〇荒廃した街
　　それから俺達は約半日は掛けて日本へと帰国した。兄さんとプロフェッサーは生き残っていた政治家や裁判所の人達に引き渡され、
　　裁判の結果極刑となり、二度と外へと出られなくなってしまった。ロボットが使えなくなった今、どこの世界も復興作業に追われて、
　　元の生活に戻るには相当の時間が必要だった。
影山純也「さて、今日も頑張るとするか！」
久保直樹「・・・・・・」
影山純也「おい、どうしたんだよ久保？もう銃を握ったりしなくて良い様になったんだぜ？」
久保直樹「いや、なんと言うか・・・違うんです・・・今目の前の光景を見てたら、なんだか自分達がどれだけ馬鹿な事考えてたのかって」
久保直樹「思ってたら、なんだか泣きたくなっちゃって・・・同じ人間なのに・・・もっとマシな事できなかったのかって思っちゃって・・・」
影山純也「ははは！久保！それはもう考えても仕方ねぇよ！誰だって、互いと互いが100%分かり合うなんて絶対できねぇからな！」
影山純也「誰でも彼でも、自分は大事だし、自分が一番正しいんだ・・・俺だってその一人だ・・・」
久保直樹「だったら・・・どうしてあの時俺らを助けてくれたんですか？自分が大事なら、俺らの事見捨てる事だって・・・」
影山純也「確かにできた・・・けどな・・・俺がお前らを助けたのは、俺が助けたいと思ったからだ・・・そこに良いも悪いもねぇよ・・・」
久保直樹「なんですかそれ・・・超矛盾じゃ無いですか・・・」
影山純也「確かに訳が分からないな！でも、その訳の分からなさが、人間にとって一番大事なのかも知れないな・・・」
久保直樹「・・・俺には、分かりませんね・・・」
影山純也「ははは！そう思うなら一杯悩むんだな！」
影山純也「それはそうと久保、お前これからどうするつもりだ？」
久保直樹「俺ですか？そうですね・・・」
久保直樹「あれから色々考えてたんですが、確り勉強して、まともな仕事に就けたら、谷本先生と結婚したいって思います・・・」
久保直樹「只、この状況だから、いつになるか分かりませんが・・・」
影山純也「へぇ・・・良いじゃねぇか！その夢、絶対叶えろよ？どんな時でも、最後に勝つのは諦めなかった奴だからな！」
久保直樹「影山さん・・・ありがとうございます！夢叶ったら、絶対報告しますね!!」
影山純也「楽しみにしてるぜ！所で、桐ヶ谷と中島の姿が見えないんだが、何かあったか？」
久保直樹「あれ？影山さん聞いてないんですか？あの二人は今日・・・」

〇墓石
桐ヶ谷誠「着いたな・・・」
中島蒼「えぇ・・・」
　　久保達が復興作業に勤しむ中、俺と蒼はお互いの両親の墓参りに来ていた。俺達がアメリカへ行っている間に、アズマさんが
　　何人かの死体を回収していたらしく、こうして墓参りに行ける様にしてくれてたのだった。
桐ヶ谷誠「父さん、母さん、兄さんは世界中の人達に悪い事して極刑になったよ・・・向こうから見てるかどうか分からないけど、」
桐ヶ谷誠「俺達が傷付け合う所を見たくて兄弟を作った・・・そんな事無いよね？ロボットもいなくなって、俺頑張ったのかな・・・」
中島蒼「お父様！お母様！あたしも誠も本当に頑張ったわ！できるなら、あたしはもっと二人と一緒に生きたかった！まだ恩返しも」
中島蒼「して無いし！やりたい事沢山あった・・・!!」
中島蒼「お父様、お母様聞いて・・・あたし、これから誠と結婚して、お父様の仕事を継ぐわ。お父様見たいにできるか分からないけど、」
中島蒼「あたし、誠と一緒に成長して見せるから、向こうでちゃんと見ててよね!!」
セバスチャン「お嬢様、誠様・・・」
中島蒼「セバスチャン、もう時間なの？」
セバスチャン「はい、残念ですが、そろそろお戻りにならないと・・・」
中島蒼「分かったわ・・・直ぐ行くから先に行ってて・・・」
セバスチャン「畏まりました・・・」
中島蒼「お父様、お母様、また会いに行くわ・・・」
中島蒼「誠、今は凄く大変だけど、これからも宜しくね！勝手に死ぬなんて事したら許さないから！」
桐ヶ谷誠「分かってる・・・こちらこそ宜しくね・・・父さん、母さん、向こうでちゃんとやり直してくれよ？」
　　ロボット災害を終わらせても、死んだ人間が生き返る事は無い。過ちから学び、次へと活かす。いつか本当に幸せになる為に、
　　俺達はまた前へと進むのだった。
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