本能寺さんはクソ野郎

和久津とど

第17話 本能寺さんの過去(脚本)

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〇玄関の外
  ピンポーン
玉宮守(インターホンを押しても返事がない。 留守か?)
  学校を抜け出して、俺は本能寺のマンションにやってきていた。
  試しに扉を引いてみると、カギは掛かっておらず呆気なく開く。
玉宮守(不用心な)

〇黒
  そのまま俺は家の中に入った。
  カギのかかっていない他人の家に入ったのは、あの時以来だ。
  そして、俺は本能寺の部屋に入っていく。

〇ファンシーな部屋
本能寺令「死ね! 死ね! 死んじゃえー!  あはははっ! 死んだー!」
  インターホンの音が聞こえるわけがなかった。爆音の中、本能寺は楽しそうに人を撃ち殺すゲームをしていた。
玉宮守「ああ、あの時と同じだ」
本能寺令「え? うひゃあああああ!?」
本能寺令「玉宮くん、どうしてここに!?」
本能寺令「ってあれ、あの時と同じって言った?」
本能寺令「それは、こないだのテスト勉強会?  それとも・・・」
玉宮守「小学生の頃だよ」
  目を白黒させている本能寺に、俺は苦笑しながら返事をした。

〇女の子の一人部屋
  インターホンを鳴らしても誰も出なかったので、鍵の掛かってない扉を開けて俺は部屋へ入っていった。
本能寺令「うへ。うへへへ」
玉宮守「うわっ、気持ち悪っ」
  初めて会った不登校の女子は、パソコンのを覗き込み、陰気な顔でヘラヘラ笑っていた。
本能寺令「えっ? うひゃあああああ!?」
  彼女は俺の姿を見るなり椅子から滑り落ちた。
本能寺令「だ、誰!? 誰なの!? どこから来たの!?」
玉宮守「クラスメイトの玉宮だよ。 お前が学校に来ないから、プリントを届けに来たんだよ」
玉宮守「ちなみにピンポン鳴らしても反応ないから、勝手に入ったぞ」
本能寺令「ク、クラスメイト?」
玉宮守「そう。4月から同じクラスだけど、まだ会ったことなかったな。早く学校来いよ」
本能寺令「う、うん、ごめんなさい」
玉宮守「いや、ごめんなさいじゃなくて。 まあいいや。さっき何で笑ってたんだ?」
本能寺令「え、えっとね、匿名掲示板で嫌がらせして遊んでたの」
玉宮守「それ、楽しいのか?」
本能寺令「すっごく楽しいよ? ここにいる人を怒らせると、いっぱい反応が来るの」
本能寺令「さっき思いっきり荒らしたから、完全に流れが変わって、もう少しで私がこの掲示板の支配者だよ?」
本能寺令「へ、へ、へ」
玉宮守「変わってるなあ、お前。 そんなことしてるヒマあったら、学校来いよ」
本能寺令「ご、ごめんなさい」
玉宮守「また謝った。それ、どういう意味だよ。 俺に謝ってる? それとも学校に行けないってこと?」
本能寺令「ど、どっちも。学校、行きたくないの」
玉宮守「どうして?」
本能寺令「だって、学校行ってもイジメられるし。 お父さんとお母さん、ケンカばっかりだし」
本能寺令「もうヤダよ。なんで私ばっかり、こんな目に遭うの。ここから出たくない」
玉宮守「そんなこと言ったって、出ない訳にはいかないだろ」
本能寺令「イ、イヤ。 だって、どうせ出たらイジメられるもん」
本能寺令「外は、怖いよ」
  本当に怖かったのだろう。
  本能寺はガクガクと震えていた。
  俺はそんな様子を鼻で笑った。
玉宮守「いいのかよ? お前がこんな所にこもってる間、俺は宇宙に行くかもしれないぞ?」
本能寺令「え? なにそれ、どういう意味?」
玉宮守「そのまんまだよ!  俺は、宇宙飛行士になるんだ!」
本能寺令「なれる訳ないよ。宇宙飛行士って、すっごい難しいって聞いたよ。絶対ムリ」
玉宮守「なれる! なんせ俺は、天才だから!」
本能寺令「て、天才?」
玉宮守「そう。才能に溢れてるからな」
玉宮守「俺、ダ・ヴィンチの生まれ変わりなのかもしれねぇ」
本能寺令「ぷふっ!」
  うっとりと俺が言うと、何が面白かったのか女の子はケラケラ笑った。
本能寺令「す、すごい自信だね。 本当に宇宙飛行士になれると思ってるの?」
玉宮守「当然! 現に成績だってパーフェクトだぞ! 運動も勉強も抜かりはない!」
本能寺令「そ、それはすごいね」
玉宮守「俺は、このちっぽけな地球じゃ収まらない。 天才だからな! ハハハ!」
本能寺令「いいなあ、自信満々で。 でも私なんて、どうせダメだから」
玉宮守「さっきから自分はダメダメって言うけど。 お前さ、本気で生きたことあるのか?」

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