アレイオワ〜処女を守る旅人〜

ぽんたろう

第8話『闇に沈む旅人』(脚本)

アレイオワ〜処女を守る旅人〜

ぽんたろう

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〇怪しげな酒場
相馬一貴「ただいま」
相馬貴宗「目を覚ましたか」
相馬貴宗「少しは楽になったか?」
相馬一貴「うん」
相馬一貴「早くルルを連れ帰らないと」
相馬一貴「あれ? ミソノは?」
相馬貴宗「少しお使いを頼んだ」
相馬一貴「『お使い』?」
相馬貴宗「しばらくは戻るまい」
相馬一貴「そっか」
相馬一貴「もう一回ルルの元へ行こうと思う」
相馬貴宗「ああ」

〇集落の入口
ミソノ「この辺りで本当にいいのよね?」
ショーカ「ええ」
りゅーさん「ワシの使える人脈全て使って 探させたから間違いないはずだ」
ミソノ「どんだけ知り合い多いの」
ミソノ「カズタカ待っててよ」

〇女の子の部屋
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「あれから一貴、来ないじゃない」
吉良ルル奈「やっぱり私のことなんか嫌いだったんだ」
「ルルちゃん」
吉良ルル奈「あ、はい」
吉良ルル奈「この声、誰だろ」
菅原杏子「こんにちは」
吉良ルル奈「もしかして、杏子お姉ちゃん?」
菅原杏子「お久しぶりね」
吉良ルル奈「杏子お姉ちゃんがどうしてここに?」
菅原杏子「ルルちゃんにね」
菅原杏子「提案があるの」
吉良ルル奈「提案?」
菅原杏子「ルルちゃん、もしもここに残るようなら あの身体、誰かにあげられないかな?」
吉良ルル奈「私の身体ってことですか?」
菅原杏子「そう」
吉良ルル奈「そんなことが出来るんですか?」
菅原杏子「ええ」
菅原杏子「肉体をアレイオワのAIと 同じ原理で魂が入る器にするの」
吉良ルル奈「それって、アレイオワで死者の魂が AIに宿った理由と同じですか?」
菅原杏子「そうよ」
菅原杏子「ユーザによっていくつも作られたAIに ランダムでその仕掛けを施してたの」
吉良ルル奈「あれは偶然じゃなくて 必然的に仕組まれていたということなの?」
菅原杏子「ええ」
菅原杏子「魂が抜けた身体は、しばらく生きているけど そのあと機能を停止してしまうわ」
菅原杏子「どうせだったら、誰かに譲ってみない?」
吉良ルル奈「例えば誰にです? 困ってる人とか?」
菅原杏子「”私”に」
吉良ルル奈「えっ!?」

〇荒れた公園
相馬一貴「急がないと、ルルが死んじゃう」
菅原翔馬「悪いけど、ここは通せない」
相馬貴宗「また邪魔をするのか!」
相馬一貴「そこをどけ!」
相馬貴宗「この刀で斬り殺す!」
菅原翔馬「待った」
菅原翔馬「この辺りで斬り殺すのは御法度だぞ」
相馬貴宗「子孫のためなら致し方あるまい」
相馬一貴「ダメだ! ご先祖様!」
相馬貴宗「一貴」
相馬一貴「ご先祖様が犠牲になるのは嫌だ!」
相馬貴宗「お前、そんなこと 言ってる場合じゃないんだぞ」
相馬一貴「分かってる!  でも、誰1人犠牲を出したくないんだ!」
相馬貴宗「一貴」
菅原翔馬「そういえば、お前」
相馬一貴「なんだ?」
菅原翔馬「お前、ルル奈に拒絶されたらしいな」
相馬一貴「それは」
菅原翔馬「ルル奈はお前を負担に感じていたと思うぞ」
相馬一貴「そんなことない!」
菅原翔馬「だったら、殺そうとするか?」
相馬貴宗「一貴、やつの言葉に惑わされるな!」

〇綺麗な一戸建て
吉良ルル奈「消えないなら、殺してやる」

〇荒れた公園
相馬一貴「俺はルル奈に」
相馬貴宗「やつの術中にハマるな!」
相馬貴宗「やはり、斬るしかないか!」
菅原翔馬「遅かったな」
相馬貴宗「何だこれは!?」
相馬貴宗「一貴!」
相馬貴宗「貴様、よくも!」
菅原翔馬「・・・・・・」
相馬貴宗「なんだ?」
相馬貴宗「倒れただと? どういうことだ」
相馬貴宗「まさか、今のは”狭間”か」
相馬貴宗「一貴」

