いわく鑑定士

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〈何でも噛んで食べられる〉入れ歯(脚本)

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〇時計台の中
鑑定士「この世には〈いわく〉を抱えた呪いの品が存在します」
鑑定士「私はそんな〈いわく〉付きの品専門の鑑定士」
鑑定士「さて、本日の〈いわく〉は、一体おいくらになるのでしょうか・・・」

〇時計台の中
鑑定士「これは・・・・・・」
清水 ふうか「い、入れ歯ですね」
鑑定士「・・・・・・」
清水 ふうか「あ、私のじゃないですよ!?」
清水 ふうか「祖父のものだったんですけど、えっと・・・」
鑑定士「・・・・・・」
清水 ふうか「す、すいません!やっぱり持って帰りますぅ」
鑑定士(左手に、包帯・・・・・・)
鑑定士「大丈夫、 お持ち帰りいただく必要はありませんよ」
鑑定士「この品の〈いわく〉、ぜひお聞かせください」

〇昔ながらの一軒家
「お誕生日、おめでとうー!!!」

〇実家の居間
石田 ふうか「おじいちゃん、90歳おめでとう!」
石田 たか子「お義父さん、おめでとうございます」
石田 剛造「ふうかぁ〜!たか子さんも、 わざわざ来てくれてありがとうなぁ〜!」
石田 剛一「親父、この調子だと 100歳までいけるんじゃないか?」
石田 剛造「ファッファッ、まだまだ頑張るぞぃ!」
清水 涼太「元気の秘訣は、何かあるんですか?」
石田 剛造「よく食べること!これじゃな」
石田 ふうか「そんなおじいちゃんに────」
石田 剛造「フヒョオォ!わしの好物ばかり!!」
石田 剛造「さすが、ふうかは分かっとるの〜!」
石田 ふうか「そして────」
石田 剛造「ケーキじゃあぁ!!」
石田 ふうか「涼太さんと一緒に用意したんだよー!」
石田 たか子「涼太さんまで!忙しいのにありがとうね」
石田 剛一「2人とも、結婚式の準備も忘れるなよー」
石田 ふうか「ふふ、もちろん」
石田 剛造「何をくっちゃべっとる!早く食べるぞ!」
石田 剛造「そいじゃ、いっただっきまー・・・」
石田 剛造「ぐむっ」
石田 ふうか「おじいちゃん、どうかした!?」
石田 剛造「い、いや、なんでもない・・・」
石田 剛造「げほっ」
石田 剛一「ん?何か落ちた・・・」
石田 たか子「これ、歯じゃない!?」
清水 涼太「ちょっとお口の中、見せてもらえますか」
石田 剛造「なんじゃお前、急に・・・」
石田 剛一「よっ、さすが清水先生!」
清水 涼太「これは・・・! ほとんど歯が残ってないですよ!」
石田 剛造「こんなん、唾つけときゃ治るわい! ペッペッ」
石田 ふうか「おじいちゃん! 唾つけても歯は生えてこないよ!」
石田 剛一「おいおい、親父もついにお粥生活か?」
石田 たか子「ちょっとあなた!」
石田 剛造「そんなの嫌じゃあっ!!」
石田 ふうか「おじいちゃん、待って!」

〇アパートの中庭
石田 剛造「うっ・・・うっ・・・ばあさん・・・」
石田 剛造「わしゃもう、 ろくに物も食べれんようになってしもうた」
石田 剛造「そろそろわしもばあさんのところへ──!!」
石田 ふうか「おじいちゃん、落ち着いて!」
石田 ふうか「これ・・・」
石田 ふうか「半年後の結婚式、おじいちゃんに 絶対来てほしい!」
石田 ふうか「だからお願い、元気出して」
石田 剛造「ふうかぁ・・・」
石田 剛造「でも、豪華な料理が出て来ても まったく食べれんのだろ?」
石田 ふうか「そ、そこ?」
清水 涼太「大丈夫、食べられます!」
石田 ふうか「涼太くん!」
清水 涼太「入れ歯にするんです」
石田 剛造「入れ歯ぁ!?そんな年寄りくさいもん、 絶対お断りじゃ!」
石田 ふうか「おじいちゃん! また美味しいもの食べたいんでしょ!」
清水 涼太「おじいさん!僕も頑張って 丈夫な入れ歯を作りますから!」
石田 剛造「ぐぬぬ・・・」
石田 剛造「わ、わかった」
石田 ふうか「よかったぁー! 結婚式のお料理、楽しみにしてて!」
石田 剛造「で、ふうかの結婚相手はどんな奴なんじゃ?」

