第4話『ぬくもりに触れる処女』(脚本)
〇空き地
???「もうすぐ家族に会えるぞ」
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「本当にパパとママに会えるの?」
???「それが約束だからな」
???「嬉しくないのか?」
吉良ルル奈「・・・・・・嬉しいけど」
吉良ルル奈(本当にこれで良いのかな)
吉良ルル奈(私だけ)
〇綺麗な一戸建て
???「着いたぞ」
吉良ルル奈「・・・・・・ここって 私が小さい時住んでた家だよね?」
???「そうらしいな」
???「お前の両親が望んで作り出した」
吉良ルル奈「あの世ってこんなところなんだ」
???「再会を楽しむんだな」
吉良ルル奈「ねえ」
???「何だ?」
吉良ルル奈「どうして、こんなことしてくれるの?」
吉良ルル奈「最初は強引だったのに」
???「それがお前の両親との約束だったからだ」
吉良ルル奈「そっか」
???「じゃあな」
吉良ルル奈「いっちゃうの?」
???「”目的”は果たしたからな」
吉良ルル奈「ありがと」
吉良ルル奈「良い人なのかな?」
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「ここにパパとママがいるんだよね」
吉良ルル奈「緊張してきた」
吉良ルル奈「インターホン押していいんだよね?」
〇明るいリビング
吉良朱里「外に誰かいるのかしら?」
吉良明「確かに気配を感じるな」
「もしかして!?」
〇綺麗な一戸建て
吉良ルル奈「自分の家なのに 何でインターホン鳴らしたんだろ」
吉良ルル奈「いきなり開けたら驚いちゃうもんね」
吉良ルル奈「でも、本当にパパとママがいるか 分からないから仕方ないよね」
吉良ルル奈「開いた!」
「どうぞ」
〇シックな玄関
「・・・・・・」
吉良ルル奈「パパ! ママ!」
吉良朱里「ルルちゃん!」
吉良明「ルル奈」
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「本当に会えた」
吉良朱里「さあ、こっちにいらっしゃい」
〇谷
相馬一貴「この世界って、もしかしたら 現世と大して変わらないの?」
相馬貴宗「まあ、確かに あの街の様子を見たらそう感じるか」
相馬貴宗「住人たちの種類が様々なだけで 他はほぼ一緒だからな」
相馬貴宗「人によって、この世界の方が 住みやすいという人間もいるだろう」
相馬一貴「確かに」
相馬一貴「本当にあまり変わらないね」
相馬貴宗「本当にそう思うか?」
相馬貴宗「死んだ後なら諦めもつき、それでいいだろう」
相馬貴宗「だが死んでも諦めのつかない者もいる」
相馬一貴「どういうこと?」
相馬貴宗「この世界で必ずしも ”現世と同じことが出来る”とは 限らないということだ」
相馬貴宗「何か未練を残したまま死んで 後悔するかもしれない」
相馬貴宗「恋人や家族を残してきた」
相馬貴宗「夢を果たせなかった」
相馬貴宗「だから、人間は死ぬのが怖い まだ死にたくない」
相馬貴宗「そう思ってしまうんだ」
相馬一貴「なるほどな」
相馬貴宗「さっきも言ったが この世界が居心地の良い人間もいる」
相馬貴宗「もし、お前たちのように生きた人間が それを味わったらどうなると思う?」
相馬一貴「もし、生きてる世界より 冥界の方が居心地良かったら」
相馬貴宗「それ以上は分かるな?」
相馬一貴「死を受けいれるのと同じって事か」
相馬貴宗「そうだ、生への執着がなくなる」
相馬貴宗「身体は徐々に弱り」
相馬貴宗「いずれ死ぬ」
相馬一貴「ルル」
相馬貴宗「だが、一貴のような存在が この世界では少しでも長く生きる方法がある」
