File.12 広島 後編(脚本)
〇城
広島県
ひろしまフードフェスティバル会場:
広島城
堀に囲まれ、水と緑が溢れる
広島を代表する観光地『広島城』。
日本3大平城とも評されるこの場所で
今年も、食の祭典
『ひろしまフードフェスティバル』が
華々しく開幕した
安行ノブオ「ご来場の皆様、大変お待たせしました! ひろしまフードフェスティバル、 ただいまスタートです!」
片桐キリコ「めっちゃ美味いもん沢山集まっとるけぇ、みんな楽しんでいきんさいー!」
安行ノブオ「広島城の一帯に、旬の味覚や話題のお店が大集結!ご案内は、私、安行と・・・」
片桐キリコ「うち、片桐が務めるけぇ、よろしゅうお願いします〜!」
突然、大音量で時計のアラームが鳴った
安行ノブオ「わっ!? びっくりした!」
片桐キリコ「ごめんなさい、うちの時計でがんす」
片桐キリコ「ぶち古いせいか、めっきり 音量の調整が効かんで・・・。 でも、おかげでスケジュールは忘れん」
観客達の笑い声に包まれながら、フェスティバルが開幕となったのであった
〇養護施設の庭
会場には多くのブースが並び、参加した人達で賑わっていた
東雲アキホ「すごい数のお店が出店してますね! ずるるるるーっ」
本郷ノリカズ「トウウンくん、ラーメンすすりながら話すのやめたまえ。汁が飛ぶ」
本郷ノリカズ「だいたい、なぜ広島まで来てラーメン食べているのだッ!」
東雲アキホ「知らないんですか? 広島ラーメンといえば、ご当地の名物です。ルポ映えしますよ?」
本郷ノリカズ「きみが食べてるのは、 コーンバターラーメンだッ! 広島とは無関係だぞッ!」
東雲アキホ「・・・」
東雲アキホ「フェス会場では美味しいラーメンも食べられます・・・と」
東雲アキホ「ネット記事なんですから、会場内の写真をアップしとけば、だいたいOKです!」
本郷ノリカズ「・・・きちんと、食ったものの写真もアップしろよ?」
東雲アキホ「先輩・・・」
東雲アキホ「そういう事は、食べる前に言えっ!」
本郷ノリカズ「・・・食いかけの写真でも載せるつもりだったのか?」
東雲アキホ「汁までぜんぶ完食しちゃったので、 空の容器しか写せません!」
東雲アキホ「・・・えへ」
本郷ノリカズ「文章で飯を食ってる人間とは思えん行動だな・・・いや、きみのメインは広報なのは知っているが」
東雲アキホ「先輩が雑誌の宣伝戦略知らないのと同じで、私はルポに詳しくないだけです」
東雲アキホ「そういうお前はさぞ読者ウケする食べ物選んだんでしょうね?」
本郷ノリカズ「・・・」
本郷ノリカズ「『ぺったらぽったら』だッ!」
東雲アキホ「なんかの妖怪ですかっ!?」
〇山の中
妖怪『ぺったらぽったら』
広島の山奥に棲むマニアックな妖怪。
ちょんまげでブリーフ一丁、
赤いハイヒールを履いているという
ワイルドないでたち
身体がペタペタしているが、悪さはしない。
目撃例=変質者事案数になっている
〇養護施設の庭
東雲アキホ「・・・」
東雲アキホ「喰っていいものなんですかっ!?」
本郷ノリカズ「なにを想像してるんだ・・・?」
本郷ノリカズ「これが『ぺったらぽったら』だ。 広島産のもち米とうるち米を 醤油タレでカリッと焼き上げ、 広島産の旬の牡蠣を載せてある」
東雲アキホ「・・・ください」
本郷ノリカズ「欲しければ自分で買え」
東雲アキホ「・・・ケチめ」
酒巻タモツ「井上氏、我々、広島まで にぎみこ様を追ってきましたな」
井上ヨウスイ「青空の下で施される『もえもえきゅん』、 楽しみでござるな、酒巻殿!」
東雲アキホ「・・・?」
東雲アキホ「先輩、なんか濃い人達が群れてるコーナーありますよ。行ってみましょう!」
本郷ノリカズ「・・・今は近寄りたくない」
東雲アキホ「・・・いいから行くぞ先輩。 記事映えするだろう?」
〇奇妙な屋台
コンセプトカフェ『もえもえ』
広島ブース
三木谷ミク「おかえりなさいませ神主さまー」
一浦ラム「おかえりなさいませおぼっちゃま!」
酒巻タモツ「青春⭐︎甘酸っぱい一夏の想い出ジュースくださーい!」
井上ヨウスイ「こっちには、恋する⭐︎ときめきみらくるクリームソーダを下されー!」
ヤマガミサマ「ご注文ありがとうさー! 一緒に言うさ、せーの!」
『もえもえきゅーん』ッ!