〇空
「えぇーっ!!」

〇昔ながらの一軒家

〇実家の居間
石田 剛造「できたてホヤホヤ、わしの入れ歯ちゃんじゃ」
石田 剛造「ほれ、カポッとな」
石田 ふうか「カッコいいよおじいちゃん!」
清水 涼太「最初は柔らかいものから、 じょじょに慣らしていきましょう」
石田 剛造「わかった!じゃ、さっそく」
石田 剛造「いっただっきまーす!!」
清水 涼太「ちょっ、おじいさ──」
石田 ふうか「今、歯が光った・・・?」
石田 剛造「リンゴまるかじり!最高じゃの〜」
清水 涼太「ウソだろ・・・」
石田 剛造「ごちそうさま!なんだか若返った気分じゃ〜」
石田 ふうか「ふふ、最初はあんなに嫌がってたのに」
石田 ふうか「涼太くんのおかげだよ、ありがとね!」
清水 涼太「お・・・おう!」

〇おしゃれなリビングダイニング
石田 たか子「お義父さん、できましたよー」
石田 剛造「たか子さん、お邪魔してすまんのぉ」
石田 剛造「いっただっきまーす!!」
石田 たか子「それ、しじみの殻!」
石田 剛造「ん?美味いぞぉ〜?」

〇ファミリーレストランの店内
石田 剛造「この肉にする!」
ステーキハウスの店員「メチャ厚リブローススペシャルね、 センキュー!!」
石田 剛一「こんな分厚い肉、大丈夫かぁ?」
石田 剛造「ガッハッハ、わしの入れ歯をナメるなよ!」
ステーキハウスの店員「エンジョーイ!」
石田 剛造「いっただっきまーす!!」
石田 剛造「ジューシー!!」
石田 剛造「お?」
石田 剛一「フォークが・・・折れてる!!」
石田 剛造「入れ歯の力、思い知ったか!」

〇幻想2
石田 剛造「何でも噛んで食べられる、 わしゃ幸せじゃ〜!!」

〇可愛い結婚式場

〇結婚式場のレストラン
司会者「それではしばしのご歓談をお楽しみください」
石田 剛造「ガッハッハ、どれも美味美味!」
石田 たか子「お義父さん、すごい食べっぷりで」
石田 剛一「えー、わたくしは新婦の父、石田剛一で ございまして・・・」
石田 剛一「本日という日を迎えられましたのは皆さまのおかげでございまして・・・えー」
石田 たか子「挨拶の練習もいいけど、少しは食べたらー?」
石田 剛一「だって!こんな大勢の前で粗相する訳にいかないだろ」
石田 剛一「娘のふうかは昔からおじいちゃんっ子でして・・・なんか違うか?えーと・・・」
ウェイター「失礼いたします。 パンのお代わりはいかがでしょうか?」
石田 たか子「あら、じゃあ私はこれを」
石田 剛造「おっ、わしもわしも!」
ウェイター「よろしければ、こちらのパンも柔らかくて おすすめですよ」
石田 剛造「柔らかい?フフン・・・」
石田 剛造「おにいさん、年寄りをナメちゃあいかん」
石田 剛造「わしゃ、なんでも噛んで食べられる男!!」

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コメント

  • なんでしょう!✨☺️読んでいて爽快といいますか、気持ち良さがあるお話だなと感じました✨☺️

    パクパクと次々に食べたくなるような…って食べるシーンが多いのもありますが、テンポがとても良いからでしょうかね✨正にコミカル!作者コメントの狙い通りという感じがありますね✨👍

    面白かったです✨😆

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