義妹を押し付けられて

夏目心 KOKORONATSUME

5 守るべきもの(脚本)

義妹を押し付けられて

夏目心 KOKORONATSUME

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〇教室
  俺が真由を押し付けられてから一ヶ月が経とうとしていた。今では真由が俺のクラスにいる事が当たり前となっていて、
  仲間達も真由に対して良心的だった。
藤崎真由「・・・・・・」
飯野拓郎「おうおう!良く寝てるじゃねぇか!」
藤崎雄太「おいおい、余り大声出さない様にな?」
飯野拓郎「分かってるって!」
飯野拓郎「しかしまぁ、やっぱ赤ちゃんってこうして見ると可愛いよな・・・こう言うの守るにも、やっぱ力付けないとだな!」
藤崎雄太「本当だよ・・・世の中育児に精を出してる人達が凄いと思うよ・・・」
飯野拓郎「なぁ、あれから真由ちゃんのお母さんとは連絡取れたのか?」
藤崎雄太「取れたと思うか?」
飯野拓郎「マジか・・・聞いた俺が馬鹿だったぜ・・・」
飯野拓郎「なぁ、前から気になってたんだが、保育園の方はどうなんだ?」
藤崎雄太「その事だが、後一週間で入れられる様になるよ!」
飯野拓郎「そっか・・・俺を含めて、何か寂しくなるな・・・」
藤崎雄太「そう言ってくれるなよ!皆には本当に感謝してる!」
飯野拓郎「そっか・・・」
飯野拓郎「あ、俺今日日直だった・・・行って来るわ!」
藤崎雄太「・・・いつか、必ず借りを返さないとな・・・」
「やめて下さい!何なんですかあなたは!?」
「良いからどきなさい!真由と雄太君がここにいるんでしょ!!」
藤崎雄太「な、何だ!?てか、今の声は・・・!?」

