第7話『失意に暮れる旅人』(脚本)
〇モヤモヤ
ここはどこなんだ
死にたくない
死にたくない
杏子、お前の声が聞きたい
お前に逢いたい
〇地下の部屋
菅原翔馬「はあはあ」
菅原翔馬「またこの夢か」
菅原翔馬「死んだはずなのに」
菅原翔馬「夢を見るなんてな」
菅原翔馬「もうすぐだ」
菅原翔馬「もうすぐ、俺は現世に帰ることができるんだ」
〇狭い裏通り
相馬一貴「・・・・・・」
相馬貴宗「とりあえず、この辺りで休むとしよう」
〇怪しげな酒場
相馬一貴「ルル」
相馬貴宗「気をしっかりしろ」
ミソノ「まさかあんなに拒絶されるとは 思わなかったよ」
相馬一貴「ああ」
相馬一貴「今までずっと俺の背中を 追いかけて来てたのに」
ミソノ「仲良かったんだ」
相馬一貴「ああ」
ミソノ「一貴」
相馬一貴「なに?」
ミソノ「こんなときに言うタイミングじゃないのは 分かってる」
ミソノ「でも、言っとく」
ミソノ「私がね、あなた達を そのルル奈さんのところまで 案内したのは偶然じゃなかったの」
相馬貴宗「どういうことだ?」
ミソノ「覆面の人に頼まれたの」
ミソノ「変わった服装の2人組が来たら 案内してやってくれって」
相馬貴宗「まさか、あいつの筋書きだったとは」
相馬一貴「タイミングが良すぎたわけだ」
ミソノ「ごめんね。こうなるとは思わなかった」
相馬一貴「何で謝るんだ?」
ミソノ「だって、私のせいで ルル奈さん怒っちゃったし」
相馬一貴「ミソノは悪くないよ」
相馬一貴「俺の考えが浅はかだった ルルのことを考えたら ちゃんと配慮すべきだった」
相馬一貴「それだけだ」
ミソノ「・・・・・・」
ミソノ「優しいんだ」
相馬一貴「そうか?」
相馬一貴「2人とも、ごめん」
相馬一貴「ちょっとだけログアウトするよ」
相馬貴宗「ああ」
ミソノ「いってらっしゃい」
相馬一貴「・・・・・・」
ミソノ「不思議」
ミソノ「眠ってるみたいなのに 元の世界で覚醒してるんでしょ?」
相馬貴宗「そうなるな」
ミソノ「貴宗さん」
相馬貴宗「何だ」
ミソノ「私ね、一貴のために何か力になりたい」
相馬貴宗「そうか、喜ぶぞ」
ミソノ「ねえ、何か方法ないかな?」
相馬貴宗「そうだな」
相馬貴宗「今の一貴は目標を見失い、失望している」
ミソノ「それから立ち直って もらわなければならないのか」
相馬貴宗「一つ頼まれてくれないか?」
ミソノ「なになに?」
相馬貴宗「それはな」
〇男の子の一人部屋
相馬一貴「ダメだ、気力が湧かない」
相馬一貴「この脱力感は何だ」
相馬一貴「これが冥界に足を踏み入れてしまった代償か」
相馬一貴「とにかく、トイレと食事済ませて戻ろ」
〇病室
医師「大分体の衰弱が悪化しています」
医師「このままだと、命に関わります」
相馬由美「本当ですか!?」
医師「ええ」
医師「健康状態のはずなのに原因がわからない」
医師「この症状は一体何なんだ?」
相馬由美(話が違うじゃない)
相馬由美(ルルちゃんは義兄さんと姉さんに 会ってるだけじゃないの?)
相馬由美(カズくんは平気かしら)
〇明るいリビング
吉良朱里「私たちのやってることは 正しいのかしら」
吉良明「それは俺も思ってた」
吉良明「ルル奈と再会した喜びで 有頂天になってたけど」
吉良明「これが本当にルル奈にとって 幸せなことなのかって」
吉良朱里「ええ」
吉良朱里「ここにとどまれば、いずれルルちゃんの 現世の身体は死んでしまう」
吉良朱里「親として、それは許されない」
吉良明「義兄さんや遙さんが ここにいないのはそういうことかもしれない」
吉良朱里「私たちはルルちゃんに固執するばかりに ここにとどまっていた」
吉良朱里「ルルちゃんの幸せって何なんだろう」
〇女の子の部屋
吉良ルル奈「私はここにいるのが幸せなんだ」
吉良ルル奈「ママとパパと一緒に暮らすのが幸せなんだ」
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「もう分からないよ」
〇おしゃれなリビングダイニング
相馬一貴「パンすら喉を通らない」
相馬由美「カズくん!」
相馬一貴「姉さん?」
相馬由美「良かった、無事みたい・・・・・・」
相馬由美「では、なさそうね、顔いろ悪いわよ?」
相馬由美「やっぱり、アレイオワの影響?」
相馬一貴「今、冥界にいるんだ」
相馬由美「やっぱり、危険だわ」
相馬由美「今すぐやめるべきよ」
相馬一貴「でも、ルルが残ってるんだ」
相馬由美「ルルちゃんには会えたの?」
相馬一貴「うん、でも、拒絶された」
相馬由美(杏子ちゃんの言ってたことは本当だった?)
