俺は聖者ではない

バニバニ王子

読切(脚本)

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バニバニ王子

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〇暖炉のある小屋
俺「助けてくれ、ハルナ」
俺「俺は限界だ」
お前「んぇっ?」
俺「俺はお前を怖がらせたくない・・・ だが・・・」
俺「気持ちが抑えきれない このままお前を丸呑みにしてしまいそうだ」
お前「後退り」
俺「痛くはしない だから・・・俺に丸ごと委ねてくれないか」
俺「・・・すまない 矛盾しているな  頭を冷やす」
俺「俺の力はハルナを守り、愛し抜くためにあるのに・・・」
俺「どうしてこうなってしまうんだ・・・」
俺「俺は壁に頭を打ち付けようとする」
お前「待って」
お前「あなたも自分に痛くしないで・・・」
俺「ああ・・・ ハルナ」
俺「哀れっぽい目で見ないでくれ」
お前「哀れっぽい目だなんて・・・ ただ申し訳なくて」
俺「申し訳ないなんて思うな 俺に遠慮するな」
俺「俺はお前を求める気持ちを隠したくない・・・」
俺「お前はどうなんだ?」
お前「私は・・・誠実なあなたが好き」
俺「そうか・・・  なら この手を取ってくれ」
お前「! こんなに熱い手をしらない」

〇貴族の部屋
俺「お前はきれいだ」
俺「ほら 俺の目を見ろ 嘘を言っていない目だ」
お前「生気に満ちた目を前にたじろぐ」
お前「ごめんなさい あなたがすきだけど怖くて泣いてしまうの」
俺「謝らなくていい 俺はハルナを信頼しているからハルナに傷つけられることはない」
俺「・・・よしよし」
俺「俺はお前の裸の背中をさする」
俺「だんだん、嗚咽が収まっていく」
お前「落ち着いてきた」
お前「母さんにもこんなに優しくしてもらったことないかも」
俺「そうか・・・」
お前「ねえ 今度は私があなたの背中をさすりたい」
俺「やめろ」
お前「えっ」
俺「お前は俺を喜ばせることを考えるな」
俺「俺に愛させる・・・ そのことだけを考えろ」
お前「愛させる・・・?」
俺「どこに触れてほしい?」
俺「どんな言葉を囁いてほしい?」
俺「考えされすれば 俺の心が応答する」
  シーツの上を手が滑るように 俺の手はお前のカーブをなぞる
お前「あなたみたいな大きくて強い体になりたかった・・・けど・・・」
お前「こんな風に愛されるのなら 女でよかったのかも」
俺「そうだ お前は俺に守られ、愛されるために 生まれてきたのだ」
お前「ああ 生きる意味ができてしまう・・・」
俺「いいじゃないか ずっと欲しかったんだろう?」
お前「そんな 優しい生きる意味でもよかったんだね」
お前「ありがとう」
俺「重荷は全て俺が忘れさせる」
俺「これからも背負うことはなにもないから 安心しろ」
お前「うん」
お前「あなたは美しい」
俺「お前もだ」

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