竜の卵

尾長イルカ

最終話 ラッキードラゴン(脚本)

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〇闇の闘技場
  姫ドラゴンの絶叫が響く
ウィッチドラゴン「ブラウニー チュロス 愛した人を いつも失う  この怒りを受けよ」
姫ドラゴン「くううう・・・」
  ウィッチドラゴンの執拗な攻撃
  ついに力尽きて倒れる
ウィッチドラゴン「ブラウニー チュロス あなた達の仇は討った・・・」
  姫ドラゴンの顔を踏みつけようとする
  唾液まみれのチュロス
チュロス「うう ぺっぺっ💦」
ウィッチドラゴン「生きてた? 食べられたのでは?」
チュロス「姫は俺を守ってくれたんだ! 口の中で」
ウィッチドラゴン「・・・」
チュロス「姫 姫 大丈夫か!?」
  チュロスを守り 攻撃を受け続けた 
  姫ドラゴンは虫の息
チュロス「姫・・・俺のために・・・」

〇黒
エクレア「生きていて嬉しい さあ あなたを保護してあげる もう離れないでチュロス」
エクレア「これから 二人で楽しく過ごし──」
エクレア「うううう・・・」
チュロス「・・・」
エクレア「ど どうして・・・」
チュロス「魔女を殺せば 姫は戻るんだろう? 人間に!」
エクレア「そうまでして助けたいの? あのドラゴンを・・・」
チュロス「当たり前だ 彼女は人間だぞ!! そしてお前は魔女だ」
エクレア「魔女・・・」
チュロス「ドラゴンにして大魔女なんだろ?」
エクレア「そうだね 大魔女だよ」
エクレア「誰にも負けない ウィッチドラゴン様さ!!」
エクレア「グフッ!!」
エクレア「お生憎 私を殺しても 姫は戻らない」
チュロス「嘘だ!!」
エクレア「ほんと・・・さ」
チュロス「教えろ戻し方を!!」
チュロス「たのむ・・・教えてくれ」
  顔に唾をかけられたチュロス
エクレア「それを飲ませろ 魔女の「唾」を飲めば 魔法は解ける」
チュロス「ありがとう」

〇水中
魔女「魔女の「涙」を飲めば 魔法は解ける」
魔女「魔女の「唾」を飲めば  更に強い魔法に掛かる」

〇黒
エクレア「いい気味だ・・・」

〇山中の川
  同じ匂いの男

〇源泉
ブラウニー「くしゅん! 寒い・・・」
ブルードラゴン「震えているわね」
ブルードラゴン「さあ 羽の下にお入り」
ブラウニー「あたたかい」
ブルードラゴン「ウフフ」

〇黒

〇闇の闘技場
エクレア「待って 私の涙を飲ませて」
チュロス「え?」
エクレア「さっきのは嘘」
エクレア「魔女の「涙」を飲めば 魔法は解ける」
チュロス「信じろと?」
チュロス「君のことが分からなくなった」
エクレア「そうね・・・魔女の言うことだからね」
チュロス「出会った頃のエクレアじゃない」
チュロス「しゃべれるようになったが 嘘もつけるようになった」
エクレア「・・・・・・」
チュロス「その涙も 嘘泣きかも」
エクレア「ずっと しゃべれなければ良かった そしたら 愛してくれた?」
チュロス「分からない けれど 君を憎むことはなかったろう」
  倒れたエクレアの頬に光る「涙」を
  そっと指に取るチュロス
  左指に「唾」 右指に「涙」
  交互に指を見つめるチュロス
チュロス(「唾」か「涙」か 信じるか信じないか・・・)
チュロス「答えは・・・これだ!!」

〇月夜
エクレア(大魔女になったのに・・・一人寂しく)
エクレア(寒い・・・)
  腹に刺さった剣を抱きしめた
エクレア(一人じゃない 抱きしめられているみたい)
エクレア(あなたの匂いのする剣だもの・・・)
エクレア(剣が光った?)
ブラウニー「あたためて上げる」
エクレア「ブラウニー」

〇闇の闘技場
チュロス「パンナコッタ」
パンナコッタ姫「パンナコッタとは 何のこった?」
チュロス「姫! しっかりしろ」
パンナコッタ姫「チュロス殿!!」
チュロス「姫 姫 姫」
パンナコッタ姫「ありがとう チュロス殿!!」
チュロス「エクレアのお陰だ 彼女の涙で──」
チュロス「昔のエクレアに戻ってる!!」
パンナコッタ姫「生きてる?」
チュロス「いや もう・・・」
パンナコッタ姫「でも 笑っておる」
チュロス「笑顔のまま 息を引き取った」
  チュロスは
  エクレアの頬についた涙を
  もう一粒 指に取った
  竜王の口に 涙を含ませる
パンナコッタ姫「父上・・・」
王「・・・・・・」
パンナコッタ姫「父上 早く目を覚まして」
王「うううむ」
王「娘を襲った ワシはケダモノ」
パンナコッタ姫「あれは魔法で・・・」
王「戦争・略奪・陰謀・拷問 やはりケダモノだよ」
パンナコッタ姫「いいえ あなたは国王 早く起きて 出ないと──」
パンナコッタ姫「テメェの寝首かいてやる!!」
王「ハハハハ」
パンナコッタ姫「笑った! 初めて笑った わらわの言うことで」
王「初めてじゃない ずっと お前のお転婆が楽しかった」
パンナコッタ姫「ウソ! ずっと怖い顔してた」
王「そりゃ王だからな 威厳が大事だ けれど亡き王妃と いつも笑って見ていた」
パンナコッタ姫「母上・・・」
王「お前が光だった この国にとっても ワシにとっても」
王「お前こそ光・・・」
パンナコッタ姫「父上・・・」

