夢で逢いましょう

射貫 心蔵

第1話 コノコダレノコ?(脚本)

夢で逢いましょう

射貫 心蔵

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〇総合病院
  単刀直入に申し上げます

〇病院の診察室
医者「おめでたです」
タエちゃん「お、お嬢様・・・・・・」
うらら「しし、知らないわよ私ゃ!」
うらら「なにかの間違いじゃないんですか、先生?」
医者「残念ながら、スクスク育っています 14週目といったところでしょう」
医者「あと半月もすれば 性別もわかるようになりますよ」
うらら「ウッソ~ん」

〇高速道路

〇タクシーの後部座席
うらら「失礼しちゃうわ、あの医者!」
うらら「ぬゎ~にが「おめでたです」よ!」
うらら「こちとらカレシと 付き合ったこともないっちゅーの!」
タエちゃん「あの、本当に心当たりは?」
うらら「なによォ、タエちゃんまで疑うの?」
タエちゃん「いえ、そんな」
タエちゃん「ですが、種なき土地に芽は出ませんから」
うらら「言っときますけど、私は男の人と、その──」
うらら「キッスしたこともないんだから!」
タエちゃん「わ、わかりました」
タエちゃん「それが事実だとして ダンナ様がなんとおっしゃるか」
うらら「平気よォ! お父様は話のわかる方」
うらら「誠心誠意伝えれば きっと納得してくださるわ!」

〇屋敷の門
  なんちゅーことしてくれたんじゃ!
  このアバズレ!!

〇屋敷の大広間
お父様「貴様は津々浦家の家紋に泥を塗ったのだぞ!」
うらら「グスン! ごめんなさい、ごめんなさい」
お父様「ゴメンで済めば警察は──」
お母様「まぁまぁお父さん そうエキサイトされては話が進みませんわ」
お母様「で、誰なの殿方は?」
うらら「それが、そのォ・・・・・・」
うらら「わかりません」
お父様「わからぬとはどういうことだ?」
お母様「なにも取って食う訳じゃないのよ? 頼むから正直におっしゃい」
うらら「ウソではありません」
うらら「ホントのホントにわからないのです」
お父様「すると貴様は 父親が誰だかわからぬ程 色恋にうつつを抜かしていたのか?」
うらら「そんな──」
タエちゃん「お言葉ですが うららお嬢様は、そんな軽薄な方では──」
お父様「タエちゃんは黙っていたまえ!」
お父様「冷静に考えて ひとりでに子供がデキるはずなかろう」
お父様「それともなにか? 聖母マリアよろしく 処女懐胎したとでもいうのか?」

〇不気味
うらら(処女懐胎? そうかもしれない)
うらら(だって、ほかに考えようがないもの)
うらら(ダメダメ、弱気になっちゃ!)
うらら(物事には、必ず原因があるはず)
うらら(考えるのよ 呪いの食材を食べたとか、催眠術だとか 実は全部夢だったとか・・・・・・)
うらら(夢!?)

〇赤い花のある草原
???「そなたは美しい」

〇屋敷の大広間
うらら(まさか・・・・・・)
タエちゃん「お嬢様?」
お母様「うららちゃん・・・・・・」
お父様「この期に及んでだんまりか」
うらら「・・・・・・」

〇屋敷の門
  両親が折れるまで、うららは沈黙を続けた

〇暗い廊下
うらら「気まずい空気にさせて悪かったわね」
タエちゃん「いえ」
タエちゃん「それにしても、奇っ怪千万ですわ」
タエちゃん「突然の懐妊、正体不明の父親──」
タエちゃん「ミステリーですよ、これは!」
うらら「なんでちょっと嬉しそうなの?」
タエちゃん「私の推理では──」
タエちゃん「ご学友の誰かが、お嬢様のお弁当に 睡眠薬を混入し、保健室や体育倉庫へ 連れ込んで、粗相したのではないかと」
うらら「ぷ!」
うらら「エッチな本の読みすぎよ!」
タエちゃん「せめて推理小説と言ってくれません?」
うらら「あとで私の部屋に来てくれる? 思い出したことがあるの」

〇暗い廊下
  タエちゃんは夢を見る?