〇モヤモヤ
「何だ、ここは?」
「ご先祖様?」
「自分の体さえ全くわからない」
「残念だったな」
「あんたは覆面の声??」
「あんたの目的は何なんだ?」
「俺の目的は」
「現世に蘇ること」
「はあ!?」
「空の依代となったお前の体をいただく」
「ふざけるな!」
「もう遅い」
「ふざけるな!」
「お前の大事な吉良ルル奈も 新しい魂を宿す」
「そして、俺はその肉体と交わる」
「ルル奈を!?」
「どういうことだ!」
「おい!」
「返事しろ!」

〇男の子の一人部屋
相馬一貴「・・・・・・」
相馬一貴「成功だ」
相馬一貴「俺は生まれ変わったんだ」
相馬一貴「死ぬ前の俺とは違うんだ」

〇汚い一人部屋
菅原翔馬「クソ! あいつら、人を馬鹿にしやがって!」
菅原翔馬「俺より頭悪いくせによ!」
菅原翔馬「はあぁ」
菅原翔馬「やってらんねえ」
菅原翔馬「風呂でも入って、すっきりするか」

〇白いバスルーム
菅原翔馬「これって」
菅原翔馬「杏子のだよな」
菅原翔馬「・・・・・・」
菅原翔馬(見てないよな?)
菅原翔馬「す──」
菅原翔馬「はああ」
菅原翔馬「悪くないな、ストレスが解消される」

〇教室の教壇
クラスメイトA「おい、菅原」
クラスメイトA「ちょっと、ジュース買ってきてくれよ」
菅原翔馬「また?」
クラスメイトA「俺たち友達だろ?」
菅原翔馬「分かったよ」
クラスメイトB「お前、マジひでえな」
クラスメイトA「友達だから当然だろ?」
クラスメイトA「カツアゲしないだけ優しいと思って欲しいな」
クラスメイトB「確かに」

〇汚い一人部屋
菅原翔馬「クソ!」

〇白いバスルーム
菅原翔馬「杏子」

〇豪華なリビングダイニング
菅原杏子「お兄ちゃん、おはよう」
菅原翔馬「ああ、おはよう」
菅原杏子「次の休み、お父さんとお母さんが 温泉に連れていってくれるって楽しみだね」
菅原翔馬「そうだな」
菅原杏子「そういえば、お兄ちゃん 最近大丈夫? 目にクマとか出来てるよ?」
菅原翔馬「大丈夫だ」
菅原杏子「なら、良かった」
菅原杏子「宿題やらないと」
菅原翔馬「杏子は本当に優しいな」
菅原翔馬「お前だけだ、俺を分かってくれるのは」
菅原翔馬「愛おしい」

〇車内
菅原杏子「すぐに助けを呼んでくるから!」
菅原杏子「待ってて!」
菅原翔馬「杏子!」
菅原翔馬「行かないでくれ!」
菅原翔馬「死にたくない!」
菅原翔馬「熱い! 熱い!」
菅原翔馬「息が!」

〇モヤモヤ
  ここは?
  暗い
  俺は死んだのか
  杏子
  どうして、俺を置いていったんだ
  俺はお前を愛していたのに
  なんだ、この渦は?

〇サイバー空間
菅原翔馬「何だここは」
菅原翔馬「さっきの空間とは違うぞ」
「そんな上手くいくわけないよね」
菅原翔馬「今の声は杏子?」
「疲れすぎて オカルトにもすがるところだったわ」
菅原翔馬「間違いない」
「私がやろうとしているのは 科学の最先端のはずなのにな」
菅原翔馬「杏子」

〇ヨーロッパの街並み
菅原翔馬「なるほど」
菅原翔馬「仮想世界とはいえ やることは現世と変わらないな」
菅原翔馬「AIを依代に・・・・・・」
菅原翔馬「待てよ」
菅原翔馬「元々この紋章は人間の魂を 人形に入れるもの」
菅原翔馬「なら、人間でも可能なはずでは?」
菅原翔馬「例えば、魂と依代となる肉体に 対の紋章を施せば・・・・・・」
菅原翔馬「試す価値はあるな」

〇荒地
菅原杏子「本当にそんなことが可能なの?」
菅原翔馬「やってみる価値はある」
菅原杏子「そうね」
菅原翔馬「お前もあの子になりたいんだろ?」
菅原杏子「どうして、それを?」
菅原翔馬「お前の事ならわかるさ パソコンのデータを少し見たからな」
菅原杏子「ちょっと趣味悪いんじゃない?」
菅原翔馬「その家族にもう1人男子がいるだろ」
菅原翔馬「俺はそいつの体でいい」
菅原翔馬「その女の子はお前にやる」
菅原杏子「・・・・・・」
菅原翔馬「決まったようだな」
菅原杏子「ええ」