酒巻タモツ「にぎみこ様あッ! 今日も最高ですぞッ!」
井上ヨウスイ「屋外もえもえ頂いたでござるよーッ!」
東雲アキホ「・・・うわあ」
東雲アキホ「サイリウム振りながら叫んで、 なんというか・・・」
東雲アキホ「・・・熱気のある客層ですね先輩っ!」
本郷ノリカズ「言葉を選びながら大声出すのはやめたまえ、トウウンくん」
東雲アキホ「おや? あそこにいるのは・・・」
一浦ラム「おぼっちゃまは、何を頼まれますか?」
本郷セイメイ「・・・ブラックコーヒーを」
三木谷ミク「ここでは、きちんと正式名称でご注文ください、神主さま」
本郷セイメイ「・・・」
本郷セイメイ「・・・『好き?嫌い?どきどき大人なプチ背伸び⭐︎甘くない恋のコーヒー』をひとつ」
三木谷ミク「『好き?嫌い?どきどき大人なプチ背伸び⭐︎甘くない恋のコーヒー』ですね、神主さま!」
一浦ラム「『好き?嫌い?どきどき大人なプチ背伸び⭐︎甘くない恋のコーヒー』、おぼっちゃまからオーダーですわ!」
ヤマガミサマ「神主、お待たせしたさー! 一緒に言うさ。 せーの・・・」
ヤマガミサマ「『もえもえきゅん』!」
本郷セイメイ「・・・」
ヤマガミサマ「・・・」
ヤマガミサマ「黙られると困るさ〜・・・。 コンセプトに乗ってほしいのさ。 もう一度・・・せーのっ!」
本郷セイメイ「・・・ううっ・・・」
『もえもえきゅん』ッ!!
東雲アキホ「・・・」
東雲アキホ「・・・あ、お久しぶりです、 先輩のお父様」
東雲アキホ「ものすげぇ気合いの入ったシャウトでしたね」
本郷セイメイ「・・・息子よ。 今の父を見るな」
本郷ノリカズ「瀕死の子鹿みたいな目をやめろ、親父」
東雲アキホ「映えそうなので、コーヒー飲んでるとこ撮っていいですか?」
本郷セイメイ「・・・お断りします」
〇奇妙な屋台
午後になり、『もえもえ』スタッフは
シフトの入れ替えにはいっていた
真野ヨシキ「みんな、午前の部お疲れ様でした! おかげさまで大盛況だよ」
ヤマガミサマ「そわそわ・・・」
三木谷ミク「和見ちゃん、そろそろステージ行かないと キュアキュアショーの時間が迫ってるよ」
真野ヨシキ「そうだね、君たちはもう上がりなさい」
ヤマガミサマ「ありがとうさー!」
三木谷ミク「わーい!私、食べ物のブース巡ってきます!」
一浦ラム(・・・ん? こいつら別行動するのか)
一浦ラム(ぶっ殺チャンス到来だぜっ!)
一浦ラム「私も休憩シフトに入らせて頂きますわ」
真野ヨシキ「了解! じゃあ他の子達と入れ替えにするね。 一旦、解散ー!」
〇大きな公園のステージ
広島城:
イベント特設ステージ
片桐キリコ「ええ子のみんな! プリティー水着キュアキュアショーに 来てくれんさってありがとのー!」
ケーキデフトール「デブデブデブー! 糖分と脂質の摂りすぎで サイズオーバーさせてやるデブ!」
片桐キリコ「乙女のピンチじゃ! 会場のええ子たち! 片桐お姉さんと一緒にキュアキュア呼ぼう! せーの!」
ステージ下
ええ子のみんな:
キュア!キュアーーッ!!
