推しに見つかる!? ペンライト

makihide00

推しに見つかる!?ペンライト(脚本)

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〇コンサート会場
フトシ「・・・さぁ」
フトシ「そろそろかな」

〇コンサート会場
みるく「こんばんは〜」
みるく「わたしたち、MUEN坂34ですっ!!」
フトシ「待ってました! みるくちゃーん!」
フトシ「・・・今日もかわいい」
  彼の名前は、高柳フトシ
  たまのコンビニバイトと自宅警備員の
  ダブルワークをこなす25歳男性
  ・・・俗に言う、ニートというやつ
  これは、そんな彼が
  奇跡的に推しのアイドルに
  見つけてもらうまでを描いた物語──
  の予定である

〇黒

〇汚い一人部屋
フトシ「ん・・・」
フトシ「のわーっ!!」
フトシ「あと1時間で開演じゃんか!」

〇駅前広場
フトシ「今夜はみるくちゃんのプロデュース公演」
フトシ「遅刻などありえんのだっ!」
フトシ「・・・ふいー、なんとか間に合いそう」

〇個室のトイレ
フトシ「・・・よし、パーフェクト!」
フトシ「寝坊してもしっかり応援コスチュームを 準備しているのがさすがですなぁ・・・」
フトシ「・・・」
フトシ「あれ?」
フトシ「・・・ない」

〇施設のトイレ
「ペンライトがなーいっ!!」

〇施設のトイレ
  彼の名前は、高柳フトシ
  いちいちリアクションがうるさい男である

〇アーケード商店街
フトシ「ぬぅっ・・・なんたる不覚・・・」
フトシ「ペンライトを忘れるなど、言語道断っ!」
フトシ「探さねば! とにかく代わりを探さねばっ!」
フトシ「・・・お?」

〇コンサート会場
フトシ「まさか質屋の店先に ひとつだけあろうとは・・・」
フトシ「天は我に味方せりっ!」
フトシ「・・・お、はじまるっ!」

〇コンサート会場
みるく「みんな〜!」
みるく「今日は盛り上がってこ〜!!」
フトシ「ほぁーっ! みるくちゃ・・・」
フトシ「おっといけない」
フトシ「みるくちゃーん!!」
みるく「それでは1曲目! 『恋するトーテムポール』いっくよ〜!」

〇カラフル

〇コンサート会場
フトシ「・・・え?」
フトシ「今、俺に目線くれた・・・?」
フトシ「い、いーや、勘違いしちゃいかん!」
フトシ「こんなのただのあるあるだ! アイドルオタクあるある!」
フトシ「・・・でも、かわいかったなぁ」
「♪校庭の隅からキミを見ている」
「♪上から2番目の顔がボクだよ〜」
フトシ「次はみるくちゃんのソロパート! みるくちゃーん!」

〇カラフル
みるく「♪関係ないよね 愛さえあれば〜」

〇コンサート会場
フトシ「・・・」
フトシ「今、オレに言ってた! 絶対オレに言ってたってぇっ!!」
フトシ「め、目線もばっちりオレに・・・」
フトシ「・・・でもオレは トーテムポールじゃないし、 恋の相手の二宮金次郎像でもないしな」
  彼の名前は、高柳フトシ
  こんな時でも意外と冷静な男である
  ・・・で、そもそもなんだよ、
  この歌詞の世界観

〇駅前広場
フトシ「結局、今日はたくさん 目線もらっちゃったな・・・」
フトシ「・・・でへへぇ」
フトシ「でも・・・いったいなぜ急に?」
フトシ「・・・もしかして、 この前の握手会のアレか?」

〇展示スペース(展示物無し)
みるく「こんにちは~」
フトシ「・・・」
フトシ「はいっ! み・る・くであいうえお作文やりまーす!」
みるく「ほ、ほえ・・・」
フトシ「み!」
フトシ「みんな大好き!」
フトシ「る!」
フトシ「ルックスも性格も最高!」
フトシ「く!」
フトシ「くっ──」
はがし「はい、すいませーん、お時間です」
フトシ「おいおーい!!」
フトシ「ちょ、待てよ! オチまで言わせろよ!」
はがし「いや、時間は決まってますので・・・」
みるく「ちょっと!」
みるく「オチ・・・聞かせて?」
フトシ「みるくちゃんっ! 神対応っ・・・!」
フトシ「・・・く!」
フトシ「クッキーとか好きそうっ!」
みるく「・・・」
はがし「・・・」
はがし「お時間でーす」
フトシ「ちょ! なんか言ってよ! み、みるくちゃーん! よく考えたら握手してもらってないし!」
  彼の名前は、高柳フトシ
  お笑いのセンスはない

