アレイオワ〜処女を守る旅人〜

ぽんたろう

第6話『愛を探す少女』(脚本)

アレイオワ〜処女を守る旅人〜

ぽんたろう

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〇女の子の部屋
  10年前 菅原家
菅原杏子「家族旅行か」
菅原杏子「何年ぶりだろ」
菅原杏子「お父さんもお母さんも忙しくて なかなか家族サービスしてくれなかったしな」

〇豪華なリビングダイニング
菅原杏子「お兄ちゃん」
菅原翔馬「はあ、ダルい」
菅原翔馬「この年で家族旅行か」
菅原杏子「いいじゃん! 楽しもう!」
菅原杏子「お兄ちゃん、休みの日も ずっと家にいるんだから たまには外に出ないと」
菅原翔馬「ああ」

〇車内
菅原翔馬「きもちわりいい」
菅原杏子「本なんか読んでるからだよ」
菅原翔馬「仕方ねえだろ、面白いんだから」
菅原杏子「またオカルトの本読んでさ」
菅原翔馬「面白いぞ」
菅原翔馬「呪いや儀式なんかも載ってる」
菅原杏子「そんなのばかり読んでるから クラスで浮くんだよ」
菅原翔馬「うるせえな」
菅原翔馬「くそ、また気持ち悪くなってきた」
菅原杏子「はい、飲み物」
菅原翔馬「わるい」

〇田舎駅の駐車場
菅原杏子「やっと休憩!」
菅原杏子「サービスエリアって楽しいよね」
菅原翔馬「ああ」
菅原杏子「都会と違って空気が美味しい」
菅原杏子「目的地の温泉楽しみだなぁ」
菅原翔馬「いまさら、家族サービスなんてされてもな」
菅原杏子「罪滅ぼししたいんでしょ」
ルル奈「ほら! 一貴!」
ルル奈「はやくはやく! アイス食べよ!」
菅原杏子「可愛いなぁ」
一貴「ルル! 迷子になるぞ!」
菅原翔馬「うるさいだけだろ」
菅原杏子「私たちみたいだね」
菅原翔馬「そんなわけないだろ」
菅原翔馬「だけど、小さい時は走り回ってたな」
菅原杏子「そうだね」
菅原杏子「いつも一緒だった」
菅原翔馬「これからも、ずっと一緒だな」
菅原杏子「そうだね」
「お前たち、そろそろ行くぞ」
菅原杏子「はーい」
菅原翔馬「杏子」

〇混雑した高速道路

〇車内
菅原翔馬「足が動かない!」
菅原杏子「早く逃げないと!」
菅原杏子「非常時のハンマーで」
菅原杏子「お兄ちゃんも早く!」
菅原翔馬「待ってくれ! 足が挟まって動かない!」
菅原翔馬「置いていかないでくれ!」
菅原杏子「ダメだ、私の力じゃ」
菅原杏子「すぐに助けを呼んでくるから!」
菅原杏子「待ってて!」
菅原翔馬「杏子!」
菅原翔馬「行かないでくれ!」
菅原翔馬「死にたくない!」

〇混雑した高速道路
菅原杏子「お願いします!」
菅原杏子「誰か助けてください!」
菅原杏子「私の家族がまだ車の中にいるんです!」
避難者「君も早くここから避難しなさい!」
菅原杏子「家族が! お父さん、お母さん、お兄ちゃんが!」
避難者「あれでは無理だ!」
避難者「君まで死ぬぞ!」
菅原杏子「お父さん お母さん お兄ちゃん」
菅原杏子「ごめんなさい」