相馬一貴「それって?」
相馬貴宗「揺るぎない信念と精神力」
相馬一貴「俺にそんなものあるかな」
相馬貴宗「お前なら大丈夫だ」
相馬一貴「ん?」
〇明るいリビング
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「パパ、ママ、会いたかった」
吉良朱里「こんなに大きくなって」
吉良朱里「ずっと探してくれていたのよね?」
吉良ルル奈「うん」
吉良明「ありがとな 母さんに似て美人になったな」
吉良ルル奈「本当に、パパとママなんだよね? AIなんかじゃないよね?」
吉良明「当たり前だろ」
吉良朱里「ええ」
吉良朱里「あなたが生まれたときから あの日までのこと何だって言えるよ」
吉良ルル奈「パパ! ママ!」
吉良ルル奈「あのね! あのね!」
吉良ルル奈「パパとママに会いたくて いっぱい探したんだよ!」
吉良朱里「そう、偉いわね」
吉良明「凄いじゃないか 小さい時はあんなに甘えん坊だったのに」
吉良ルル奈「パパ! そんな前の話しないで!」
「はははは ふふふふ」
吉良ルル奈「毎日ね、私がご飯作ってるの」
吉良朱里「少し見ない間に 1人で何でも出来るようになって」
吉良ルル奈「でもね、パパとママを探すときは 一貴と一緒に探したの!」
吉良ルル奈「たくさん冒険したんだよ!」
吉良明「相変わらず一貴君と一緒なんだな」
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良ルル奈「かずたか?」
吉良朱里「カズくんが、どうかした?」
吉良明「一貴君もいるのか?」
吉良ルル奈「・・・・・・」
〇美しい草原
相馬一貴「ルルの処女は俺が守る!」
吉良ルル奈「戦闘中に何言い出してんだ!」
〇おしゃれなリビングダイニング
吉良ルル奈「も、もし、私が彼氏を連れてきたら」
吉良ルル奈「どうする?」
相馬一貴「普通に殺すけど?」
〇荒地
相馬一貴「母さんと約束した!」
相馬一貴「ルルの処女は俺が守る!」
〇明るいリビング
吉良ルル奈「・・・・・・」
吉良朱里「どうしたの? ルルちゃん」
吉良ルル奈(意識は奪われても 一貴の声は届いてたよ)
吉良ルル奈(私を必死に助けようとしてた)
吉良ルル奈(いつもなら鬱陶しくて キモいと思っていたのにな)
吉良ルル奈(でも、一貴は私のこと)
吉良ルル奈(恨んでるよね?)
〇おしゃれなリビングダイニング
相馬遙「じゃあ、これから希望を取りまーす」
ルル奈「わーい」
相馬遙「今度の連休にどこに遊びにいきたい?」
一貴「家でキャンプ」
相馬遙「それ庭にテント張るだけよね?」
一貴「じゃあ、土手!」
相馬遙「ご近所さんの視線が痛いかな」
相馬遙「ルルちゃんは?」
ルル奈「みんなで遊園地!」
相馬遙「いいわね」
一貴「絶対キャンプだよ!」
一貴「土手と家がダメなら中央公園があるじゃん!」
相馬遙「あなたのその近所のこだわりは何? アウトドアなのかインドアなのかどっちよ」
ルル奈「絶対遊園地!」
ルル奈「みんなでドライブ楽しいし! ご飯も美味しいもの食べれるもん!」
一貴「キャンプ!」
相馬遙「カズ」
相馬遙「あなた、お兄ちゃんなんだから こういうときは分かってるわよね?」
一貴「うん」
一貴「生き残ったものが正義 我が家伝統ロシアンルーレットで 決めるんだよね?」
ルル奈「怖いよ」
相馬遙「うちに、そんな狂った伝統ないわよ」
相馬遙「そうじゃなくて、こういうときは どうするんだっけ?」
一貴「年下の子に譲る」
相馬遙「そうよ、偉いわ」
相馬遙「じゃあ、ルルちゃんの希望の遊園地に決定」
ルル奈「わーい」
