世界よりもきみのために(脚本)
〇荒廃した街
ソール「これで終わりだっ!」
ディープワン「グアアアッ・・・!!」
・・・
ルナ「やったの・・・?」
ソール「ああ・・・」
ルナ「でも、おかしいわ・・・ 火の手が止まらない・・・」
〇荒廃した街
ルナ「どうしてなの!? 倒せば終わりって言ってたじゃない!」
ルナ「ねえ、おばあさま! そうでしょう!?」
老魔女「・・・・・・」
ルナ「どうして何も言ってくださらないの? 何か知っているのでしょう?」
ソール「・・・まだなんだ」
ルナ「えっ・・・?」
ソール「・・・」
ルナ「まだって・・・ ソール、どういうことなの?」
フィス「ソール、私から言うよ」
フィス「あのね、ルナ」
フィス「炎は絶対に消えないんだよ。 あの炎の化け物を倒しても」
フィス「死してなおこの世界を燃やし尽くす。 そういう呪いなんだ」
フィス「だからね・・・ この戦いは初めから負けてたんだよ」
フィス「でもね。あるんだよ。 この世界を守る方法」
フィス「世界を燃やし尽くす呪いを移す魔法」
フィス「呪いを他に移して、化け物の元居た世界に返すんだ」
フィス「ごめんね・・・嘘付いてて」
ルナ「そうですか・・・ 私に言えなかった理由はわかりませんが」
ルナ「これでみんな助かるのでしょう?」
フィス「・・・うん。 でもね・・・」
ソール「もういいよ。フィス」
ルナ「ソール・・・」
ソール「ルナ」
ソール「俺が呪いを引き受ける」
ルナ「えっ・・・」
ソール「呪いを移すにはあの化け物との繋がりが必要なんだ」
ソール「世界と同等の呪う理由・・・ 化け物を倒した勇者にはピッタリだろっ!」
ソール「さあ、儀式を始めてくれ せっかく守った世界が燃えちまう」
老魔女「・・・もうやってるよ」
フィス「・・・」
ルナ「・・・待ってください」
ルナ「待ってくださいっ!!」
ルナ「わたくしだけですかっ! おかしいと思っているのは」
ルナ「世界のためとはいえ、 あんな化け物の犠牲に進んでなるなんて」
ルナ「犠牲にならわたくしがなります」
ルナ「この戦いに加わっていた者すべてに呪いを受ける資格があるはずですから」
老魔女「嬢ちゃんの言う通りだよ」
老魔女「嬢ちゃんくらいの繋がりなら十分に呪いを受けれるだろうさ」
老魔女「あたしはどっちでもいいんだけどねぇ」
ソール「ダメだ。俺にしろ」
ソール「俺がすべて背負う」
ルナ「どうしてあなたが決めるんですか? 私にだって王女としてこの世界に責任があります」
ソール「違うんだ」
ソール「俺は世界のためなんて そんな大層な男じゃない」
ソール「ずっと考えてた。自分の戦う理由・・・ そして生きる意味」
ソール「すべてはこの世界で幸せに生きるきみのために」
ソール「そう考えると、俺の空虚な人生にも価値があったと思えるんだ」
ルナ「卑怯者」
ルナ「あなたは卑怯者です」
ルナ「残された人の気持ちを考えたことがあって?」
ルナ「私だってそうです。 この世界を犠牲にしてもあなたにだけは生きていて欲しい」
ルナ「あなたが欠けた世界で私が幸せになることはありません」
ソール「それでもきみを犠牲にすることはできない」
ルナ「・・・わかってました あなたの決意が固いことは」
ルナ「もう止めません」
ルナ「だから帰ってきてください」
ルナ「どんなに時間がかかっても、 どんな姿になっても」
ルナ「お待ちしていますから」
ソール「・・・わかった」
ソール「じゃあ・・・また」
ルナ「はい、また」
〇白い扉の置かれた森
〇森の中
ルナ「行って・・・しまわれたのですね・・・」
ルナ「お待ちしていますから・・・いつまでも」