オーラオラクル

黙々倫敦(もくもくろんろん)

五話 図書室の探し物(脚本)

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〇図書館
  今は昼休み、啓は恵に呼ばれ旧校舎の図書室に来た
北村 力二「啓が図書室に来るなんて珍しいな」
北村 力二「しかも旧校舎、ここあんまり人が来なくて不気味なんだよな・・・図書委員も滅多に来ないし」
雷戸 啓「うん、まあね」
北村 力二「じゃ、ここで」
雷戸 啓「バイバイ」
雷戸 啓「さてと」
摩小 恵「今の人は?ずいぶん仲が良いみたいだし親友とか?」
雷戸 啓「ん、まあ、親友と言えるかはわからないけど・・・友達ではあるね」
摩小 恵「ふーん、」
摩小 恵「・・・」
摩小 恵「彼は能力が使えないのね」
雷戸 啓「ねえ、それ本当にどうやったらわかるの?」
摩小 恵「まあ・・・感覚?」
雷戸 啓「感覚って言われてもな・・・」
梅景 朱人「おいおい、わざわざ旧校舎まで来たんだ。本探すんだろ?」
梅景 朱人「それで本っていうのはどんな本なんだ?」
梅景 朱人「題名とか」
摩小 恵「題名はないわ」
雷戸 啓「ええ・・・!?」
摩小 恵「強いていうなら表紙が黒いわ」
梅景 朱人「ヒントそれだけかよ」
摩小 恵「私ははるばる遠いところからその本を探しに来たの」
摩小 恵「で、この学校のどこかにはあるってことを掴んだのだけれど」
摩小 恵「そこからは全く進展がなかったわ」
摩小 恵「だから同じく能力者のあなたたちに手伝ってもらおうってわけ」
梅景 朱人「あ、そういえば、」
梅景 朱人「恵の能力はどんな能力なんだ?」
摩小 恵「・・・」
摩小 恵「私の能力はね・・・」
摩小 恵「触ったものを溶かす能力よ」
梅景 朱人「溶かす・・・」
摩小 恵「例えば・・・何か無くなってもいいものある?出来れば金属製の物」
雷戸 啓「じゃあこれ」
  啓はポケットに入っていた1円玉を渡した
摩小 恵「見てて」
  恵がそう言うと、手のひらに置いてあるアルミ製の一円玉がだんだんと溶けて、いつの間にか消えていた
梅景 朱人「なるほど・・・すごいな」
摩小 恵「まあ、さわっている間しか溶けていかないけど」
摩小 恵「もちろんオンオフ可能で、材質的には溶けるという概念がないような物は溶かせない」
摩小 恵「あとは別に熱くないわけじゃないってことぐらいかしら、私が平気で手のひらで持ってるからって触っちゃダメよ」
雷戸 啓「なるほどね・・・」
摩小 恵「で、本題だけど」
摩小 恵「まずはどうやって探すかね」
摩小 恵「ここからは私の推理にはなってしまうのだけれど、多分学校にあるっていうのは学校にあるわけではないと思うのよね」
梅景 朱人「はあ?」
雷戸 啓「・・・」
雷戸 啓「学校に本がある場所への道があるってことか」
摩小 恵「そう、学校が入り口でこの先には異世界的な?」
梅景 朱人「そんなことがあるのか?」
摩小 恵「でも実際私たち普通の人間には出来ないようなことしてるじゃない?」
摩小 恵「ってことはそれも視野には入れとかないと」
梅景 朱人「まあでもとりあえず、図書室探してみるか?」
摩小 恵「本繋がりであるかもしれないわね」
雷戸 啓「そうだね」
梅景 朱人「・・・」
梅景 朱人「あ!?」
雷戸 啓「ん、どうした?」
梅景 朱人「俺今日委員会があったんだ!!」
摩小 恵「ええ・・・」
梅景 朱人「すまん、先に二人で探してて」
雷戸 啓「了解ー」
摩小 恵「梅景くんっていつもあんな感じなんですか?」
雷戸 啓「いや・・・俺も最近知り合ったからな・・・」

〇まっすぐの廊下
梅景 朱人(ヤバイヤバイ、また委員長に怒られるぞ)
  梅景が廊下を走っていると、すれ違った男がいた
梅景 朱人(ん?)
梅景 朱人(この先の突き当たりには図書室しかないから・・・図書室に行くのか?でも、旧校舎の方まで来るなんてよほどの物好きだな)
梅景 朱人「って、ヤバイ!!」

〇図書館
  二人は各々で本を探しはじめようとしていた
「おい」
雷戸 啓「!?」
山藤 紀伊「なーにコソコソやってんだ?」
雷戸 啓「誰?」
摩小 恵「あなた、能力者ね」
雷戸 啓「ええ!?」
山藤 紀伊(ん?男のほうは気配が読めねぇのか)
山藤 紀伊「まあいい、俺は山藤、」
山藤 紀伊「そうだ、能力者だ」
山藤 紀伊「でだ」
山藤 紀伊「お前らなーんかコソコソやってんな」
山藤 紀伊「何してんだ?」
摩小 恵「本探してるだけだけど」
山藤 紀伊「・・・」
山藤 紀伊「まあそこはいいんだ」
山藤 紀伊「問題は能力者にコソコソされると、俺まで巻き添えくらって動くことが出来なくなるかもってことだ」
雷戸 啓「はぁ?」
山藤 紀伊「俺はこの能力でいろいろヤバイことをしていきたいんだよ」
山藤 紀伊「でも、俺のことを気配で感じとれる能力者が邪魔だろ」
摩小 恵「はぁ?」
山藤 紀伊「だから潰す!」
雷戸 啓「・・・」
摩小 恵「どういうこと?」
雷戸 啓「俺も何言ってるかわからん」
山藤 紀伊「ハッ」
  山藤が直立の状態からいきなり右手を左斜め前に突き上げたかと思うと、その延長線上の空気が何かに切り裂かれた
雷戸 啓「ぐっ」
  啓は左手を咄嗟に顔の前に上げ、ガードした。
  恵は頭を抱えてしゃがんで回避した
山藤 紀伊「チッ」
雷戸 啓「ッテェェェェいきなり何すんだよ!!」
  啓は攻撃が当たった部分を見ると、なんとも言えない謎の形の痕がついていた
雷戸 啓(この形・・・)
雷戸 啓(チェーンを押し当てたような痕だ)
雷戸 啓「となると、手から鎖かなんかを出す能力ってとこかな?」
山藤 紀伊「ご名答。手のひらから延長線上に伸びる鎖を出す能力さ」
雷戸 啓「・・・戦うつもりか?」
山藤 紀伊「こっちから攻撃したろ」
雷戸 啓「・・・」
雷戸 啓「じゃあ恵ちゃん、本棚の影でも隠れてて」
摩小 恵「OK」
山藤 紀伊「こいよ」
雷戸 啓「挑むところだ」

次のエピソード:六話 白熱のバトル

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