ステージ
キュアフリル「アクダマー帝国の怪獣、許さないわよ! 真夏の海辺に輝く光、 キュアフリルッ!」
キュア原始人「氷河期を溶かすホットな心! キュア原始人ッ!」
キュアおやじ「一夏のアバンチュールに馳せる憧れ! キュアおやじッ!」
我らプリティー水着キュアキュア!!
ステージ下
ヤマガミサマ「3人しかキュアキュア来てないけど、 人気上位のキャラで固めてるさー! きゃー!」
一浦ラム「・・・再現度高いな。 思わず見惚れちゃう」
一浦ラム「はっ・・・そんな場合じゃない! 和見はどこだ!?」
ステージ
ケーキデフトール「キュアおやじ・・・! この攻撃を受けるがいい! サービスショット催眠ッ!」
キュアおやじ「ぬ、脱ぎたい! 今すぐ、水着を脱ぎたい!」
キュアフリル「敵の催眠攻撃ねっ? キュアおやじ、負けないで!」
キュアおやじ「はあはあはあ・・・! わ、わたし・・・負けない! 負けてたまるもんですか!」
片桐キリコ「キュアキュアのピンチじゃ! ええ子の中から誰か! ステージに助けに来てもらうんじゃ!」
片桐キリコ「きーめた! そこのキツネ耳のお姉さん! ステージに上がってつかぁさい!」
ヤマガミサマ「えっ・・・私!? え、え・・・っ!? いいのか??」
片桐キリコ「助けに来てくれんさってありがとの! お姉さんのお名前を教えてつかぁさい」
ヤマガミサマ「に、和見タマ・・・さー」
ステージ下
一浦ラム「ステージにのこのこ上がりやがった! このショーをめちゃくちゃにするのは心苦しいが・・・」
一浦ラム「この人混みなら私に疑いはかからない!」
一浦ラム「いよいよ、ぶっ殺タイムだっ!」
ステージ
ヤマガミサマ「まさか・・・参加できるなんて。 本当に嬉しいさー!」
片桐キリコ「・・・」
片桐キリコ「しばらく会わんうちに、ぶち変わったのー、和御魂」
ヤマガミサマ「・・・ん? なんで私の神名を・・・」
〇大きな公園のステージ
ヤマガミサマ「・・・なにっ!? この禍々しい空気はいったい・・・!」
片桐キリコ「気ぃつけて! 何か来るでぇ!」
ヤマガミサマ「怪異!?」
片桐キリコ「危険でがんす! ステージの上の者達は逃げてつかぁさい!」
「トラブル? うわああっ!?」
ヤマガミサマ「片桐・・・お前、何者さー??」
片桐キリコ「まだ分からんのか? 鈍いのぉ」
オイタミサン「あなた達! ずっとステージに痛いねえぇっ!」
片桐キリコ「和御魂、そこをどきんさい! うちが受けたるっ!」
片桐キリコ「ぐぅっ・・・! いったぁ・・・!」
片桐キリコ「・・・いや! ぬ、ぬるいのぉ! この程度、痛うもなんともないわっ!」
オイタミサン「ケラケラケラケラッ」
ヤマガミサマ「・・・まさか、お前・・・」
片桐キリコ「集まってくれんさったええ子のみんな! こっからは特別プログラムじゃ! 楽しんでいってつかぁさいのぉ」
片桐キリコ「さあ、早着替えじゃっ!」
シュゴガミサマ「『奇御魂流転命』 (くしみたまるてんのみこと) 皆の命を守る為、やったるでぇ!」
シュゴガミサマ「(小声で) 神舞・・・『白光堅牢』ッ!」
シュゴガミサマ「キュアキュアッ! シャイニングバリアー!」
突如、閃光と共に広がった光のドームが
観客席を包むように覆った!
お子様「なんだっ!? この光るドーム・・・硬いっ!」
客「キュアキュアの技だよー! すごーい!」
客「がんばれ新しいキュアキュアーッ!」
シュゴガミサマ「これで観客席は安全でがんす、 ショーを楽しみにしてくれんさっとった子達の夢をめがんよう、気合い入れていくぜよ!」
ヤマガミサマ「奇御魂(くしみたま)! お前だったかさー!」
シュゴガミサマ「あんたは化身後の姿じゃったけぇ、うちにゃあすぐ分かったよ」
シュゴガミサマ「さあ、新しいキュアキュア達が、悪い怪獣をやっつけるよ! みんな、応援しとってね!」
ぬっぺらぼう「入っていいですかぁ・・・? はいっでもいいでずがぁっ?」
ヤマガミサマ(次々に出てくるさ〜・・・ こういう演出として乗り切るしかないさ)
ヤマガミサマ「(小声で) 神舞・・・『桜花烈風』!」
ヤマガミサマ「キュアキュア! マジカルハレーションッ!」
桃色の花弁と共に竜巻が巻き起こり、
怪異達を包み込む!
