ジャンクション

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ジャンクション(脚本)

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〇渋谷駅前
男「えっと、南口から出て、徒歩十分・・・ ほんとに十分で着くのかよこれ・・・」
男「そもそも駅の構内図わかりにくすぎねえかよ・・・ 南口ってどっち・・・・・・」
男「やっぱ駅員さん聞いたがはえーかな」
  どんっ
男「うおっ」
女「わっ」
  ばささっ
男「うわ、やば、すみません! 急に後ろ振り返って」
女「いえ、わたしもスマホ見てて・・・! ごめんなさい」
男「荷物拾います」
女「ああ、ごめんなさい・・・ 手に抱えたままでうろちょろしてて・・・」
男(飛行機のチケット・・・ オレと同じで旅行者か)
男「ん?」
男「あっ! これRECのチケット!?」
女「え・・・・・・」
男「あ・・・・・・すみません。 人の荷物見て、勝手に叫んで・・・」
女「い、いえ、それより、」
女「RECのこと知ってるんですか!?」
男「もちろん! 今日のライブのために オレ遠征してきたんすよ」
女「わ、わたしもなんです!」
男「すげー偶然っすね!」
男「RECめちゃくちゃ最高なのに、知名度低いじゃないすか。 オレの周りも知ってるやつ全然いなくて」
男「ファンの人に会ったの初めてですよ!」
女「動画の再生数、今の倍は言っていいと思うんですけどね。 本当に今回のライブは是が非でもいかなきゃなと思いましたもん・・・!」
男「オレもです! このためにわざわざ北海道からきたんす」
女「わたしは福岡からなんです。 お互い遠征組なんですね」
女「でも、渋谷なんて来たことないもので・・・スマホで道確認しながら歩いてたんです」
男「あー・・・・・・あんま人のこと言えねーけど、歩きスマホ危ないんで、 止まって確認したがいいですよ」
男「ここめちゃくちゃ人多いし。さっきみたいにぶつかりますよ」
女「本当におっしゃる通りで・・・」
女「・・・・・・渋谷って、本当にいつもこんなに人が多いんですね」
男「オレも何回かしか来たことないけど、いつもこんな感じですよ」
女「でも、ライブハウスって南口から出たところですよね?」
女「人ごみに流されてこっちに出てきちゃったんですけど、ハチ公前って南口じゃないですよね?」
男「た、たぶん・・・・・・」
男「来たことあるくせにすんません。オレ、すげー方向音痴なんすよ」
女「・・・・・・」
女「・・・・・・ライブの開演、十七時からですよね」
男「? はい」
女「まだ十二時だし、わたし、先にどこかでお昼とってからライブハウスに向かう予定だったんです」
女「目的地一緒だし、よければお昼も一緒にどうですか?」
男「え・・・・・・」
男「そちらが、こんな出会ったばっかの男とでよければ、オレは全然」
男「・・・正直RECの話もしたいし」
女「実はわたしも話をしたいのが本音です! わたしも周りに知ってる人全然いなくて」
女「一週間前に投稿されたばっかりの新曲も今日歌ってくれると嬉しいですよね」
男「それ! マジでそれ!」
男「今日もここ来るまで、ずっと延々新曲聞いてて」
女「あはは、同じことしてる」
女「わたしも飛行機の中でずっと聞いてたんです」
男「はは、こんなふうに知り合うことってマジであるんですね」
男「本当なら知らなかったままの人と偶然にも人生が交差するのって・・・・・・」
女「あ、それ。 この前の新曲のタイトルみたいですね」
男「あ、ほんとだ。 たしかタイトルが・・・・・・、」
「ジャンクション」

コメント

  • ジャンクションー交差点、まさに人の多い街で偶然ぶつかった二人の人生が交差するストーリーですね!この後一緒にライブに行って盛り上がって、その後の人生も見えてきそうな展開でした!

  • 共通の趣味の人って、中々いないですよね…。
    メジャーなところとなれば話は別ですが、マイナーとなると、結構な確率…。
    言葉通りジャンクションですね!

  • 直球ストライクのボールを受け取ったみたいに、ぐっと気持ちに届いて晴れやかな気分にさせてくれるお話でした。人と人がこういう形で交わえる社会がずっと続いてほしいですね。

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