実家に帰ります!(脚本)
〇田舎町の通り
みより「わぁ〜、久々に帰ってきたなぁ 10年ぶり?」
みより「・・・さすがに、ちゃんと顔見せておかないとね」
〇古風な和室(小物無し)
みより「ただいま・・・・・・お母さん」
母親「おかえりなさい」
みより「・・・あ、えーっと・・・ お、お父さんのところ行ってくるね」
みより「ただいま。お父さん」
父は、私が小学生の頃に事故で亡くなった。
母はそれから、女手一つで、私と妹を育ててくれた。
〇黒背景
母は、厳しい人だった。
父を亡くして、こんな田舎で働く所も少ない中、朝から晩まで安月給で働いて苦労したからかもしれないが
良い大学に行け
良い企業に就職しろ
女でも自立しろ
私はずっと、そう言われて生きてきた
・・・私は、そんな母が少し苦手で、逃げるように東京の大学に行き、東京で就職を決めた。
〇古風な和室(小物無し)
みより(さすがに、ニートとは言いづらい・・・)
母親「で、急に帰ってきて、どうしたの? 今まで全く顔も見せなかったのに」
みより「ご、ごめん・・・ ずっと、仕事が忙しくて」
母親「今は?休みなの?」
みより「え、えーっと・・・転職! 転職期間中!!」
母親「あら、そうなのね。せっかく良い企業に就職したのに。 次のところはいつから?」
みより「あ、うーんと、それは・・・・・・」
妹「お姉っ!!帰ってきたの!?」
みより「なつみ!」
みより「・・・って、30になったのに、相変わらず凄いカッコだねー」
妹「これも仕事だから!」
妹のなつみは、趣味が高じてギャル系ファッションのネットショップを立ち上げ、それなりに上手くいっているらしい。
今はそのネットショップを運営しながら、実家で母親と二人で暮らしている。
妹「あっ、そろそろご飯だよね? 何か手伝うことあるー??」
母親「もうできてるわよ」
妹「やったー!ありがと!!」
みより(助かったー)
〇ダイニング
「いただきまーす!」
妹「ねぇねぇ、お姉! この前インスタに載ってたカフェ、めっちゃかわいーね♡」
みより「あー・・・琴羽と行ったやつかな? 美味しかったよ〜」
妹「金髪のお友達も超イケてるよね!!服装も華やかで、さっすが都会〜って感じ♪」
母親「ほんと、東京は素敵なものが多いわねぇ」
妹「アタシもお金貯まったら絶対また東京行くんだ〜! そしたらお姉のオススメのお店連れてってね!」
みより(なんか、こうやって人と話しながら食事をするの、久しぶりだなぁ)
みより(いいもんだな、こういう時間も)
妹「そうだ、聞いてよ! ついにウチの近くにもスタバできたんだよー!! ご飯終わったら行こうよ♪」
妹「・・・って言っても、車で30分かかるけど・・・」
母親「スタバなんて、東京には至る所にあるわよ。 みよりにとっては別に、珍しいものでもないでしょうに」
みより「あははっ!マジか!! じゃあ、お姉ちゃんがオススメのカスタマイズを教えてあげようじゃないか♪」
妹「マジーー!? やった!!映えるやつがいい♡ ちょ、化粧直して行くわ!!」
〇狭い畳部屋
みより「はぁ〜・・・ 病気のこと、言い出せなかった・・・」
みより「なつみも、お母さんも、悲しむよね」
みより「私、本当に、もうすぐこの世からいなくなっちゃうのかなぁ?」
みより「うっ・・・ううっ・・・ やっぱり、言えないよ・・・」
みより「なんで・・・なんで、私がそんな病気にならなきゃいけなかったの?」
みより「真面目に仕事して、自立して、ちゃんと生きてきたのに・・・」
みより「そろそろ結婚とか、ちゃんと考えて、お金も貯めて・・・なのに、なにがいけなかったの?」
みより「まだまだ、やりたいことも、たくさんあったよ。まだ33歳だよ!?」
みより「うっ・・・ううーーー」
今までは死への実感もあまりなく(?)開き直って残りの時間を満喫してきましたが、久々に家族と会ったらそうはいかなくなってきたようですね。家族でご飯を食べるのもいいな…という言葉にも気持ちの変化が現れているように感じます。
そうですよね…病気になったらどうするか、受け止められないし。本当に悩みますね。すごく若くして病気になってる子とか可哀想だなと思うけど、いい年しても多分受け止めきれないし。どうするかなぁ…つくづく考えたくないけど、考えさせられるお話ですね‼
いざ家族を前にすると病気の事は話しづらいですよね……。
この後彼女に何が起きるか。楽しみにしてます。