〇荒地
菅原翔馬「凄い ゲームのプログラムのはずなのに」
菅原翔馬「自在に操れる」
菅原翔馬「待てよ、この技とオカルトの呪術を 組み合わせれば直接ダメージを 与えられるじゃないか?」

〇荒地
菅原杏子「お兄ちゃんに言われた通り エフェクトに呪術の紋様を組み込んでみたわ」
菅原翔馬「試してみるぞ」
菅原杏子「体が動かない」

〇異世界のオフィス
菅原杏子「本当に動かない」
菅原杏子「こんなことが可能なの?」

〇荒地
菅原杏子「凄いわ、お兄ちゃん」
菅原杏子「肉体に干渉というよりも 精神に干渉していて暗示を掛けられてるに 近いかも」
菅原翔馬「やはり、そうか この世界は精神の世界だ」
菅原翔馬「精神力がモノを言う」
菅原杏子「ええ、それが分かったのは大きな成果だわ」
菅原杏子「それでだけど」
菅原杏子「そろそろ開放してくれない?」
菅原翔馬「杏子」
菅原杏子「何!? どうしちゃったの!?」
菅原杏子「離して!」
菅原杏子「ふざけないで!」
菅原翔馬「お前は本当に綺麗になったな」
菅原杏子「えっ?」
菅原翔馬「冗談だ」
菅原翔馬「もう動けるぞ」
菅原杏子「あ、うん」
菅原翔馬「これで後は仮想世界を完成させるだけだな」
菅原杏子「そうだね」

〇巨大な城門
菅原翔馬「冥界内は無理だが 冥界の入り口までは移動出来るのか」
菅原翔馬「これはいい」
菅原翔馬「上手くやれば、さらに利用できる」

〇ヨーロッパの街並み
菅原杏子「これは?」
菅原翔馬「”狭間”だ」
菅原杏子「狭間?」
菅原翔馬「冥界の住人にも慣れず 魂のみで彷徨う場所だ」
菅原杏子「これが関係あるの?」
菅原翔馬「俺はこの中で過ごしていた」
菅原翔馬「そして、このAIの依代に入った」
菅原翔馬「今の俺は中途半端な存在だから 出入りができる」
菅原翔馬「その上、移動にも使える」
菅原杏子「つまり、ここに目的の人間を入れて 魂と体を切り離すって事?」
菅原翔馬「そういうことだ」
菅原翔馬「だが、この狭間は 普通の人間じゃ入れない」
菅原翔馬「未練や後悔の強い者が入るらしい」
菅原杏子「そこまで追い込めって事?」
菅原翔馬「そうだ」
菅原翔馬「これを使えば、お前にも扱えるはずだ」
菅原杏子「う、うん」
菅原翔馬「そして、空となった肉体を俺たちが奪う」
菅原翔馬「そうすれば、お前は 吉良ルル奈になれるんだぞ」
菅原杏子「私が本当にルルちゃんに?」
菅原翔馬「ああ」
菅原杏子「ルルちゃん」

〇男の子の一人部屋
菅原翔馬「本当に成功するとはな」
菅原翔馬「これが人間の体か」
菅原翔馬「作り物の器とは全然違う」
菅原翔馬「懐かしい感覚だ」
菅原翔馬「魂と肉体が癒着すれば 紋章がなくても完全に俺の体になる」
菅原翔馬「そんなことよりも」
菅原翔馬「早くルル・・・・・・ 杏子に会いに行かないとな」

〇荷馬車の中
ミソノ「急いで戻るわよ! 一刻の猶予もない!」
りゅーさん「まったく、人使いの荒いエイフだ」
ショーカ「陛下、エルフです」

次のエピソード:第9話『光を手にする旅人』

コメント

  • これは!まさかの肉体を乗っ取りされてしました!!😱

    スケールの大きいヤンデレですね。凄い、、、

    ルルちゃんを助けることはできるのか?肉体を取り戻すことはできるよか!?気になりますね!!✨☺️

    余談ですが、昨夜前話を読んでから寝落ちしてしまったのですが、危うくアレイオワの世界に転生するところでした。アブナイアブナイ…

  • ついに、黒幕とその目的が明らかにされてしまいましたね😰 想像をはるかに超える企てに驚きっぱなしです😱 そして、りゅーさんこと陛下、『エイフ』はそんなに可愛くないでしょうとツッコミたくなります😊
    翔馬さんのトラウマエピソードと性癖が……某グレーシア王国に転移する展開もあったのかもと思ってしまったのは内緒ですっ😂

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