この道はどこにつながっている? 「未来から今の私へのメッセージ」

Tomoki

この道はどこにつながっている? 「未来から今の私へのメッセージ」(脚本)

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〇空
  私はミュージシャンになる夢をあきらめきれなかった。
  大学卒業後も定職には就かず。
  年齢的に崖っぷちの私はバイトをしながら、
  渋谷明治通りぞいにあるボーカルスクールに3年間通っていた。

〇地下鉄のホーム
  そのさなかの2003年。
  “東急田園都市線直通”の半蔵門線が
  私の住む駅まで伸び、
  渋谷まで1本で行けるようになった。
  きらびやかな街が、手の届く場所になったような気がした。

〇渋谷駅前
  あれから約20年、
  今日久しぶりに野暮用で渋谷に来た。
かずき「うわー相変わらず混んでるな、、」
  地上に上がりスクランブル交差点を見た瞬間、

〇ライブハウスのステージ
  20年前桜散る渋谷の
  “ライブハウスでの出来事”を思い出した。
  その日、私の弾き語りが終わり
  ステージからバーカウンターに戻ると、、

〇シックなバー
初老の男「今度からウチでライブやらない?」
  と白髪の初老の男に誘われた。
  でも急に声をかけられた驚きと
  自信のなさから、
20代の頃のかずき「いえ、結構です!」
  と誘いを無下に断ってしまった。
  後日、その初老の男は
  “有名プロダクションのマネージャー”
  だと聞かされたが時すでに遅かった。

〇渋谷駅前
  久しぶりにきたせいか、
  そんな苦い記憶を思い出した。
かずき「あの時、もし誘いを受けていたら ミュージシャンになれたのかな?」
かずき「あの日に戻れればな、、」
  と20年前の後悔がふと出てしまった。

〇街中の道路
  そんな目的地までの途中、
  みたことのない横道を見つけた。
かずき「あれ、こんな道あったっけ?」
  道の角に引き寄せられるように入った
  瞬間、景色が微妙に変わった。

〇繁華な通り
かずき「あれ、間違えたか?」
  妙な違和感を感じ、慌てて道を調べようと
  左ポケットのスマホに手を伸ばした。
かずき「てか待てよ、、」
かずき「オレのスマホ、 "ガラケー"になってるじゃん!」
  そしてカチっと開き画面をよく見ると、“2002年”の文字が。

〇空
  その時、鉛色の渋谷の上空から
  ”銀色の物体”が目の前に降りてきた。
かずき「おまえ、誰?」
ロボット「そう!ここは2002年の渋谷だよ」
かずき「いや違う"お前は何者なの?" って聞いてるの!」
ロボット「混乱していますね、まあ落ち着いて」
ロボット「私は“2042年のあなた”から頼まれて、 時空を超えて送られてきたメッセージロボット」
ロボット「あなたが渋谷で "たら" "れば" を言った時 タイムスリップさせ、」
ロボット「目の前に現れるよう プログラミングされていたんです」
かずき「もう全然状況がわかんないんだけど、 元に戻してくれよ!」
ロボット「だって君、あの頃に戻りたいって言ったでしょ? だから20年前に戻してあげたんだよ」

〇ライブハウスの入口
ロボット「ほら、よく見てごらん "この場所"見覚えないですか?」
  目の前には20年前のあのライブハウスの光景が。
  そして、ステージでは
  "当時の私"が弾き語りをしている。
ロボット「あなたの演奏がおわりましたね、 これから声をかけられるところですよ」
かずき「あっ、"オレに"誘いを受けるよう 伝えにいかなきゃ!」
  とライブハウスのドアに手を伸ばした瞬間、
  私の手はすり抜けてしまった。
ロボット「すみません。ここは過去だから “今のあなたは”存在していない状態です」
ロボット「なによりもう過去は変えられないんです」

〇繁華な通り
かずき「そんな、じゃあ何のためにタイムスリップさせたんだよ」
ロボット「・・・」
  そしてロボットはニヤっと笑いこう言った。
ロボット「メッセージを伝えたら 元に戻るから大丈夫ですよ」
ロボット「それでは”2042年のあなたから、 今のあなたへ"預かったメッセージを読み上げますね」
ロボット「『やるだけやったのか? 他にやり方がないか探してごらん』」
ロボット「以上です」
かずき「えっそれだけ?」

〇渋谷のスクランブル交差点
ロボット「あなたはずっと前から“もう一度バンドで ライブがしたい!”と思っていますよね」
ロボット「なんでやらないんですか?」
かずき「なんでって、、オレはもうこんな歳だし、」
かずき「メンバーは集まらないだろうし、」
かずき「ほら、こんな時代だから ライブハウスとか使えないじゃん」
ロボット「あはは、、またそうやって "やらなかった言い訳"を作り上げて」
ロボット「あとから”やっぱりやっとけば良かった” って悔やむんですか?」
かずき「そんないい方しなくても、、」

〇繁華な通り
ロボット「その時の気持ちで”決断する”しかないんです!」
ロボット「そして決して、時代を逆戻りさせて やり直すことは出来ないんです」
かずき「じゃあどうしたらいいんだよ!」
ロボット「簡単ですよ」
ロボット「時が戻せないんだったら、 また今から始めたらいいじゃないですか」
かずき「でも、、」

〇空
ロボット「ほらそうやって言い訳を言っているうちに、5秒歳をとりましたよ 笑」
ロボット「“今この瞬間が”これからのあなた史上 一番若いってことを忘れずに」
ロボット「前回上手くいかなかったんだったら、 違う方法を試してごらん」
ロボット「正解なんてないし、きっと"つながる道"は一本だけじゃないと思うよ」
ロボット「じゃあさようなら〜」
  と言って、ロボットは鉛色の渋谷の上空
  はるか彼方に消えていった。

〇繁華な通り
かずき「今、目の前に現れたこの道を歩いたら どこにつながるんだろう?」
  それは誰にもわからない。
  でも分からないから楽しみなのかも、、

〇渋谷のスクランブル交差点
  この先、
  何億とおりもの未来の選択肢がある。
  “20年後の私”が悔やまないために、
  今日何しよう。

コメント

  • すごく大事なことを思い出させて頂きました!
    そうですよね、過去にどうしてればこうなったとか、たらればの考えをするより、今未来に向けてどうすれば良いのか考えるのが生きる上で大事ですよね。
    後悔先に立たず!写真を忘れず頑張ろうと思いました!

  • 未来から来たロボットが過去を変えることはできない。と言った台詞が印象に残りました。そうです。未来は作る事ができるのです。改めて感動のストーリーでした。

  • 未来から、今の自分へメッセージを届けに来るロボット。引き込まれながら読んでいました。私はもうずっと前に進めていないので、少し元気出さなきゃと思えました。次も楽しみにしていますので

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