〇学校の廊下
西園寺茜「勝手に入って来て、何なんですか一体!?」
明美「どきなさいと言ってるのが聞こえないの!?私は真由を迎えに来たのよ!!」
藤崎雄太「え?明美さん!?」
明美「あら雄太君!久し振りね!」
西園寺茜「え?藤崎君の知り合い?」
藤崎雄太「知ってるも何も、真由のお母さんだよ・・・」
西園寺茜「な、何ですって!?」
藤崎雄太「明美さん、今まで何してたんですか?真由の事放ったらかして・・・」
明美「雄太君、私最近お金持ちで社長やってる人と再婚したのよ!それで夫が子供が欲しいって言うから、真由を迎えに来たのよ!」
藤崎雄太「さ、再婚!?一体何を考えてそんな・・・父さんの事好きになってくれたから俺らの所に来たんじゃ無いんですか!?」
明美「あっちの彼の方があなた達の所よりずっと優良物件なのよ!子供を作るにもお金と時間が掛かり過ぎて面倒なのよ・・・」
明美「だから真由の事思い出して迎えに来たのよ!真由はどこなの?」
西園寺茜「ちょ!あなた真由ちゃんの事何だと思ってるの!?自分から勝手にいなくなって好き放題やって・・・」
西園寺茜「都合が悪くなったから連れ戻すとか、自分勝手にも程があるでしょ!!」
明美「だぁもう!いつまでも私の邪魔しないでよ!雄太君!真由はどこ!?私も暇じゃ無いから!」
藤崎雄太「ま、待って下さい!好き放題されて今になって連れ戻しに来たとか、それではい分かりましたなんて言えないでしょ!!」
藤崎雄太「あぁ、真由!!」
明美「何だ向こうの方にいるのね!真由!迎えに来たわ!」
西園寺茜「ちょ!あなたが納得しててもあたし達は納得してません!」
明美「だから!邪魔しないでよ!!」
西園寺茜「あ!」
藤崎雄太「委員長!!」
明美「ガキどもがギャアギャア騒ぐんじゃ無いわよ・・・私は忙しいんだから・・・」
明美「ん?何よ今の音・・・」
飯野拓郎「よっしゃ!決定的瞬間ゲットだぜ!」
明美「はぁ!?あんた何してくれてるの!?」
飯野拓郎「いやさ、何か変な奴がいるから覗いて見たら、真由ちゃんを迎えにとかどうとか言ってたからさ・・・」
飯野拓郎「おばさん何者だい?」
明美「だ、誰がおばさんよ!そうよ!私は真由の母親よ!だから迎えに来たのよ!!」
飯野拓郎「お〜怖い怖い!でもおばさん・・・藤崎に自分の子供押し付けて殆ど何もせずに遊び呆けてたんだろ?」
飯野拓郎「それ、他の奴が聞いたら何て言うかな?」
明美「はぁ?」
飯野拓郎「周り見てみな?」
モブ女「あんたが真由ちゃんのお母さんだって!?自分の子供放ったらかして何してくれてんのさ!!」
モブ女「自分の子供が可愛そうだとは思わないの!?子供作ったなら最後まで責任持ってよ!!」
モブ男「こないな自分勝手な奴に真由ちゃんは渡さへんわ!返して欲しいっちゅうならな・・・僕らが相手したるで!!」
明美「な、何よあんた達・・・何でそんなに必死なのよ!?」
飯野拓郎「これが俺らとおばさんの違いだぜ・・・もう先生に伝えてる奴がいるから、早く逃げた方が良くね?」
明美「ふ、ふざけやがって・・・覚えてなさいよ!!」
飯野拓郎「覚えてるか馬〜鹿!」
藤崎雄太「飯野・・・皆・・・また助けられちゃったな・・・」
飯野拓郎「おいおい!言っただろ?一人で抱え込むなって・・・あんな分別の無い奴に真由ちゃんを渡せるかって!」
モブ女「本当だよ!あんなのに返して真由ちゃんが酷い思いされちゃあたしらも寝覚め悪いからね!」
モブ男「ホンマ・・・真由ちゃん守れて良かったわ!」
藤崎雄太「お前ら・・・」
藤崎雄太「・・・!委員長!!」
西園寺茜「藤崎君・・・」
藤崎雄太「大丈夫?ごめん、俺のせいで・・・」
西園寺茜「藤崎君のせいじゃ無いよ・・・あの人が勝手に来たから・・・」
藤崎雄太「でも!事の発端は俺である事に変わり無いよ!こんな事は二度と起きない様にする!だから・・・」
藤崎雄太「何かあったら直ぐ俺に言ってね・・・」
西園寺茜「藤崎君・・・」
藤崎雄太「委員長・・・俺、委員長の事好きだよ!面倒見が良くて、責任感が強くて!だから、その・・・そんな委員長が傷付けられるのは」
藤崎雄太「見たく無いって言うか・・・」
西園寺茜「・・・!?」
藤崎雄太「って、俺何言ってるんだろ・・・つまり・・・その・・・委員長が傷付く所を見るのは嫌なんだ・・・だから・・・」
西園寺茜「えっと・・・その・・・ありがとう・・・」
藤崎雄太「委員長?」
西園寺茜「ふじさ・・・雄太君・・・これから大変な事は沢山あるけど・・・一緒に乗り越えて行こうね!」
藤崎雄太「い、委員長!?」
飯野拓郎「何だよ〜!俺らの前で目茶苦茶熱いの見せてくれちゃってさぁ!!」
モブ女「藤崎!あんた意外と度胸あるね!泣かしたら承知しないからね!!」
藤崎雄太「お、おう・・・」
  突然真由のお母さんの明美さんが来た事は驚いたが、皆で明美さんを追い返した後、何だか流れに乗る感じで
  委員長に告白じみた事をしてしまっていた。何がともあれ、俺達は真由ちゃんを守り、平穏を取り戻したのだった。

次のエピソード:6 真由の影響

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