ぬっぺらぼう「ハイリギャアッ!?」
オイタミサン「キャアアアッ!」
一浦ラム「・・・っ!? どうなってるんだ! なんで和見に、あんな事ができる!?」
一浦ラム「広島フードフェスティバルの会場が 未知のオーバーテクノロジーで ああいう事を可能にしているのかっ!?」
一浦ラム「くそっ・・・! ここまできて、諦めるもんか!」
魍魎姫「魍魎姫、参るっ!」
ヤマガミサマ「はぁ・・・はぁ・・・っ! 何体出てくるさ・・・。 き、きりがないさ」
処刑人「アハハハハ」
シュゴガミサマ「護るッ!」
処刑人「ゴクラク・・・ アンナイ・・・ トメルナ・・・!」
シュゴガミサマ「はあっ・・・はあっ・・・! し、信仰がみてとる身にゃあ、 この連戦は負担が大きいのぉ・・・」
ヤマガミサマ「くらえ! マジカルハレーション・・・さぁ・・・」
処刑人「ゴグラグアンヒャババァッ!」
ヤマガミサマ「・・・ふぅ・・・。 そろそろ限界さ〜・・・」
シュゴガミサマ「な・・・何じゃあ? 今までよりも禍々しい気配が強うなった。 もう堪忍してつかぁさいよ・・・」
魍魎姫「・・・」
魍魎姫「ここまでだッ!」
ヤマガミサマ「こいつ・・・! 無数の怪異の集合体みたいな気配さ!」
魍魎姫「あなた達、よく頑張ったわね・・・ 褒めてあげるわ! あっははははは!」
魍魎姫「ん?なに、この歓声・・・」
お子様「新しいキュアキュアだー! かっこいい!」
客「がんばれー! 負けるなーっ!」
酒巻タモツ「にぎみこ様も素敵ですが! 新しいキュアキュアも最高に! カッコいいですぞー!」
「悪の怪獣を倒してー! キュアキュアーッ!」
魍魎姫「こ、この応援・・・ 私に向けられてる??」
ヤマガミサマ「・・・そのようさー。 確かに、かっこいいさ」
シュゴガミサマ「悪役いうよりは、ヒーローっぽいけぇのぉ」
魍魎姫「・・・はわわわわ」
魍魎姫「こ、こんなに真っ直ぐに応援されるの、生まれて初めてで・・・」
シュゴガミサマ「どうする? この声援を聞いても尚、 ええ子達の期待を裏切るつもりか?」
魍魎姫「・・・う〜。 わ、私は・・・」
魍魎姫「えーと・・・ キュアゴスロリだッ!!」
魍魎姫「ええーいッ! お前ら、影の世界へと戻れッ!!」
「うぉおおおおおんッ!?」
〇大きな公園のステージ
魍魎姫「ふ、雰囲気に乗せられて、やってしまった・・・」
魍魎姫「せっかくのぶっ殺チャンスがぁっ!」
シュゴガミサマ「・・・さて。 われいったい何者じゃ? なしてうち達を狙うた?」
魍魎姫「ええいっ! お前達なんかに話す事はないっ!」
魍魎姫「次に会った時は覚悟しておけ! さらばだっ!」
ヤマガミサマ「・・・恐ろしい相手だったさ。 あのまま攻め続けられていたら、 2人ともやられてたさ」
シュゴガミサマ「神通力が限界。 もう無理でがんす・・・」
〇城
本郷ノリカズ「トウウンくんめ・・・ 目を離した隙にどこへ行った? まだ食い足りないのか?」
本郷ノリカズ「ん?ヤマガミじゃあないか」
本郷ノリカズ「なんだ?? ずいぶん疲れているようじゃあないか」
ヤマガミサマ「キュアキュアショーで、頑張りすぎたさ」
本郷ノリカズ「女児向けのショーで、そんなに興奮するな!」
三木谷ミク「あ、和見ちゃーん! そろそろお店戻ろ!」
一浦ラム「ぜー、はー・・・ そ、そうですわよ!」
三木谷ミク「一浦さん、すごい息切らして・・・ どうしたんです??」
一浦ラム「ち、ちょっとキュアキュアショーで・・・ 頑張りすぎて・・・」
三木谷ミク「今回のショー、そんな凄かったんですかっ!?」