〇駅前広場
フトシ「いやー、爪痕残すための 必死のパッチだったけど・・・」
フトシ「あとでツボに入ったのかなぁ?」
  んなわけねーだろ

〇コンサート会場
  その後も──
「♪兄さん! 兄さん! 新NISA!」
フトシ「兄さん! 兄さん! 新NISA!」

〇カラフル
みるく「♪ねぇ 一緒にはじめよっ!」

〇コンサート会場
フトシ「ひゃ〜、またオレのこと見て・・・」
フトシ「は、はじめるはじめるぅっ!!」
  だから、いったいどんな歌詞だ

〇汚い一人部屋
フトシ「・・・おかしい」
フトシ「どうもこのペンライトを 手に入れてからなんだよな・・・」
フトシ「みるくちゃんが オレのこと見てくれるようになったのは」
フトシ「・・・ま、そんなチートアイテム あるわけないか」
フトシ「じゃあ、まさか、オレにガチ恋・・・!」
フトシ「・・・」
フトシ「い、いや、いかん! なにを考えとるんだオレは!」
フトシ「そもそもオレのみるくちゃん推しは そういった不純な動機ではなく」
フトシ「兄が妹を見守るような そういうスタンスでの活動であって」
フトシ「だいたいみるくちゃん推しである以前に MUEN坂34という箱推しなわけで」
フトシ「そこにそんな特定メンバーと 恋愛がしたいのなんだの そういった期待なんてまったくなく」
フトシ「ただただ純粋にMUEN坂34の ますますの発展を祈るばかりであり」
フトシ「そもそもみるくちゃんは天使なので 我々愚民には興味などあるわけがなく」
フトシ「もうそのご尊顔を拝見するだけで 我々愚民は十二分に満たされ 明日への活力を・・・」
  彼の名前は、高柳フトシ
  推しを語る時は饒舌かつ早口である
フトシ「・・・ん?」
フトシ「もしかして・・・みるくちゃんからっ!?」
  どういう理屈でそうなる
フトシ「・・・なんだ、ニュースサイトの通知か」
フトシ「ん? 元ダビデ☆エンジェルの 花園ありさ結婚?」
フトシ「お相手は・・・一般男性・・・」
  彼の名前は、高柳フトシ
  一般男性である
フトシ「・・・」
フトシ「ワンチャン、あるっ!!」
  彼の名前は、高柳フトシ
  とてつもなく単純である

〇中規模マンション
フトシ「ふふ、オタクの情報収集力と行動力、 ナメんなよ・・・」
フトシ「みるくちゃん! 正装でお迎えに参りましたっ!」
  初手から犯罪行為である
フトシ「みるくちゃんの部屋の明かりが ついているのは確認済み・・・」
フトシ「あとは・・・気づいてもらうのみ!」
フトシ「L・O・V・E! L・O・V・E! みるく! みるくっ!」
フトシ「・・・ダメか」
  ダメだろ、いろんな意味で
フトシ「・・・ええいっ、もっと近くならきっと!」

〇木の上
フトシ「この木によじ登れば、 みるくちゃんの部屋のベランダは 目と鼻の先・・・」
フトシ「フトシ、いっきまーす!!」
  彼の名前は、高柳フトシ
  思い込んだら一直線である
フトシ「ふんぬぅ・・・!」
フトシ「もうちょい・・・もうちょ・・・」
フトシ「え」

〇黒
フトシ「ふぎゃあああああっ!!」

〇黒

〇中規模マンション
みるく「・・・もしもし? もう部屋にいる?」
みるく「えっ? 夕飯つくってくれてるの? やった〜!」
みるく「・・・うん、大丈夫だよ」
みるく「マスコミにも運営にもバレてない・・・」
みるく「ふたりだけの・・・ナイショ」
みるく「・・・じゃ、もうすぐ着くね〜、は〜い」
みるく「・・・ん?」
みるく「ペンライト・・・なんでこんなところに?」

〇黒

〇中規模マンション
「いやあああああっ!!」

〇中規模マンション
  彼の名前は、高柳フトシ
  無事、推しに見つけてもらったようである

〇血しぶき
  ペンライトは
  推しを応援するためのアイテム
  私も陰ながら、
  応援する持ち主を応援したいだけなのに
  なかなかうまくはいかないものだ
  ・・・さて、次はどんな持ち主が
  どんな推しを応援するのやら
  では、機会があれば、また
  THE END

コメント

  • アイドルの裏リアルですね!

  • ファンの気持ちがよく出ている話でした😄
    恐怖より笑いに振り切っているので、某企画は難しかったのでしょうか?
    繰り返しのナレーションも面白かったですww
    主人公の気持ちがよく出ている面白い作品なので良かったと思います!!

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