水杉花奈「うん。また明日ねー」
  ひらひらと手を振る拓人を見送ってから、花奈は再び課題に集中するのだった。

〇教室
  7月3日(水)
  翌日の昼休み、一緒にお弁当を食べていると、明日香が少し声をひそめて尋ねてきた。
松木明日香「ねえ、あれからどうなのよ?」
松木明日香「あの2人からどういう風に告白されたのかは聞いたんでしょ?」
水杉花奈「うん、ざっくりとはね。 それを私自身が覚えてないなんてさー」
水杉花奈「やっぱり落ち込むよね・・・」
松木明日香「そうなんだろうけどさ。 何度も言ってるけど、しょうがないって」
水杉花奈「うん、謙弥や修司にもそう言われた」
松木明日香「だから、くよくよする必要はないよ!」
  明日香が笑顔を浮かべても、花奈の顔色は冴えない。
水杉花奈「・・・2人は私の返事を待ってるだろうし、ちゃんと返事しないとって思う」
水杉花奈「でも、結論は出てなくて」
  花奈がうつむくと、明日香はうーんと腕組みをして続けた。
松木明日香「そっかあ。難しい問題だね」

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