ヤマガミサマ「・・・なんというか、新キャラ盛りだくさんだったさ〜」
一浦ラム「・・・ステージのテクノロジーが凄かったですわ」
三木谷ミク「あ、でも2人で見てきたんだね! 一浦さん、和見さんと距離置いてる感じだったからホッとした! 仲良しだー!」
一浦ラム「私が・・・和見さんと仲良し?」
一浦ラム「・・・」
一浦ラム「まあ・・・そういう事にしておきます。 キュアキュアが好きな者どうしですしね」
ヤマガミサマ「キュアキュア好きが、こんなとこにもいたさー!」
〇大きな公園のステージ
片桐キリコ「こがいに大変じゃったなぁ何百年ぶりじゃろうかな・・・」
片桐キリコ「あ、そこのええ子。 今日のショーは終わ・・・」
片桐キリコ「・・・」
片桐キリコ「われ、何者じゃ?」
シルエット「・・・ふふふ。 あの人間、よく働いてくれましたね」
シルエット「防御に特化した奇御魂といえど、 そこまで疲弊していては護りの力を発揮できないでしょう」
片桐キリコ「なして、そこまで知っとる? われ、怪異どもの大将なんか!?」
シルエット「これで、日本の守護は弱まる・・・。 くくくっ・・・」
片桐キリコ「くそっ! 一旦逃げて・・・」
シルエット「力が尽きていると、動きまで鈍くなるのですねぇ・・・こうなると、御魂も可愛いものです」
シルエット「和御魂を狙っていたのですが・・・ 防御に優れたあなたの方が厄介でしたので、上々の出来栄えですね」
片桐キリコ「御魂を殺す事はできんよ! あんたがしとる事は無駄でがんす!」
シルエット「よく存じ上げていますよ。 だから、こうするのですっ!」
片桐キリコ「うぁっ・・・あああっ!!」
片桐キリコ「そがいな紙切れに封印はされんっ!」
片桐キリコ「うちの根性見しちゃるッ!!」
シュゴガミサマ「・・・」
シルエット「身に付けていた時計に、力を移しましたか。 手札に加えられなかったのは残念ですが・・・まあ、いいでしょう」
シルエット「海の底にでも沈めれば、おしまいです。 これで御魂の一柱が消える・・・」
本郷ノリカズ「トウウンくんは、どこへ行ったッ!? スマホも繋がらんじゃないか!」
シルエット(あの男は、ミコンジキを倒した奴か・・・! 力を使ってしまった今、やり合うのは得策ではないな)
シルエット(やむをえん。 一旦離れて様子を見るか)
シュゴガミサマ「ジリリリリーンッ! リリリリリーンッ!」
本郷ノリカズ「アラームだとッ!?」
本郷ノリカズ「・・・時計の落とし物か。 ずいぶんボロい電子時計だな」
東雲アキホ「・・・あれ? 先輩、迷子になってましたね。 探してたんですよ、もぐもぐもぐ」
本郷ノリカズ「それは私のセリフだっ! スマホくらい繋がるようにしておけ!」
東雲アキホ「充電切らしちゃったんですよ・・・」
東雲アキホ「あと、美味いですね! 『ぺったらぽったら』!」
本郷ノリカズ「・・・まあいい。 そろそろ帰るぞ」
東雲アキホ「あ・・・なんか安そうな時計が落ちてる! すげえボロいですね」
本郷ノリカズ「拾うのはいいが、交番に届けろよ?」
東雲アキホ「面倒なので捨てときます」
放り投げた時計は、まるでブーメランのように軌道を変え、トウウンくんのバッグに音もなく収まった
東雲アキホ(ん?なんかバッグが動いたような・・・ 気のせいかな?)
シルエット(・・・悪運の強い神ですね。 しかし、もはや何も出来ないでしょう)
シルエット(残りの御魂も無力化し、この世から人間を駆逐する日は遠くありません・・・!)
File.12 広島 後編
完
いよいよ物語が佳境に入ってきましたね!