〇病院の待合室
菅原杏子「お母さん お父さん お兄ちゃん」
菅原杏子「みんなを見捨てて」
菅原杏子「私だけ生き残っちゃった」
ルル奈「パパ ママ」
菅原杏子「あの子って、確か」
菅原杏子「あなた、家族は?」
ルル奈「お姉ちゃんは?」
菅原杏子「私もあなたと同じで事故に巻き込まれて ここまで来たの」
ルル奈「パパとママ」
ルル奈「おじちゃんとおばちゃん」
ルル奈「みんな、車の中に残っちゃってるの」
菅原杏子「私の家族もよ」
菅原杏子「あなた1人になっちゃったの?」
ルル奈「一貴が今お医者さんのところにいる」
菅原杏子「かずたか?」
ルル奈「私のいとこ」
ルル奈「私を先に車から出そうとして せなかがね、焼けちゃったの」
菅原杏子「そうなんだ」
菅原杏子「私はね、1人になっちゃったの」
菅原杏子「どうしていいか分からなくて」
ルル奈「お姉ちゃん、元気出して」
菅原杏子「あなた、家族を失ったのに・・・・・・」
菅原杏子「私を気に掛けてくれるの?」
ルル奈「お姉ちゃん、辛そうだから」
菅原杏子「あなた優しいのね」
菅原杏子「お名前は?」
ルル奈「吉良ルル奈」
菅原杏子(私もこんな強い子に”なりたい”)

〇葬儀場
菅原杏子「お父さん お母さん お兄ちゃん」
菅原杏子「安らかに眠ってね」
菅原杏子「・・・・・・」

〇豪華なリビングダイニング
菅原杏子「遺産と保険金のお陰で 大学卒業までは生活には困らないけど」
菅原杏子「私1人で、どうすればいいの」
菅原杏子「誰だろ」

〇おしゃれな玄関
菅原杏子「どうぞ」
相馬由美「こんにちは」
菅原杏子「は、はい こんにちは」
相馬由美「私は相馬由美」
菅原杏子「相馬って確か」
相馬由美「あの大事故の被害者家族よ」
菅原杏子「そうでしたか」
菅原杏子「この度はお悔やみを」
相馬由美「あなたもでしょ?」
相馬由美「まだ若いんだから、そんな畏まらないで」
菅原杏子「は、はい」
菅原杏子「ところで、何かご用でしょうか?」
相馬由美「あまりこういうのは良くないんでしょうけど」
相馬由美「どうしても、この子があなたを 気に掛けてね」
菅原杏子「この子?」
相馬由美「入ってらっしゃい」
ルル奈「こんにちは」
菅原杏子「ルル奈ちゃん!?」

〇豪華なリビングダイニング
菅原杏子「姪っ子さんだったんですか」
相馬由美「そう、私が引き取ることになったのよ」
菅原杏子「良かったね、ルルちゃん」
ルル奈「うん」
菅原杏子(私と違って、ルルちゃんは 相馬さんがいなかったら どこかに預けられていたかも 知れなかったのよね)
ルル奈「お姉ちゃん、少しは元気になった?」
菅原杏子「うん」
菅原杏子「ルルちゃんが来てくれて さらに元気が出たよ」
菅原杏子「ありがとね」
ルル奈「良かった」
相馬由美「あなたのことをたまに名前に出して 心配してたのよ」
相馬由美「お葬式とか身辺のことが 落ち着いたから連れて来たの」
菅原杏子「そういえば、かずたかくん? その子は大丈夫だったんですか?」
相馬由美「ええ、元気よ」
ルル奈「私のせいでね、一貴の背中に 火傷残っちゃったの」
菅原杏子「ルルちゃん」
菅原杏子(この子、両親亡くなったばかりなのに 何で私やその子のことを考えられるの?)

