その瞳に反射する、まっすぐな祈り

なもなき一職人

後編【見落としがちな、その存在を……】(脚本)

その瞳に反射する、まっすぐな祈り

なもなき一職人

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〇マンションの共用廊下
「はあああああああああああああああ! ?」

〇明るいリビング
彼女(30)「ちょっと、どういうコトなのよ!」
彼(30)「ど、どうって言われても──!」
彼女(30)「ホント、意味わかんないっ」
彼女(30)「知ったこっちゃ、ないのよっ」
彼女(30)「まったく、アンタって奴は!」
彼女(30)「ヒトの気持ちとか、考えなさいよね♪」
彼女(30)「ビックリするったら、ありゃしない!」
彼(30)「いや、あの──」
彼女(30)「なにが、なにが・・・」
彼女(30)「『愛してる』よ!」
彼(30)「うぐぅ!」
彼女(30)「『大好きだ』よ!」
彼(30)「ぐあぁ!」
彼女(30)「『いつも、ありがとう』よ!」
彼(30)「──だぐはぁ!!」
彼女(30)「さっぱり、言わなかったのに!」
彼女(30)「ずっとずっと、言って欲しかったのに!」
彼女(30)「貴重なセリフを、 心の準備も出来てないのに・・・」
彼女(30)「なんで今さら、 なんでいきなり──」
彼女(30)「3つも同時に、 バババッと言ってしまうのよぉぉぉぉ!」
彼(30)「うぇ!?」
彼(30)「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

〇水色(ライト)
彼女(30)「ほ、ほんとにもう!」
彼女(30)「そんなコト言われたって!」
彼女(30)「そんなコト、言われ返されたって! !」
彼女(30)「ゼンゼン!    嬉しくなんてないんだからっ                  ♡」
  本心を隠せない、ツンデレさん......
  花が舞って見えるほど、
  とっても嬉しそう♪

〇明るいリビング
彼(30)「あぁ、そういう事か・・・」
彼(30)「ずっと、言われ返されたかったんだな」
彼(30)「ネコから『好き』ってマバタキ返されて、 あんだけウキウキになれてるのに──」
彼(30)「俺からは、 言えてなくて本当にゴメン...」
彼(30)「さっきの反応で、やっと分かったよ──」
彼女(30)「あ、謝ることじゃないよっ」
「──」
彼女(30)「あ、だけどね~」

〇明るいリビング
彼女(30)「その、教えては欲しいかも!」
彼女(30)「どーして、いきなり・・・?」
彼(30)「コイツが怒ってた理由も──」
彼(30)「お前に 言わなさ過ぎた事なんじゃねーかなって?」
彼女(30)「『愛してる』とか、『だいすき』とか 『ありがとう』とか・・・」
彼女(30)「そういう言葉を?」
彼(30)「昨日の晩、コイツに 『二ャー二ャー』と文句言われたのは」
彼(30)「『私より先に、愛してると言うべき人が居るんじゃない!?』とか」
彼(30)「お前への想いを、 言葉にしてないコトを怒られた様な──」
ネコ(21)「ナー♪」
彼(30)「だから埋め合わせじゃねーけど、 3つまとめて言ってみたんよ・・・」
彼女(30)「ふふ♪」
彼女(30)「この人に、 もっと『ありがとう』とか言いなさいって」
彼女(30)「伝えてくれたのかな?」
ネコ(21)「ナー!」
彼女(30)「うんうん!」
彼女(30)「ネコちゃんだから、 なに言ってるかは分かんないけれど──」
彼女(30)「きっと、そうなんだろうね~」

〇明るいリビング
彼(30)「まぁ、改めてになるけれど──」
彼(30)「起きがけに 元気付けてくれて、ありがとうな!」
彼女(30)「いやいや、そんな──」
彼(30)「お前の料理もメチャ旨で、 俺は大好きだぜ!」
彼女(30)「おそまつさまでーす!」
彼(30)「口だけのヤツとかイカンと思い・・・」
彼(30)「本当の感謝ってのは、言葉にせずに」
彼(30)「行動で返すのが良いんだろうって──」
彼(30)「昔から、 ずっとそれで通して来たつもりだけれど」
彼(30)「もしかしてお前には 悲しい思いとか、させちまってたか──!?」
彼女(30)「心配しないで!」
彼女(30)「そんなこと、 考えたこともないからっ」
彼女(30)「今まで通りで、十分だよっ」
「・・・・・・」
彼(30)「ホントに、いいのか?」
彼(30)「無理してねーか?」

〇明るいリビング
「・・・」
彼女(30)「これはきっと、 私がアンタを信じているかの問題で」
彼女(30)「既に頑張ってくれてるアンタに 甘えちゃう事になるんだろうけど──」
彼(30)「なんでも来いよ!」
彼(30)「俺もお前に、 散々甘やかして貰ってんだ♪」
彼女(30)「もうちょっとだけ、 こまめに言って欲しいな!」
彼(30)「『愛してる』とか、 『だいすき』とか、 『ありがとう』とか、」
彼(30)「そういう言葉を!?」
彼女(30)「うん!」