〇ファンタジー世界
  数日後

〇謁見の間
  王女の戴冠式が行われた
農民「姫はドラゴンになったんだろ? そんなケダモノを王女に?」
チュロス「口が過ぎるぞ!」
農民「やるのか この野郎!」
パンナコッタ王女「オホン!」
パンナコッタ王女「ドラゴンはケダモノではない 聖獣です」
パンナコッタ王女「私が出会った水竜は 誇り高く 偉大で 知恵深かった」
パンナコッタ王女「そんな竜に負けない国を造ります」
  式典見物の中に
  こちらを凝視する目があった
パンナコッタ王女(あの目は・・・)
パンナコッタ王女「シスターの目」
パンナコッタ王女「オホン!」
パンナコッタ王女「まずは戦争のない世界を そして飢えた子供のいない世界を造ります」
パンナコッタ王女「森を焼かず 略奪せず 動物たちと暮らせる世界」
パンナコッタ王女「不当な逮捕・拷問を禁じます」
パンナコッタ王女(消えた・・・)
パンナコッタ王女(シスター 二度とあなたのような人を生まない 王冠に誓って)

〇草原の道
チュロス「牢の中で言ってたじゃないか 冒険の旅に出るのが夢だって」
チュロス「今度こそ 泥棒の旅に出ないか? ワクワクするぜ!」
パンナコッタ王女「そうね・・・」
チュロス「ホラ 景気づけに踊ろう」
  途中で 踊りをやめる王女
チュロス「パンナコッタ どうして・・・」
パンナコッタ王女「私は 国を治めねばなりません」
パンナコッタ王女(嘘よ 本当はあなたと旅に出たい!)
パンナコッタ王女「今一番したいことは 国を立て直すこと」
パンナコッタ王女(いいえ 一番したいのは泥棒の弟子 そして大冒険!!)
パンナコッタ王女「もう子供ではない 王女として国民への責任があります」
パンナコッタ王女(国も地位もいらない あなたと一緒に一緒に!!)
チュロス「キスしたら結納だって 城の人に聞いたけど・・・」
パンナコッタ王女「あなたがキスしたのは エクレアよ」
チュロス「・・・」
パンナコッタ王女「泥棒の弟子に憧れたのは 5歳の私なの」
チュロス「今は大人?」
パンナコッタ王女「・・・」
チュロス「だよな 王女だものな」
パンナコッタ王女(笑わないで 怒って欲しい・・・)
パンナコッタ王女(笑ったら それでお別れだもの)
パンナコッタ王女「どこへ行くつもり?」
チュロス「何でも願いを叶えてくれる ラッキードラゴンっていうのが いるらしいんだ」
チュロス「ヘヘヘ 子供っぽいかな?」
パンナコッタ王女「いいえ 素敵 私もいつか探したい」
チュロス「じゃあな」
パンナコッタ王女「・・・・・・」
パンナコッタ王女「・・・・・・」
パンナコッタ王女「・・・・・・」
パンナコッタ王女「ねえ!」
チュロス「え?」
パンナコッタ王女「一体 どんな願いを掛けるの?」
  ニカッと笑って 背を向けた
  それが 彼を見た最後


〇赤(ディープ)
読者「何だ ラッキードラゴン出ないじゃん! 詐欺だよ」
読者「いこう いこう」
読者「・・・」
占い師「あんたは 行かないのかい?」
読者「魔女なんて 本の中のお話だよね」
占い師「どうだろうね?」
読者「ちがうの?」
占い師「あんたは あの男の子が 好きなんだろう?」
占い師「赤くなったね どうしたら良いか 分からないんだろ?」
読者「うぐぐ・・・」
占い師「いい方法 知ってるよ」
読者「え 本当! 占いのオバちゃん!」
占い師「こっちにおいで お嬢ちゃん!」
  少女を幕の裏に連れていく

コメント

  • 完結おめでとうございます!
    やっぱりエクレアに感情移入しちゃいましたね。泣ける〜。
    今回もスチルが素敵です。(特にキスシーン!そう来たか・・・好きなシチュエーションです🤭)
    どんなラストになるかドキドキしていましたが、ハッピーエンドで良かった!

  • 練り込まれた設定と、二転三転して先の読めないストーリー、最後まで楽しませてもらいました✨ 意匠のこらした演出やスチル表現もお見事で、刺激いっぱいのストーリーでした😊 熱量のこもった長編、楽しく読ませていただきました✨

  • 完結お疲れ様でした!!!最高に面白いストーリーでした!!
    コミカルさとダークさが凄くまとまっていて、とても楽しく読ませて頂きました!
    途中の挿絵も良かったです!

    今までのパンナコッタ姫を思い出すと、王女になったのが感慨深いですね……!

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