花姫様と最強の冷徹騎士様

ちゅるちゅるめん

不穏な影(脚本)

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〇空
アレグラット「はああ!」
アレグラット(これで、2/3は削れた筈だ)
アレグラット(だがまだかなりいる・・・教師陣は生徒の避難で忙しく、結界内の生徒達はもう魔力残量が少ないだろう)
アレグラット(こいつらを魔法で倒す方法もあるが、倒した後にまた増援が来ると厄介だ。だから魔法を使うわけにはいかない・・・)
アレグラット「誰かいないのか・・・」
???「アル、後ろ!」
アレグラット「!!」
アレグラット(今斬ったのは・・・)
ノンヴィティエス「良かった、間に合ったね!」
アレグラット「ノンヴィティエス様、ありがとうございます」
アレグラット「ですがここは危険です。急いで離れてくださ」
ノンヴィティエス「ここは素直に頼って良いんだよ」
ノンヴィティエス「君には頼れる仲間がいるんだよ。それは騎士団の人や、家族。そして友人だ」
ノンヴィティエス「例えば僕とかね」
  ズキッ
アレグラット(前に、聞いたことがある、気がする)
ノンヴィティエス「ここは素直に助けられてくれよ、僕がそうしたいんだ」
  ズキッ
アレグラット(俺はこの言葉を、聞いたことがある)
ノンヴィティエス「──アル?」
アレグラット「すみません、少し考え事を・・・」
アレグラット「でも、そうですね。僕はあなたに助けてほしいです」
ノンヴィティエス「うん、そういってくれて嬉しいよ」
ノンヴィティエス「頑張ろう」
「ウオオオォォオ!」

〇砂漠の基地
  事が落ち着いたのは、その日の夕方だった。
  夕方になる前にはすでに敵を倒し終えていたのだが、先生方に俺たちは酷く怒られてしまった
  それと同時に大会も中止になったので、ほとんどの生徒にとって散々な1日となった。
  だがこの日、僕たちはたくさんの人々に「無理に挑まないこと」「倒してくれてありがとう」などの、たくさんの言葉をもらった。
  そして僕たちは
  親友となった

〇上官の部屋
ゼルベイク「ではノンヴィティエス様。以前の件の報告をお願いします」
ノンヴィティエス「はい」
ノンヴィティエス「まず、私たちは事が起こる前、第2訓練場西方の結界内にいました」
ノンヴィティエス「そこでシャイローゼ様、他3人と結界内で待機していると大きな鳴き声が聞こえ、暫くすると魔人や魔物の集団がやってきました」
ノンヴィティエス「すぐにアレグラットが助けに入り、私もそこに参戦して、事態を納めることができました」
ゼルベイク「なるほど・・・」
ノンヴィティエス「ですが、アレグラットは何かに薄々勘づいていたそうです」
ノンヴィティエス「第2訓練場付近には、小さな森のような場所があります。そこには濃い魔力が漂い、周囲には動物が見当たらなかったそうです」
ノンヴィティエス「恐らくそこに何かの手掛かりがあったと見たアレグラットは数分ほど探したそうですが、なにも見当たらなかったとのことです」
ノンヴィティエス「そして、ここからは彼の憶測になるそうですが、もしかしたら”ミルェーツ”の仕業ではないかと」
「!!」
蝶ケ夜蒼「困りましたね・・・あそこはこの国を象徴する大切な学舎。もうそこにまで彼の手が届いているというのね」
ゼルベイク「そうだな。まずは学園、各家の警備を強固にし、その森の調査にアレグラットとその他の衛兵達に調査にあたらせよう」
ノンヴィティエス「懸命な判断かと」
蝶ケ夜蒼「そしてこのことは学校の教員から全生徒達に伝えさせましょう。警戒させるに越したことはないわ」
ゼルベイク「あぁ。登下校時は、貴族は必ず警護をつけて帰らせるように。平民はなるべく複数人で登下校させるようにしよう」
ゼルベイク「よし、報告ありがとう。この件についてはこれで終わりだ」
ゼルベイク「あとは・・・」
ノンヴィティエス「僕とシャイローゼ様の、婚約についての話、ですね」
ゼルベイク「そうだ。こんな早くから決めさせるようなことをして、すまないな・・・」

〇ファンタジーの教室
ヴィッツ先生「皆さん、おはようございます」
ヴィッツ先生「明日は皆さん知ってる通り、学年社交界です」
ヴィッツ先生「皆さん、明日のために各々ダンスの練習に励んでいたかと思います」
ヴィッツ先生「なので、今日は早帰りとします。各自十分に休息をとってくださいね」
ヴィッツ先生「ですが、この前のような事件が起きないとも限りません。登下校の際は護衛の人と共にいてくださいね」
ヴィッツ先生「今日はこの連絡だけで以上です。活動会は全て本日の放課後のみは取り止めですので、なるべく早く帰りましょう」
ヴィッツ先生「では、また明日」
シャイローゼ「いよいよ明日だね!社交界!」
アレグラット「えぇ、僕は護衛でしか参加することはほとんどなかったので・・・失敗は免れたいです」
シャイローゼ「そんなに固くならないの!初めてなら尚更楽しまなくちゃ!」
ノンヴィティエス「そうだよアル。明日は確かに胡桃さんをエスコートするとはいえ、君が楽しまなくちゃ彼女も楽しめないんだよ?」
アレグラット「楽しむ・・・なるほど、わかりました。では明日は楽しめるよう頑張ります」
(楽しむっていうのは頑張ることではないんだよなあ・・・)
ノンヴィティエス「そうだ、シャイローゼさん。今日の放課後に国王様・・・あ、君のお兄様に2人で来るよう言われてたんだよね」
シャイローゼ「私達2人で?わかったわ。じゃあアルも行きましょ」
アレグラット「わかりました」
ノンヴィティエス「あ、アルは胡桃さんに明日の事で呼ばれてたからそっちに行ってあげて」
アレグラット「了解です」

