プロローグ(脚本)
〇古いアパートの部屋
勇者と魔王が現実世界で同棲をはじめて間もない頃────
勇者「おい、魔王──!!」
魔王「なんだ、勇者? 騒々しい・・・」
勇者「この金は一体なんだ!?」
そう言って勇者は宝箱一杯に入った金貨や宝石を床に置いた
魔王「無論、私たちの結婚資金だが」
勇者「どうやって用意した?」
勇者「まさか、また町や村を襲ったんじゃないだろうな?」
魔王「ちがうちがう・・・」
魔王「いらないものをネットオークションで売りさばいただけだ」
勇者「・・・・・・」
勇者「それでこれだけの金を集めただと?」
勇者「何を売った?」
魔王「エクスカリバー」
勇者はぽかんと口を開け、すべての思考が停止してしまった。
勇者「てめーっ、なにしてくれてんだ!?」
勇者「あれは俺の────!!」
魔王「落ち着け、勇者」
魔王「これを見ろ」
魔王は押し入れから取り出したものを勇者に投げ渡した。
勇者「え、これって・・・」
魔王「見ての通り、エクスカリバーの鞘はここにある」
魔王「これがなければあの剣はただのガラクタも同じだ」
勇者「ち、因みにいくらで売ったんだ・・・?」
魔王「6000万」
勇者「お前それ完全に詐欺じゃねえか・・・」
魔王「私は悪くない」
魔王「無知なのが悪い」
魔王「それに私はちゃんと説明文に記載したぞ」
魔王「『この商品に鞘は付属されてません』って」
勇者「・・・・・・」
勇者「お前、絶対地獄に落ちるな・・・」
魔王「ふん! そのときは貴様も道連れだ」
勇者「・・・・・・」
勇者「他にはなにを売ったんだ?」
魔王「宝物庫の武器や魔法具も全て売り払った」
魔王「もう私には必要のないものだからな」
勇者「こんな大金どうするんだよ?」
魔王「これから子どもも生まれるんだ」
魔王「金はいくらあっても足らん」
勇者「え、それって・・・」
魔王「今、二ヵ月だそうだ」
勇者「俺お父さんになるのか・・・?」
魔王「そうだ」
魔王「勇者と魔王がデキ婚だ」
勇者「いらんこと言わんでいい・・・」
勇者「・・・・・・」
勇者「でも、そうか・・・」
勇者「俺もついにお父さんか」
魔王「これからもよろしく頼むぞ──」
魔王「『お父さん』」
魔王と勇者が結婚するシュチュエーションは面白かったです。やはりタップノベルはクスっと笑えるものがいいのかな