第2話 愚者か知恵者か夢幻道士!(脚本)
〇屋敷の門
行ってきまぁす
〇通学路
うらら(はぁ、ユーウツ)
〇屋敷の大広間
お父様もお母様も
朝からツーン! としちゃって
「ツーン!」
〇住宅街の道
うらら(2人共、私に愛人がいると思い込んでる)
うらら(いないのに)
もし、そこのお人!
道士「お困りのようじゃな」
うらら「・・・・・・」
うらら「いえ、別に」
道士「ほぉかのぅ」
道士「お主にゃ凶相が表れとる」
ホレ、ここに──
老爺は杖の先で
うららのお腹をチョンとつついた
道士「ワシに任せてくれれば、不幸の種を たちどころに消し去ってしんぜよう」
ただのスケベジジイか
それとも胎児の正体を見抜いたのか
ヒョウヒョウとした態度からは判別しかねる
どちらにせよ、スケベには違いない
うらら「お断りします」
道士「おふざけがすぎたようじゃな」
道士「失敬した」
道士「お腹のソレは厄災じゃ うっちゃらかすには危険すぎる」
道士「騙されたと思うて ワシに運を預けてみんか?」
うらら「おじいさん、もしかして本当に──」
道士「さよう、ワシは妖怪退治を──」
待ちな!
チャコ「彼女が嫌がってるだろう? えぇジイさん!」
うらら「チャコちゃん!」
チャコ「ヨォうらら!」
道士「現れよったな、モノノケめ!」
チャコ「誰がモノノケじゃ!」
道士「成敗!!」
チャコ「いてぇ!」
道士「ふごぉ!」
チャコ「あぎゃぁああああ!!!!」
道士「ぬぅぉおおおお!!!!」
うらら「ちょっと~!」
チャコ「はぁ、はぁ、やるなジイさん」
道士「ひぃ、ひぃ、そっちこそ」
先生~ッ!!
弟子「探しましたよ!」
弟子「ダメですよ~! 道士様ともあろう者がJKをナンパしちゃ」
道士「バッ! 人聞きの悪いことをいうな!!」
ワシはこの娘さんから
厄災を払おうとしただけじゃ!
弟子「この度はウチの者が、とんだご無礼を」
弟子「先生ったら若い女性に目がなくて 困っちゃいますよ、アハハハハ!」
チャコ「私をモノノケゆーとったぞ」
道士「クマの間違いじゃった」
弟子「なんちゅーことを!」
弟子「キミ、済まなかった!」
弟子「先生に悪気はないんだ! ただ、服装がなんというか キミみたいな快男児に似合わず──」
チャコ「私ゃうら若き乙女だ!」
道士「今のご時世 ジェンダーいじりはご法度じゃぞ」
弟子「ズ、ズビバゼン」
道士「名乗り遅れたが、ワシャこーゆーモンじゃ」
あらゆる怪異を解決します!
妖怪退治の専門家・夢幻道士!!
うらら「夢幻道士?」
チャコ「コレ知ってる!」
チャコ「前に映画で観たよ 悪霊やキョンシーと闘ってた」
うらら(きよしー?)
〇ポップ2
きよしー「やぁ、僕きよしー! キミの友達さ! ハイディ・ホー! HAHAHAHA!!」
〇住宅街の道
道士「知っとるのなら話は早い」
弟子「彼らは我々の同胞ですよ!」
弟子「みな勇敢だった」
道士「21世紀、科学万能時代となったが 魑魅魍魎は水面下で着々と活動を続けておる」
弟子「警察の介入できない不思議な事件に 拳法と法力で挑むのが僕らの仕事です」
チャコ「なかなか格好いいじゃねぇか!」
チャコ「しかし、なんでオタクらがうららに声を?」
道士「ウム」
道士「それはお嬢さんの、あ──」
うらら「あー!! あー!!」
道士「――くまが、やっかいでのぉ」
チャコ「悪魔が取り憑いてるってのか? うららに」
道士「似たようなモンじゃ」
弟子「僕にはわからないなァ」
道士「世に放たれたが最後 おそるべき災いが降りかかるであろう」
チャコ「ホ、ホントかよ?」
〇雷
こんなのが出てきたら、怖くて眠れねぇよ
〇住宅街の道
弟子(意外と繊細なんだな)
道士「悪の芽は早めに摘み取った方がいい」
道士「どうかねお嬢さん? 我々に任せてくれまいか」
うらら「・・・・・・」
うらら「悪いけど、あまりに現実離れしていて とても信じられません」
道士「フォッフォッフォッ! そう思うのも無理はあるまい」
道士「まだ猶予はある 名刺に電話番号が書いてあるから 異変を感じたら、いつでも知らせるがよい」
道士「弟子よ、帰るぞ」
弟子「はい先生!」
2人は踵を返し
いずこともなく去っていった
チャコ「胡散臭い奴らだぜ」
お~い!