〇おしゃれな玄関
ルル奈「ばいばい」
菅原杏子「うん、ばいばい」
相馬由美「お邪魔したわね」
相馬由美「あっ、そうだ」
菅原杏子「ん?」
相馬由美「これ」
菅原杏子「投資家?」
相馬由美「一応、私は投資家をやってるから 何かお金で困った方があったら相談してね」
菅原杏子「はい! ありがとうございます!」
相馬由美「じゃあね」
菅原杏子「いえ、いつでも来てください」
菅原杏子「・・・・・・」
菅原杏子「ルルちゃん」
菅原杏子「ルルちゃん」
菅原杏子「ルルちゃん」
菅原杏子「あの子のために何かしてあげられないかな」

〇汚い一人部屋
菅原杏子「お兄ちゃんの部屋」
菅原杏子「まったく、部屋こんなに散らかして」
菅原杏子「でも、お兄ちゃんらしい」
菅原杏子「でも、パソコンのスペックは凄い」

〇サイバー空間
「えっと、最近AIが大分 進歩して来たんだから」
「もしかしたら、同じ人間も再現出来るかも」
「そうすれば、ルルちゃんに ママとパパと再会させることができるかも」

〇講義室
菅原杏子「大学でもっと勉強して」
菅原杏子「ルル奈ちゃんのために頑張らないと」

〇サイバー空間
「えっと、いろいろな情報を入力してみて 性格、人物像を再現」
「最初は、お兄ちゃんでいいよね」
「見た目はお兄ちゃんの写真と動画で 形を再現」
「凄い! 出来た!」

〇汚い一人部屋
菅原杏子「あとはお兄ちゃんの同じ言動を してくれれば良いんだけど」

〇サイバー空間
菅原翔馬「杏子」
「お兄ちゃん」
菅原翔馬「俺だ、翔馬」
菅原翔馬「これから、よろしく」
「ダメだ、、」

〇汚い一人部屋
菅原杏子「はああ」
菅原杏子「ダメだ、声も形もお兄ちゃんなのに」
菅原杏子「何かぎこちない」
菅原杏子「びっくりした、何?」
菅原杏子「これって、お兄ちゃんの本だよね」
菅原杏子「相変わらず、オカルトの本ばかり」
菅原杏子「読んでみよっかな」
菅原杏子「これって」

〇魔法陣2
「この紋様を依代に刻めば魂を付着出来る」
「まさか?」

〇汚い一人部屋
菅原杏子「この紋様をスマホでスキャンして」
菅原杏子「パソコンに取り込む」

〇サイバー空間
「そして、お兄ちゃんのAIに その紋様を貼り付ける」

〇汚い一人部屋
菅原杏子「やってみたものの」
菅原杏子「バカみたい」
菅原杏子「そんな上手くいくわけないよね」
菅原杏子「疲れすぎて オカルトにもすがるところだったわ」
菅原杏子「私がやろうとしているのは 科学の最先端のはずなのにさ」
「杏子」
菅原杏子「えっ?」

〇豪華なリビングダイニング
菅原杏子「相馬さん」
菅原杏子「急にお呼びしてしまい申し訳ありません」
相馬由美「何かしら?」
菅原杏子「その前に、ルルちゃんはお元気ですか?」
相馬由美「ええ、元気に学校に通ってるわ」
菅原杏子「良かった」
菅原杏子「実は今回でお呼びだてした件は ルルちゃんも関係してるんです」
相馬由美「どういうこと?」
菅原杏子「まずはこれを」
相馬由美「パソコン?」
菅原杏子「ええ」

〇サイバー空間
菅原翔馬「相馬さん、はじめまして」
菅原翔馬「菅原翔馬と申します」

〇豪華なリビングダイニング
相馬由美「『菅原翔馬』って!?」
菅原杏子「そう、事故で亡くなった私の兄です」
相馬由美「・・・・・・」
相馬由美「再現したの?」
菅原杏子「違います」
菅原杏子「AIではなく、本人です」
相馬由美「そんな話、信じられないわ」
菅原杏子「普通はその反応のはずです」