〇明るいリビング
「・・・・・・」
彼女(30)「これまで、遠慮しちゃってて──」
彼女(30)「こんな事を頼むと、『めんどくせ~』とか」
彼女(30)「『ややこしい奴』とか、 『重い女』だとか」
彼女(30)「私の事、 そういう風に思っちゃうかもだけど──」
彼(30)「思わない、思ってない。」
彼(30)「お前の事で、『めんどくせ~』とか 『ややこしい奴』とか『重い女』とか」
彼(30)「そんな事、 昔から思ったことなんてねーよ。」
彼女(30)「アンタが、行動で示そうとする人なのは」
彼女(30)「知ってるし、 きっと良いことなんだろうけど」
彼女(30)「何か有ったら、やっぱり 心が動いたら、その時は──」
彼女(30)「言葉にして欲しいな~って思うの!」
彼(30)「・・・言葉にする」
彼女(30)「私にとって、 世界中の誰より大切なアンタが」
彼女(30)「ちゃんと元気だって、 私が幸せを届けられてるって──」
彼女(30)「確かめるコトが、出来ると思うから・・・」
彼(30)「約束するよ♪」
彼女(30)「約束ね♪」
彼女(30)「──あ、でも!」
彼女(30)「ムリヤリ言うのは、しないでね!」
彼女(30)「お世辞を言われるとかは、苦手だし!」
彼女(30)「どう反応すればいいか、困っちゃうから」
「・・・・・・」
彼(30)「──お前が頑張ってたり 俺のために、やってくれたコトあれば」
彼(30)「ゼッタイ見落とさず まっすぐに、俺の気持ちを届けていくよ!」
彼(30)「そんで俺は、 お前に認めてもらえる様な」
彼(30)「頼れる相棒で在り続けるから──」
彼(30)「俺のことも、見ていて欲しい──」
彼女(30)「オッケー!」
彼女(30)「任せておきんシャイ!」

〇黒
「お互いに、お互いのコト 見落とさずにやっていけるかな?」
「けっこう、むずかしそう・・・」
「なぁに!」
「俺たちなら、きっと出来るって!」
「・・・」
「信じてるよ──」

〇マンションの共用廊下
彼女(30)「それじゃ、今日のお弁当!」
彼(30)「・・・・・・」
彼(30)「これまでは、 声に出しても『うぃーっす』ぐらいだけど」
彼(30)「今日は言うよ、『ありがとう』!」
彼女(30)「やっぱり、いいもんですなぁ~」
彼女(30)「生きているって、実感できる・・・♡」
彼(30)「ほんじゃ、行ってくる!」
彼女(30)「はーい!気を付けてね~」
彼女(30)「・・・・・・」
彼女(30)「チ、チョット待って! !」
彼(30)「わわわ、忘れ物か!?」
彼女(30)「えっとね、えーっとね!」
彼女(30)「さっきは、ごめんなさい!」
彼女(30)「突然言われて、 情緒がグチャグチャになってしまって」
彼女(30)「『ゼンゼン、嬉しくなんて~』とか つい言ってしまったのだけれど──」
彼(30)「あぁ、さっきのな!」
彼女(30)「その、本当はね──」
彼女(30)「とーっても、嬉しかったから!」
「・・・」
彼女(30)「それから、私も言いたくて──」
彼女(30)「私の方こそ、照れちゃうんだけど──」
彼女(30)「いつも、 頑張ってくれて『ありがとう』♪」
彼女(30)「一生懸命なアナタが『だいすき』です!」
彼女(30)「それから、 やっぱり気付いてないかもだけど──」
彼女(30)「泣き虫なところとか 慌てん坊なところとか 寂しがり屋なところとか」
彼女(30)「あとは、そのね!」
彼女(30)「ウソが苦手で、 【まるわかり】なところも含めて──」
彼(30)「・・・? ? ?」
彼女(30)「アナタのことを まるごと全部、『愛してる』から!!」

〇空
「最近ずっと、仕事で忙しかったけど」
「今週末は、余裕ができるから──」
「なになに!?」
「日曜にさ、買い物に行こうぜ」
「・・・・・・」
「ひ、久しぶりのデート・・・」
「やったー!」
「・・・・・・」
「ちょ、声デカイ声デカイって!」
「だーって♪だーって♪ 嬉しすぎるんだもーん!」

〇水玉2
  変なウソつく、似た者同士
  
  ウソつこうとすれば、変なクセが出る2人
  もっと素直になってくれたらと
  
  ずーっと祈っていたけれど······
  またちょっと、互いに近づけたみたいね...

〇白
  それにしても、
  あなた達がシアワセそうで
  
  本当によかった······!
  あなた達のシアワセが······
  アタシのシアワセ♪
  アタシのね!

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