〇豪華なベッドルーム
タエちゃん「夢、ですか?」
タエちゃん「見ているはずですが、あまり覚えてないです」
うらら「それでも、印象に残ったものが 1つや2つあるでしょう?」
タエちゃん「あるにはありますが──」
タエちゃん「それとお嬢様の懐妊と、なんの関係が?」
うらら「・・・・・・」
うらら「タエちゃんの推理より大分ぶっ飛んでるけど 心当たりといえばコレしかないわ」
うらら「3~4ヶ月前、ある夢を見たの」

〇赤い花のある草原
  広い広い、紅い花の咲く草原に──
  男が1人
  超タイプだった
???「そなたの名は?」
うらら「つ、津々浦うららです!」
???「うららか うららかな、そなたにピッタリの名だ」
  臭いセリフも
  イケメンがいうと甘美なものね
  私はすっかり舞い上がってしまった
???「うらら──」
???「そなたは美しい」
  あぁ、あの透き通るような二つの目
  アレを見た瞬間、私のハートは完全に──

〇ハート
  射貫かれた

〇赤い花のある草原
  タガが外れたと言うのかしら
  彼のためなら死んでもいいと思ったわ
  そして2人は、めくるめく愛の花園へ──
タエちゃん「ストップですお嬢様、ストップ!」

〇豪華なベッドルーム
タエちゃん「夢とはいえ、なんとふしだらな!」
うらら「欲求が溜まってたのかしら」
タエちゃん「ですが、夢の中でその、ゴニョゴニョ──」
タエちゃん「とにかく! 現実に身ごもるなんて 処女懐胎と同じ位ありえぬことです」
うらら「普通に考えればそうだわね」

〇古い本
  でも翌朝、私のシーツは血でベットリ

〇豪華なベッドルーム
うらら「当時はアレかと思ったけれど よくよく考えたらナニだったのね」
タエちゃん「ナ、ナンの話ですか」
うらら「マジメな話、手がかりはコレだけ」
タエちゃん「確かに、親御様にそんなことは言えませんね」
タエちゃん「私とて、とても信じられませんもの」
うらら「私だって半信半疑よ 夢人の子を宿したなんて」
うらら「想像妊娠って、想像力が高ずると リアルに孕むものかしら?」
タエちゃん「神の御業かもしれませんね」
タエちゃん「先ほど調べましたところ アメリカでは毎年0.5%、つまり200人に 1人の妊婦が処女懐胎を訴えているそうです」
タエちゃん「もっとも、どれも自称にすぎず 真偽の程は定かではありませんが」
タエちゃん「お嬢様の場合、お相手はイマジナリー」
タエちゃん「契りを交わしたとはいえ 実在しない以上 処女懐胎は成立するかと存じます」
うらら「残念だけど、処女懐胎の肝は純潔さ 私には当てはまらないわ」
うらら「夢に出てきた男も、イケメンだけど そんなに神々しくなかったしね ツノ生えてたし」
タエちゃん「ツノ?」
うらら「そう、こうニョキッと!」
うらら「天使というより 悪魔といった方がしっくり──」
タエちゃん「カエルの子はカエル・・・・・・」
うらら「すると、悪魔の子は──」

〇手
ベビィ「ママだぁ~い好き!」

〇豪華なベッドルーム
うらら「・・・・・・ヤバい」
タエちゃん「どうか落ち着いて」
タエちゃん「まだ悪魔の子を宿したと 決まった訳ではないですから」

〇空
  闇夜は刻々と暗黒の度合いを増していった

〇屋敷の門
道士「・・・・・・」
道士「不吉な」

次のエピソード:第2話 愚者か知恵者か夢幻道士!

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