〇サイバー空間
菅原翔馬「信じられない気持ちは分かります」
菅原翔馬「しかし、これは事実です」
菅原翔馬「赤の他人であるあなたに 俺の情報を伝えても真偽は不明なはずです」
菅原翔馬「完璧に証明しろというのは不可能でしょう」
菅原翔馬「私はあの事故で一度死にました」
菅原翔馬「そして、あの世を彷徨っているところを 杏子に呼び出されました」
菅原翔馬「私であれば、吉良ルル奈の両親を 探すことも出来ます」

〇豪華なリビングダイニング
相馬由美「姉さんと義兄さんを!?」
菅原杏子「もちろん、一貴くんの両親も 探すことができます」
相馬由美「へえ」
相馬由美「だけど、まだあなた達の目的が 分からないわ」
相馬由美「そんなこと自分たちでやればいいじゃない」
相馬由美「私にどうして欲しいの?」
菅原杏子「私たちはある仮想空間を作り そこで生者と死者が交錯する世界を 作りたいのです」
相馬由美「そんなことが可能なの?」
菅原杏子「まず、仮想空間自体を依代にし あの世の空間と繋げる状態にします」
相馬由美「突拍子もないわね」
菅原杏子「そうすれば現世と あの世の行き来は可能となり ルルちゃんのご両親も ここに呼び出せるはずです」
相馬由美「あなたのお兄さんみたいに AIを作って依代にするのはダメなの?」
菅原杏子「必ずしも成功するわけではありません」
菅原杏子「私の両親でも試してみましたけどダメでした」
菅原杏子「直接あの世から連れてくるか こちら側から”会いに行く”というのが 確実だと思うのです」
菅原杏子「それは兄がやってくれます」
相馬由美「そう」
相馬由美「・・・・・・つまり、私に 仮想空間を作るための研究費用などの 出資をしてほしいわけね」
菅原杏子「その通りです」
菅原杏子「それだけでは、出資者の相馬さんに 旨みはないと思います」
菅原杏子「なので、メタバースとして 世間に解放します」
相馬由美「本気!?」
菅原杏子「ええ、私は事故で家族を失いました」
菅原杏子「だから、せめてその悲しみや消失感を 仮想世界で解消して欲しいのです」
相馬由美「狂ってるわね」
相馬由美「生者と死者を邂逅させるなんて」
菅原杏子「分かってます」
相馬由美「ただし、条件がある」
菅原杏子「何でもどうぞ」
相馬由美「ルルちゃんのお父さんとお母さんを 探し出して、絶対に会わせること」
菅原杏子「承知しました」

〇魔法陣2

〇西洋の街並み

〇ヨーロッパの街並み
菅原翔馬「あの暗闇の中から まさか大地に立てるなんて」
菅原杏子「空間に紋章を刻み込んだ」
菅原杏子「さあ、計画を始めましょう」

〇おしゃれなリビングダイニング
相馬由美「2人とも」
相馬由美「今、私が出資してる会社で 新しいメタバースを出すんだけど やってみない?」
相馬由美「普通のメタバースと違うのよ」
相馬一貴「本当?」
吉良ルル奈「やってみたい!」
相馬由美「きっと気に入ってくれるはずよ」

〇異世界のオフィス
菅原杏子「もうすぐよ、もうすぐで私は」
菅原杏子「ルルちゃんになれる」
菅原杏子「ルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃんルルちゃん」

次のエピソード:第7話『失意に暮れる旅人』

コメント

  • まさか、杏子さんも同じ事故の被害者😭 こうして各登場人物と “アレイオワ” が繋がっているのですね✨ 本当に痛ましい事故のようで、その影響か杏子さんのパーソナルにも歪みが見られるようで……🥲この仮想世界、AI技術とオカルトの融合によるものだったとは😱

  • おぉ!!ルルに異常とも言えるくらいの感情を寄せていたのですね!!とんでもない世界を作り出すほどに、、、

    アレイオワ…あったら凄く行ってみたい気持ちになってしまいますね…おばあちゃんとかに会いたいなぁー

    続きも少しずつ読ませていただきますね✨☺️

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