〇ファンタジーの教室
アレグラット「失礼します、蝶々夜さんはいますか?」
蝶々夜胡桃「あ、アルー!来てくれたのね!」
男子生徒「嘘・・・もしかしてあの2人がペアなのか?」
男子生徒「俺が初日に誘っても答えてくれなかったのに・・・うちのクラスのマドンナまで盗るのか、アレグラット!」
蝶々夜胡桃「・・・少し、場所を変えようか」

〇鏡のある廊下
蝶々夜胡桃「・・・えぇ、そうね。なら大体この時間に待っているから、アルの家の馬車で来てくれるかしら?」
アレグラット「わかりました。・・・今回ばかりは、魔剣を持っていくしかなさそうですね」
蝶々夜胡桃「そうだね、やっぱりローゼになにかあったらかなりマズイもんね」
アレグラット「それもあるのですが・・・」
アレグラット「僕は生徒も守らなければなりません、騎士として。その役目は私の存在理由になります」
アレグラット「それに、僕のパートナーである胡桃さんを守るのも、今回の僕の役目です」
蝶々夜胡桃「・・・それは誰かに言われたの?」
アレグラット「?いえ、これは僕自身で決めたことです」
蝶々夜胡桃「・・・そっか、フフッ」
蝶々夜胡桃「嬉しいこと言ってくれるね、アル!今日は私の馬車で送ってあげる!」
アレグラット「え、でも・・・」
蝶々夜胡桃「護衛ありで帰宅するのがルールでしょ!ほら早く!」

〇宮殿の門
蝶々夜胡桃「あら、もう馬車が来てたわ」
アレグラット「本当に乗せてもらっても良いのでしょうか?」
蝶々夜胡桃「いいの、気にしないでよ」
アレグラット「わかりました、では・・・」
アレグラット「!」
蝶々夜胡桃「わっ、いきなりどうしたの?!不審者でもいた?」
アレグラット「若干ですが、ミルェーツの気配がしました」
アレグラット「胡桃様、予定変更です。今日は王宮に僕を送らなくて大丈夫です」
蝶々夜胡桃「え、でもそれだとアルが・・・」
アレグラット「僕は胡桃さんの馬車に乗り、家まで護衛します。その後はワープで帰りますので」
アレグラット「自分1人ならまだしも、他の人を守りながらだと少し不安なので・・・」
アレグラット「なので早く、今すぐ急ぎで帰りましょう」
蝶々夜胡桃「わかったわ、ごめんね、アル・・・」
ミルェーツ「おっかしいなあ・・・少なくとも20kmは離れていると思ったのに」
ミルェーツ「騎士様がここまで成長したのは予想外だね。・・・そろそろ君を使うときが来たようだ。ねぇ?『』」
???「・・・」
???「──アレグラット、か」

〇大広間
アレグラット(こんな夜にホールに呼び出されたが・・・何かあったのだろうか)
シャイローゼ「あぁ、アル・・・来てくれたのね、ありがとう」
アレグラット「その格好・・・」
シャイローゼ「あぁ、これ?ふふ、実はこれね、明日の衣装なの」
アレグラット「とてもよく、お似合いです」
アレグラット(これは本心だ。濃い赤と淡い月光が彼女をより美しく際立たせている)
シャイローゼ「あのね、・・・明日の夜の社交界が少し不安なの。久々だし、しっかり踊れるのかなって・・・あんなに練習したのにね」
シャイローゼ「だから一緒に最後の練習をしてほしいの。・・・いいかな?」
アレグラット「ええ・・・では」
  僕は跪き、彼女の手の側に自分の手を差し伸べた
アレグラット「僕と踊っていただけますか?」
シャイローゼ「ええ、喜んで」
  カツ、カツと音楽がないホールで、2人の男女が月光下で踊っていた。
シャイローゼ「ふふっ・・・」
アレグラット「どうされました?」
シャイローゼ「ううん、楽しいなって思ったのよ」
シャイローゼ「この時間が続けばいいのに」
アレグラット「楽しいと思っていただけたのなら幸いです」
シャイローゼ「ふふっ・・・ウフフ・・」
  寂しげだったホールに楽しそうな笑い声が響いた。彼女が幸せそうなのを感じて、また一方の男は、僅かに笑みを溢した

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