弟子「さっきは男と間違えてゴメン! あんまり気にしないでくれよ」
チャコ「平気さ、慣れてるよ」
弟子「ははは、大した豪傑だ!」
弟子「それじゃ!」
おい!
チャコ「私はチャコ」
チャコ「アンタは?」
シェイシェイ「シェイシェイだ!」
チャコ「そうか」
チャコ「またなシェイシェイ!」
シェイシェイ「あぁまた──」
シェイシェイ「――っと・・・・・・キミの名前は?」
うらら「うららよ、津々浦うらら」
シェイシェイ「うららか、可愛い名前だね」
シェイシェイ「それじゃ!」
チャコ「フン、律儀な奴」
チャコ「大分道草食っちまったな 早く行かないと遅刻するぜ」
うらら「・・・・・・」
チャコ「どうした?」
うらら「なんでもない」
うらら「行こっ!」
〇大きな木のある校舎
先生「津々浦、チャコ、遅刻だ!」
チャコ「待ってくれ先生、これには訳が──」
先生「なんだチャコ、またケンカしたのか!? 相手は誰だ? 不良か、893か、猛獣か──」
チャコ「夢幻道士だ! 妖怪退治を生業とする武道派集団だよ!!」
〇おしゃれな教室
ぎゃ~っはっはっは!!
先生「カンフー映画じゃあるまいし そんな輩が実在する訳なかろう!」
チャコ「ウソじゃねぇ! 本当にいたんだ、なァうらら?」
うらら「え、えぇ」
先生「口裏を合わせるでないわ! 無理がありすぎるぞ」
先生「バツとして放課後、教室の掃除!」
「ふぁ~い」
〇大きな木のある校舎
その日、うららは
授業という授業を浮かぬ顔で過ごした
〇大きな木のある校舎
起立! 気をつけ! 礼!
お疲れ様ァ!!
〇おしゃれな教室
チャコ「曇り顔だな」
チャコ「磨いてやるぜ!」
ゴシゴシゴシゴシ!
うらら「プハーッ!」
うらら「なにすんのよ!?」
チャコ「へへ、キレイになっただろ?」
うらら「あ、ありがとう!」
チャコ「奴らの言ったことを気にしてんだろ?」
チャコ「客の不安をあおり 救いの手を差しのべる サギ師の常套手段だ」
うらら(・・・・・・)
〇住宅街の道
あの人、私の変異を一目で見抜いた
おそらく本物だわ
本当はすぐにでも相談したかった
でもチャコちゃんの手前
素直に言い出せなかった
〇モヤモヤ
子供を宿したと知ったら
この娘、どんな顔をするだろう?
チャコ「エンガチョ!」
〇おしゃれな教室
チャコ「掃除も終わったし、ぼちぼち帰ろうや」
うらら「・・・・・・」
チャコ「まだ曇ってら」
チャコ「もっぺん磨いたろか?」
うらら「・・・・・・」
〇大きな木のある校舎
陽が没すると同時
うららの気持ちも、また沈んでいった
多分初めましてですね?
2話と1話の並びが逆なのは狙いが?
1話目読んだ後に、続きの表示が出てこないので連続で読みづらいです。長押しすると話数を動かせると思います。
夢幻道士って、なんかテンテン思い出すなぁ…関係ないかな?
夢魔な感じで、面白いアイデアなので続きが楽しみです😃