ルル奈「でも、それだと一貴が、、、」
一貴「気にしないでよ、ルルが嬉しいなら 俺も嬉しい」
相馬遙「キャンプは今度みんなでしましょ」
ルル奈「うん!」
一貴「ご先祖様のお墓がいいな!」
相馬遙「いい加減、ご近所から離れなさい」
〇車内
相馬遙「ルルちゃん! 一貴!」
相馬遙「あなた達は早く逃げなさい」
一貴「母さんは!?」
ルル奈「パパ ママ」
相馬遙「ルルちゃん」
ルル奈「ん?」
相馬遙「私たちは後から行くわ 先にあなたが逃げなさい」
ルル奈「本当?」
相馬遙「おばちゃんが嘘ついたことある?」
ルル奈「ない」
相馬遙「窓が少し開いてるから あなた達なら出れるはず 急ぎなさい」
一貴「ルル! 先にでろ!」
一貴「後ろから押してやるから」
ルル奈「うん」
相馬遙「私が押してあげる」
一貴「うん」
一貴「背中が熱いっ!」
相馬遙「ごめんね、一貴 痛いかもしれないけど我慢して」
相馬遙「いくわよ!」
相馬遙「ごめんね、ルルちゃん」
相馬遙「初めて嘘ついたわ」
相馬遙「誰か、あの子達を守って」
〇車内
吉良ルル奈「私がわがままさえ言わなければ」
吉良ルル奈「私は一貴にとって恨まれても仕方ない人間」
吉良ルル奈「一貴の人生を狂わせたんだ」
吉良ルル奈「私は一貴にとって、いつも負担な存在」
〇明るいリビング
吉良ルル奈(私があのとき、ワガママを言わなければ 今もずっとみんな生きてたんだよね)
吉良ルル奈(私が奪ったんだよ)
吉良明「ルル奈?」
吉良ルル奈(私が全部奪ったんだ)
吉良ルル奈(一貴だって、私を守ってくれるのは お母さんからの言いつけを 守ってるだけなんだよね)
吉良ルル奈(一貴に合わす顔なんてないじゃない)
吉良朱里「ルルちゃん」
吉良ルル奈「ママ、パパ」
吉良朱里「あなたが良ければ ずっとここにいていいのよ?」
吉良明「そうだぞ」
吉良ルル奈「ホント?」
吉良朱里「ええ」
吉良明「もっと話を聞かせてくれないか?」
吉良ルル奈「うん!」
〇空き地
???「杏子、聞こえるか?」
???「ちゃんと予定通り 吉良ルル奈を両親に会わせた」
???「大丈夫、”保険”はかけてある」
???「今頃、親子団欒しているだろう」
???「このまま永遠にな」
〇結婚式場前の広場
??「・・・・・・美味い」
??「よいしょっと」
??「さて、ワシも旅に出るかな」
女「りゅーさん、おでかけ?」
??「ああ」
??「ちょっと昔の仲間に会ってくる」
??「しばらく、姿見せんけど気にせんとってくれ」
女「長くなるのかしら?」
??「さあな、でもそんな長くはならんさ」
女「でも、あんなに現世に執着してたのに 急にどうしたのさ」
??「貰った酒が美味かったんじゃ」
??「こんな訳のわからん老人に 上等な酒を渡すなんて、お人よしなやつだ」
??「自分の子孫から貰った 大事なもののはずなのにな」
女「そう」
??「義理なんか久しく忘れとったの」
??「その借りはきっちり返さんとな」
女「へえ」
女「ただの飲んだくれの おいぼれじゃなかったのね」
??「当たり前じゃ!」
女「いってらっしゃい」
??「ああ」
ルルちゃん…😭 コレは一生消えない記憶になり得るものですね……🥲
多感な時期の彼女と一貴くんに多大なる影響を与える事故、考えるだけで胸が苦しいです😰 でも一貴くんの個性の強さは事故前から垣間見られたモノなんですね😂
ここから色々と動きが予想される展開、気持ちが湧き立つラストですね😊
ルル奈〜😭過去にあんなことがあったら自分のこと責めてしまいますよね😭
りゅーさんが何者なのか気になります!
そして、ルル奈を助けられたら良いですよね!!😭
また続きを楽しみにしてますー✨☺️