読切(脚本)
〇駅のホーム
S県、K駅
都内へのアクセスも良好なこの街に来てから3日・・・
そろそろ私も、渋谷に遊びに行ってみたいと思うの!
〇渋谷駅前
渋谷、若者の街!
テレビや雑誌を見れば、いつだってその街が映っていた
ファッション、グルメ、音楽、あらゆるエンタメの中心
私も小さい頃から、ずっと憧れていた街!
〇駅のホーム
そんな渋谷には、私の住む街から電車で1時間もかからず行けるの!
引っ越しのドタバタも一段落した今日、さっそく渋谷に──
「よしみッ!!!!」
「待でえぇいっ!!!!」
よしみ「そっ、その訛り声は!?」
ゆくぞう「よしみ、おめ(お前)が東京に行くにゃあまだ早えだぁッ!!」
よしみ「ゆくぞう!? 何で止めるのよ!」
コイツは・・・
私の幼馴染みの『ゆくぞう』
高校を卒業したら家の畑を継ぐって言っていたのに、私と同じ大学に進学して来ていたの!
誰も知る人の居ない都会での一人暮らしに感じていた不安は、コイツのおかげで無くなったけれども──
なんだか釈然としないの!
ゆくぞう「都会はぁ、東京はおっそろしいところだぁ・・・」
ゆくぞう「おめみでな浮がれだ若げぇ娘っ子はぁよぉ、東京の悪りぃ奴らに騙されで泣かされるに決まっでらぁ!」
よしみ「な、何よ、知ったかぶって! アンタだって大して東京を知らないクセに!!」
ゆくぞう「おら(俺)はおめどは違っで、東京を知らねえ事を知ってらぁ!」
よしみ「ソクラテス!?」
よしみ「いやいや、私だって東京の事を色々調べて、行く所を見繕ったりしたんだからね!」
よしみ「第一、何でアンタが私の行く所にケチをつけるのよ?」
よしみ「どこに行こうと私の勝手だし、アンタの指図をうけるいわれは無いわよ!」
ゆくぞう「・・・これを見ろ、おめの家族がら渡されたモンだぁ」
よしみ「何よコレ? 写真・・・って!?」
よしみ「この写真、なんでパパとママが土下座しているのよ!!」
ゆくぞう「おめの事を何とかしてけろ、って、夜中の10時におらん家の玄関で土下座してきてよぉ・・・」
ゆくぞう「おめが俺の言う事を聞かなかったらコレを見せろって、この写真を押し付けてきてよぉ・・・」
よしみ「えっ、えへっ、あの・・・」
よしみ「うちの家族がご迷惑をおかけしました・・・」
反対を押し切って都会に来たから、変に心配かけちゃったのかも・・・
ゆくぞう「まぁ、ソレはいいがよぉ・・・」
ゆくぞう「始めだげはおめの家族に報告してやろうと思ったんでよぉ、まぁ、止めねえからせめて何処行くがぁ、教えてくれやぁ」
よしみ「うん、まぁそういう事なら・・・」
ピンポンパンポーン♪
「間もなく、上りの電車が参ります 危ないですから、黄色い線の内側で〜」
よしみ「あ、電車が来たのね・・・」
よしみ「・・・ねぇ、ゆくぞう、アンタ今日ヒマ?」
ゆくぞう「これからアパート周りの雑草取りと、連れで来たベコっこ(牛)にブラシがげでもしよがど思ってたべ」
グイッ!
間抜けな顔をしているゆくぞうの腕を取る
よしみ「じゃあそれ、後回しね」
キイイィィッ
プシューッ
ワァワァ、ガヤガヤ
よしみ「こっちよ!」
ゆくぞう「んん?」
プシューッ
〇電車の中
ガタンゴトン──
ご乗車ありがとうございます、次は──
ゆくぞう「がぁ?」
キョロキョロ
ゆくぞう「・・・ここって・・・もしがして、電車の中がぁ?」
よしみ「そうだよ、急行だってさ」
よしみ「私さ、電車って実は初めてなんだよね 新幹線とは、なんだか違う感じがするね?」
ゆくぞう「でっ、でででででっ! 電車ぁッ!!?」
よしみ「もう、電車の中で大きな声出さないの!」
ゆくぞう「おら、運転免許証持って来てねえだよ!」
よしみ「要らないよ!?」
ゆくぞう「ほっ、車の免許証は要らねぇのが・・・」
よしみ「私はゆくぞうの方が心配になってきたよ・・・」
よしみ「ゆくぞう、アンタこれから私と一緒に──」
よしみ「渋谷に行くわよ!」
ゆくぞう「し、渋谷あぁッ!?」
よしみ「え? 何よ今のイメージ」
ゆくぞう「よしみ、おめぇ、何ておっそろしい事を考えていたんだべ・・・」
ゆくぞう「信じでだ幼馴染みが、渋谷なんかに行きたがってだなんてよぉ・・・」
よしみ「アンタ渋谷の何が怖いのよ? オシャレで楽しそうな街じゃないの」
ゆくぞう「東京はよ、生き馬の目を抜ぐ様な街なんだべ? 渋谷はその最たる街だべよぉ・・・」
ゆくぞう「だから、メズコ(雌馬4才)は村に置いて来た」
よしみ「ものの例えだから! くり抜かないから!」
よしみ「まったくもう・・・馬連れて馬車でも牽く気だったの?」
ゆくぞう「いんや、どうやら最近の都会の若ぇもん達には馬の娘っ子が人気だって聞いたがらよぉ──」
ゆくぞう「街中触れ合い乗馬体験で荒稼ぎしようがど思っていたんだべ・・・」
よしみ「したたか!?」
ゆくぞう「渋谷の怖ろしいウワサなら他にも聞いてるべ」
ゆくぞう「主人の帰りを待つ犬を石で固めた飾り物──」
ゆくぞう「数分おきにルール無用となり、秩序の乱れる交差点──」
ゆくぞう「人の持つ108の煩悩を越えだ、欲深き者の集う塔──」
ゆくぞう「嘘か、本当か、確かめる勇気が・・・おめにゃ、あるがぁ?」
よしみ「怖っ!?」
よしみ「でも、全部元ネタの心当たりが有るわね・・・」
よしみ「よし、決めた!」
よしみ「アンタの勘違いを私が治してあげる!」
よしみ「本当は荷物持ち兼ボディーガードのつもりだったけれども、今日はゆくぞうの為に渋谷に行くわよ!」
ゆくぞう「おらの予定が!?」
よしみ「そうと決まれば最初は服屋よね、渋谷を歩き回るんだからその作業服の代わりを着ないとね」
よしみ「その後で都市伝説修正の旅ね♪」
よしみ「そうしましょったら、そうしましょうか♪」
ゆくぞう「・・・やれやれ、こうなったよしみはもう止めらんねえべ」
ゆくぞう「悪りぃな、ゴズエ(雌牛4歳) ブラシがけは明日必ずしてやっがらな」
ゆくぞう「こうなったら、腹ぁくくって・・・」
〇渋谷駅前
おら、
渋谷さ行くだ
うわーい!
ちわわさん、一駅コンテスト出られていたんですね!
ドタバタラブコメディが始まりそうな予感ですね👍
これから彼に渋谷ではどんなハプニングが待っているか今後のストーリーにワクワクします。彼女も彼の面倒見ないといけないから大変です。
このタイトルと男の子の名前で色々と察しました😂笑
訛りの子を見るとほっこりしてしまいます😌渋谷の時のイメージに笑ってしまいましたが、そんなイメージがあるからこそ幼馴染が心配だったのでしょうね☺️