相馬由美(本当にルルちゃんが両親といることを 望んだということなの?)
〇異世界のオフィス
菅原杏子「ようこそ」
相馬由美「聞いてた話と違うわよ」
相馬由美「ルルちゃん、今危険な状況なのよ」
菅原杏子「それはルルちゃんが望んだことです」
相馬由美「両親には会えてるのよね?」
菅原杏子「ええ」
菅原杏子「本当は少し再会するだけで こちらに戻す予定でした」
菅原杏子「しかし、ルルちゃんは 両親との再会を楽しんでいます」
相馬由美「じゃあ、ルルちゃんは自ら望んで あちらにとどまってるのね?」
菅原杏子「はい!」
相馬由美(ルルちゃん、あなたはそれでいいの?)
相馬由美(これほど危険だったなんて 想像もつかなかったわ)
〇おしゃれなリビングダイニング
相馬由美「私はあなた達2人を失いたくない」
相馬由美「あなたたちを守るって決めたんだから」
〇おしゃれなリビングダイニング
相馬由美「兄さん 姉さん・・・・・・ 遥さん、明さん・・・・・・」
相馬由美「あんなに幸せそうだったのに 急にいなくなるなんて」
ルル奈「お姉ちゃん泣かないで」
一貴「うん、元気出してよ」
相馬由美「私を励ましてくれるの?」
相馬由美「1番辛いのあなた達でしょ?」
ルル奈「でも、悲しい顔見てるの もっと辛いの」
一貴「そうだよ」
相馬由美「こんな優しい子たちを残したみんなは さぞかし無念だったでしょうね」
相馬由美「私がやらなくちゃいけないのは」
相馬由美「あなた達を守ることよ」
相馬由美「2人とも安心しなさい」
相馬由美「私があなた達の面倒見るから」
〇おしゃれなリビングダイニング
相馬一貴「じゃあ、俺、戻るよ」
相馬由美「そんな体で戻ったら死んじゃうわよ!」
相馬一貴「どちらにしろ、冥界の入り口を 通らないとこのまま死んじゃうからね」
相馬一貴「大丈夫、ルルは必ず連れて帰ってくるから」
相馬由美「・・・・・・」
相馬由美「分かったわ」
相馬由美「お願いだから、ルルちゃんを助けて」
相馬一貴「分かったよ」
相馬由美「あっ、そういえば」
相馬一貴「何?」
相馬由美「これ体に貼っておくと 衰弱を抑えられるらしいわ」
相馬一貴「お守りかな?」
相馬一貴「そうなんだ! ありがとう!」
相馬一貴「体に貼っておくね」
〇異世界のオフィス
相馬由美「そういえば、一貴も 向こうの世界にいるんだけど 危険なのかしら?」
菅原杏子「一貴君は自分の意思で 戻って来れると思います」
菅原杏子「良ければ、これを使ってください」
相馬由美「これは?」
菅原杏子「魂と肉体を”繋ぎ止める”紋章です」
相馬由美「そんなものがあったの?」
菅原杏子「これを一貴君の体に貼るか書けば 衰弱を抑えることが出来るはずです」
相馬由美「わかったわ」
相馬由美「ルルちゃんにも効果あるの?」
菅原杏子「おそらく」
菅原杏子「私がやっておきます」
菅原杏子「由美さんは一貴君を」
相馬由美「分かったわ」
〇病室
吉良ルル奈「・・・・・・」
菅原杏子「ルルちゃん」
菅原杏子「もうすぐ苦しみから解放してあげるからね」
菅原杏子「これをあなたの体に貼り付けるわね」
菅原杏子「もう苦しまなくていいんだよ」
〇狭い裏通り
りゅーさん「相変わらず、ハイカラな場所だな」
ショーカ「その方達は人探しのため しばらくの間、この辺りにいると思います」
りゅーさん「それにしても落ち着かんわ」
ショーカ「まさに、栄枯盛衰 それは冥界も同じということでしょう」
ショーカ「新しい命を迎え 新しい文化が栄える」
りゅーさん「そうだな」
「・・・・・・」
りゅーさん「いやいや、しんみりすんな 本題はそこじゃねえ」
ショーカ「そうでしたな」
ショーカ「陛下はその青年と戦士のために お礼がしたいんですよね?」
りゅーさん「そうだ」
りゅーさん「何か案ないか?」
りゅーさん「いざとなったら、人海戦術も使えるぞ 労力は厭わん」
ショーカ「そのお二人の内お一人は生者にも関わらず こちらにいるということですね?」
りゅーさん「そうみたいだ」
ショーカ「ちなみにその方の名前は?」
りゅーさん「えっと確か、戦士が相馬貴宗」
りゅーさん「若い方が確か、カズ・・・・・・」
ミソノ「よし! ”カズタカ”のために頑張るぞ!」
りゅーさん「そうだ! ”カズタカ”だ!」
「今なんて言った!?」
一貴くんもルルちゃんも、そして由美さんも、深く思い悩んでますね🥲 何とも重く痛ましい様子で…😭 そして、現世、冥界それぞれで登場人物が動き交わり、次回あたりに大きく動きがありそうですね😊 苦悩の淵の各々がどうなるのか、続きがとても気になります✨