読切(脚本)
〇明るいリビング
真一「この、出来損ないめ!」
さくら「痛いよ・・・・・・。やめて・・・・・・」
真一「お前は邪魔なんだ!」
真一「ったく・・・・・・。お前されいなければ清美と付き合えるのに・・・・・・」
さくら「・・・でも」
真一「うるさい!」
清美「ただいま」
真一「清美さん!おかえりなさい!」
清美「・・・あら?さくら、泣いてるの?何かあった?」
清美「まさか・・・真一さんと何か?」
真一「はは、そんなことないさ」
真一「ちょっと目にゴミが入ったんだよな、さくらちゃん」
さくら「え、えっと・・・・・・」
さくら(きっと、ここでほんとのことを言ったら真一さんに怒られる・・・・・・)
さくら(また、痛いことされるかも・・・)
さくら(それに、ママも悲しんじゃうし・・・・・・)
さくら「そうだよ!目にゴミが入っちゃったの!」
さくら「だから、洗ってくるね!」
清美「あっ、ちょっと!」
清美「全く、あの子ったら・・・」
〇白いバスルーム
さくら「・・・これでいいかな」
さくら(私は、毎日のように真一さんに殴られたり、蹴られたりしている)
さくら(真一さんはママの恋人だから、ほんとのことを伝えるのはママには申し訳ない・・・)
さくら(痛いのは、嫌だけど、ママが悲しむのはもっと嫌・・・・・・)
さくら(でも、私には優しいママがいるから、大丈夫だもん!)
さくら(真一さんに何されようが、大丈夫だもん!きっと)
さくら(大丈夫、だよね・・・・・・?)
〇通学路
さくら(今日から新学年だ!)
さくら(新しいクラスメート、新しい先生!)
さくら(このためにお家で我慢してたと言っても過言ではない!)
さくら「えっへへ、楽しみだなぁ〜!」
〇教室
夏美「皆さん始めまして!」
夏美「このクラスの担任になりました!」
夏美「水野夏美といいます!」
夏美「先生はこのクラス皆が楽しく過ごせるよう頑張るからよろしくね!」
さくら(良かった!とっても優しそうな先生だ!)
さくら(今年も楽しくなりそう!)
〇学校の下駄箱
さくら(・・・もう、お家に帰る時間)
さくら(今日もまた、真一さんに怒られるのかな・・・)
夏美「あ!君はさくらちゃん、だっけ?」
さくら「あ!水野先生!」
夏美「夏美先生でいいよ!」
さくら「は、はい!夏美先生!」
夏美「よろしい」
夏美「ねえ、さくらちゃん。さっき元気無さそうに見えたけど、気の所為?」
さくら「あ、えっと・・・」
さくら(夏美先生にも隠しておいたほうがいいよね・・・)
さくら(話して真一さんに伝わったら大変だし・・・お母さんに言われたりするかも!)
さくら「え?先生の気の所為じゃないですか?」
夏美「・・・そう?」
夏美「なんかあったら先生に言うんだよ!」
夏美「先生秘密主義だから!」
さくら「秘密主義って?」
夏美「何でも秘密にしておこうとする考え方や主張!」
夏美「生徒のプライバシーを人にばら撒くのは駄目だからね!」
さくら「へえ、そうなんだ!」
夏美「だから、困ったら頼るんだよ?」
夏美「まぁ、秘密にしたいなら聞かないよ」
夏美「でも、壊れる前に言ってほしい」
さくら「わ、わかりました!」
〇明るいリビング
さくら(夏美先生。優しかったな)
さくら(・・・・・・秘密主義の先生なら、言っても、いいのかな・・・)
さくら(でも、もし信じてもらえなかったら・・・・・・?)
