〇狭い畳部屋
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「＿＿『明日（tomorrow）プロジェクト』『明日薬』・・・」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「・・・今までのアイツに関係しそうな情報はこれくらいか」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)（やっぱり、本当は正攻法でいくべきなんだろうな）
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)（それなら、俺はいつも通り、バスジャックをするだけでいい）
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)（でも、な・・・）
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「みたなを本当の意味で助けるには、バスジャックをしてはいけないような気がする・・・」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)（俺は適当に乗ったバスでジャックしていたが、みたなは仕事とかあったはずだ）
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)（そんな、いつも偶然で会ってたわけじゃねえだろ）
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)（・・・みたなは、俺を尾行してたはずなんだ）
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「でもなぁ・・・。 俺とみたなの関係なんて、薄っぺらいものだし」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「・・・ん？」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「・・・あれ？本当にそうなのか？」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「俺がみたなと出会ったのは、 本当にバスが初めてなのか？」

〇道玄坂
「きゃあっ!!」
事故車の運転手「ううっ」
事故車の運転手「何が・・・。 そうだ、薬は＿＿」
事故車の運転手「・・・っ、車の前に人が＿＿!?」
事故車の運転手「もしかして、俺はこの子を轢いたのか？」
事故車の運転手「・・・くっ」
事故車の運転手「首が、痛いっ・・・」
柿本 恵里 (かきもと　えり)「・・・・・・」
川西 みたな (かわにし　みたな)「・・・っ、大丈夫ですか!?」
柿本 恵里 (かきもと　えり)「ん、うう・・・」
川西 みたな (かわにし　みたな)「よかった、まだ息はある・・・」
川西 みたな (かわにし　みたな)「すごい血の量・・・」
川西 みたな (かわにし　みたな)「・・・っ、止血しないと」
川西 みたな (かわにし　みたな)「あっ、救急車・・・！」
川西 みたな (かわにし　みたな)「よかった。 これで、あなたも助かるわ」
柿本 恵里 (かきもと　えり)「・・・・・・」
川西 みたな (かわにし　みたな)「・・・ん？ この子の携帯？」
川西 みたな (かわにし　みたな)「はい、もしもし」
？？？「・・・もしもし」
？？？「すみません、本人じゃないみたいですが、 お名前を伺ってもいいですか」
川西 みたな (かわにし　みたな)「あっ、はい、みたなといいます」
川西 みたな (かわにし　みたな)「あなたが電話をかけたご本人は、今事故に遭って会話できない状態にあります」
川西 みたな (かわにし　みたな)「なので、かわりに私が出ました」
？？？「・・・っ!! あの、みたなさん、妹は＿＿その子は大丈夫なんですか？」
川西 みたな (かわにし　みたな)「妹さん、だったんですね。 はい、応急処置をしましたし、もうすぐ救急車が来るので、助かると思います」
？？？「そうなんですね・・・よかった」
？？？「ありがとうございます、応急処置までしてくださって」
？？？「・・・よかったら、お礼をさせてください」
川西 みたな (かわにし　みたな)「いえ、そんな大したことでもないですし・・・」
川西 みたな (かわにし　みたな)「・・・もし、また会うことができたら、その時はお礼をお願いします」
？？？「分かりました。 あなたは面白い方ですね・・・」
？？？「俺は馬瑠です。 また会えたときに忘れないでくださいね？」
川西 みたな (かわにし　みたな)「馬瑠さん、ですね。 分かりました。忘れないでおきます」
救急車の人「救急隊員です!! 救急車を要請した方はどこでしょうかー！」
川西 みたな (かわにし　みたな)「よかった。 これで、馬瑠さんの妹さんも・・・」

〇狭い畳部屋
　　現在
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「そうか、あの時・・・！」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「俺が電話していた相手が みたなだったのか・・・」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「また会えたら、か・・・」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「声で分かっちまったんだろうな」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「それで、あのとき話した俺が、バスジャックをしていたなんて知ったら＿＿」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「・・・ショックで、あのときのお礼、なんて言い出せるわけねえ」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「みたなは、ずっと言えるときを待っていたんだろう」
柿本 馬瑠 (かきもと　ばる)「・・・俺がみたなを迎えに行って、その約束、叶えてやらないとな！」