〇学校の下駄箱
夏美「あ!さくらちゃん!ちょっと待って!」
さくら「夏美先生!?どうしたんですか?」
夏美「ちょっと、大事なお話したくって」
さくら「大事なお話?」
夏美「うん」
夏美「大丈夫。さくらちゃんが悪いっていうお話じゃないよ」
夏美「君は、とてもいい子なんだから・・・」
夏美「体育館裏でお話しようよ!」
さくら「よくわからないけど・・・いいですよ」
〇体育館の裏
さくら「それで、話ってなんですか?」
夏美「えっとね・・・なんて言ったらいいかな・・・・・・」
夏美「今日のね、体育の時間、チラッと見えたんだよ」
夏美「君の痣」
夏美「あれは、何の痣?」
夏美「もしさくらちゃんが秘密主義だとしても、これは正直に言ってほしい」
夏美「先生の想像通りなら、放っておいたら大変だから」
夏美「それとも・・・出会ったばかりの人には言いたくない?」
さくら「・・・」
さくら「先生は、なんの痣だと思っているんですか?」
夏美「私!?」
夏美「私は・・・虐待の痣だと思ってる」
夏美「殴られたり、蹴られたり・・・」
夏美「虐待じゃなくていじめかも、とも思ってる」
さくら「そう、なんですね」
さくら「当たりですよ」
さくら「私、お母さんの恋人に虐待されてます」
夏美「クッソやっぱり!」
夏美「私の大事な大事な生徒を傷つけやがって!」
さくら「せ、先生・・・・・・?」
夏美「あっ、ごめん・・・」
夏美「つい感情的になっちゃった」
夏美「・・・君は、どうしたい?」
さくら「どうしたい、って?」
夏美「君は、虐待されたくないか、そうでないか」
さくら「されたく、ないです・・・・・・」
夏美「・・・だよね」
夏美「よく、頑張ったね」
夏美「あとは先生に任せてよ!」
さくら「でも、お母さんには言わないでください」
夏美「えっ・・・・・・?」
夏美「お、お母さんにはいずれ言わなくちゃだよ?」
さくら「でも、ママを心配させちゃいます・・・・・・」
夏美「そうか・・・」
夏美「さくらちゃんは、やさしいね」
夏美「でもね、今は君の体と心が大事なんだ」
夏美「ママがママが言ってたら、ずっと苦しいまま」
夏美「先生はそんなの許せない!」
夏美「・・・そのことも踏まえて、もう一度考えて」
夏美「今すぐじゃなくても、いいから」
さくら「・・・はい」
夏美「よろしい」
夏美「最後に、先生はずっとさくらちゃんの味方だからね!」
夏美「今日はもう遅いし、先生と一緒にお家に帰ろうよ!」
さくら「はい!」
〇明るいリビング
さくら(・・・どうしたら、いいのかな)
さくら(私は、どうしたいんだろう・・・)
〇教室
夏美「お!さくらちゃん、おはよう!」
さくら「おはようございます!」
さくら「先生、昨日の話の答え出ました!」
夏美「も、もう!?早いねぇ・・・」
夏美「じゃあ、ちょっと体育館裏で聞かせてくれない?」
さくら「はい!」
〇体育館の裏
夏美「それで・・・君はどうしたいの?」
さくら「お母さんに言ってもいいので助けてください!」
さくら「もう、痛いの嫌だ・・・・・・」
夏美「分かったよ」
夏美「じゃあ、今日の放課後、先生と警察に行こう」
夏美「いいかな?」
さくら「はい!」
〇警察署の入口
私は、放課後、先生と警察に行った。
事情聴取を受けたりして、しばらくは児童相談所で保護されることとなった。
そして、真一さんは逮捕された
〇明るいリビング
清美「さくら、ごめんなさい・・・。 私、ちっとも気が付かなかった・・・」
さくら「いいんだよ、お母さん」
さくら「お母さんは悪くないもん!」
清美「さくら・・・」
清美「先生、ほんとにさくらのこと、ありがとうございました」
夏美「いえいえ」
夏美「当然のことをしたまでですから!」
さくら(夏美先生、凄いなぁ・・・)
さくら(私も、いつか先生みたいになろう!)
それから私は、平和に過ごすことができたのでした・・・