第17話 ヒューゴの断罪(脚本)
〇VR施設のロビー
【オズワルド】「実行マデ 残リ十五分」
アドルフ・フォスター大佐「──で?」
アドルフ・フォスター大佐「【メイナード】を止めて勝ったつもりか?」
キース・フォスター「あんたに後ろ盾はない」
キース・フォスター「大人しくコンソールを明け渡すんだ」
キース・フォスター「【オズワルド】を──停止する」
アドルフ・フォスター大佐「・・・ふふ」
アドルフ・フォスター大佐「はーはっはっはっはっ!!」
キース・フォスター「気でも触れたか?」
アドルフ・フォスター大佐「腐っても軍人だ」
アドルフ・フォスター大佐「赤子には負けねェよ」
キース・フォスター(一瞬で懐に──!?)
キース・フォスター「ぐっ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「お怪我は?」
キース・フォスター「問題ない」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分が相手になりましょう」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんは隙を見てコンソールに」
キース・フォスター「了解だ」
アドルフ・フォスター大佐「舐められたもんだな」
アドルフ・フォスター大佐「五体満足でも俺には敵わないと思うがねェ」
霧生華清(きりゅうかせい)「アドルフさんこそ甘く見過ぎです」
霧生華清(きりゅうかせい)「一人じゃ敵わなくとも」
霧生華清(きりゅうかせい)「二人なら勝機はあります」
アドルフ・フォスター大佐「ぐっ! 押さえ込むつもりか!」
アドルフ・フォスター大佐「東洋人は誰でも馬鹿力なのかねェ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「鍛練の賜物です」
アドルフ・フォスター大佐「イヤな響きだ」
キース・フォスター「こいつが──コンソール」
アドルフ・フォスター大佐「よそ見するな、って教えなかったか?」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん、避けて!」
キース・フォスター「無茶だッ!」
アドルフ・フォスター大佐「詰めが甘いねェ」
キース・フォスター「まだ隠し持っていたか」
アドルフ・フォスター大佐「武器ってのは隠し持ってナンボだよ」
アドルフ・フォスター大佐「おっと、動かないでくれよ?」
アドルフ・フォスター大佐「どうせならパーティーの始まりを見届けてェだろう?」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・キースさん」
霧生華清(きりゅうかせい)「必ず【オズワルド】を止めてください」
キース・フォスター「何をするつもりだ、先生!」
霧生華清(きりゅうかせい)「そして必ず──自分を助けてください」
キース・フォスター「先生!」
霧生華清(きりゅうかせい)「ぐっ!」
アドルフ・フォスター大佐「もう少し頭を使ってくれないかねェ」
アドルフ・フォスター大佐「あばよ、坊主」
アドルフ・フォスター大佐「最期に遺言くらいは聞いてやるぜ?」
キース・フォスター「アドルフ・・・」
〇黒
「──すまなかった」
〇VR施設のロビー
アドルフ・フォスター大佐「この期に及んで、何を・・・」
キース・フォスター「あんたはずっと苦しんでいた」
キース・フォスター「初めて会った、あの日から」
キース・フォスター「それが何なのかわからなかったが」
キース・フォスター「今ならわかる」
アドルフ・フォスター大佐「何を言って──」
キース・フォスター「仇と共に過ごす時間は辛かっただろう?」
キース・フォスター「俺がいなければ、あんたが復讐に 取り憑かれることはなかった」
キース・フォスター「あんたが弟を失うことも」
キース・フォスター「俺の家族を殺すことも」
キース・フォスター「遺物を追い求めることもなかった」
キース・フォスター「こんな馬鹿げた計画を企てることもなかった」
キース・フォスター「俺が──元凶だ」
アドルフ・フォスター大佐「今さらイイ子ぶって命乞いしたって無駄だよ」
キース・フォスター「命乞い、ね」
キース・フォスター「そうかもな」
キース・フォスター「だが、俺はイイ子じゃないよ」
キース・フォスター「あんたを狂わせた──親不孝者だ」
アドルフ・フォスター大佐「・・・子供ヅラするんじゃねェ」
キース・フォスター「あんたがそれを言うのか」
キース・フォスター「俺は──」
〇暖炉のある小屋
アドルフ・フォスター少佐「今日から坊主はフォスターだ」
アドルフ・フォスター少佐「俺とお揃い」
アドルフ・フォスター少佐「嬉しいねェ?」
俺は──あんたに引き取られて安心したんだ
ひとりじゃない、ってな
〇VR施設のロビー
アドルフ・フォスター大佐「その気持ちは・・・紛い物だよ」
アドルフ・フォスター大佐「俺はお前の仇でしかない」
アドルフ・フォスター大佐「『パラディスの悲劇』さえなければ」
アドルフ・フォスター大佐「お前を引き取ることもなかった」
アドルフ・フォスター大佐「ただの家族ごっこ」
アドルフ・フォスター大佐「刷り込み(インプリンティング)だ」
キース・フォスター「そうかもな」
キース・フォスター「あんたは俺の家族を奪った」
キース・フォスター「殺したいほど憎いよ」
キース・フォスター「だがね」
キース・フォスター「同じくらい──愛しいんだ」
キース・フォスター「なぁ、アドルフ」
キース・フォスター「この島ごと滅びようだなんて」
キース・フォスター「寂しいこと言わないでくれよ」
キース・フォスター「これ以上俺から大事なものを奪わないでほしい」
キース・フォスター「頼むよ」
アドルフ・フォスター大佐「お前の頼みなんて聞く道理は・・・ねェよ」
霧生華清(きりゅうかせい)「キース、さんッ・・・!」
キース・フォスター「すまない、先生」
キース・フォスター「心残りがあるんだ」
キース・フォスター「出来の悪い生徒を許してほしい」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・許しません」
霧生華清(きりゅうかせい)「許しません、絶対に!」
キース・フォスター「はは、そりゃ参った」
キース・フォスター「俺が倒れたら身体ごとコンソールに投げるんだ」
キース・フォスター「そいつで【オズワルド】は──止まる」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・待ってください」
アドルフ・フォスター大佐「・・・ふぅ」
霧生華清(きりゅうかせい)「待って──!」
〇黒
「アイクッ!!」
〇VR施設のロビー
【オズワルド】「重大ナ エラー ヲ 検知シマシタ」
【オズワルド】「セーフティモード ヘト 切リ替エマス」
キース・フォスター「アドルフ、あんたは・・・」
アドルフ・フォスター大佐「もう、引き返せない」
アドルフ・フォスター大佐「進めるもんなら進んでみな」
アドルフ・フォスター大佐「こいつは復讐を諦めたお前への──罰だよ」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん」
霧生華清(きりゅうかせい)「早く【オズワルド】を止めましょう」
霧生華清(きりゅうかせい)「話はそれからです」
キース・フォスター「・・・ああ」
キース・フォスター「小言なら、いくらでも聞くつもりだよ」
キース・フォスター「【オズワルド】、停止だ」
【オズワルド】「セーフティモード デハ 操作 ヲ 受ケ付ケマセン」
キース・フォスター「何だって!?」
【オズワルド】「実行マデ 残リ十分」
アドルフ・フォスター大佐「この島の行く末は神のみぞ知る」
アドルフ・フォスター大佐「この試練、乗り越えられるか?」
キース・フォスター「アドルフ、あんた──!」
霧生華清(きりゅうかせい)「話は後です!」
キース・フォスター「あ、ああ!」
キース・フォスター「【メイナード】!」
キース・フォスター「【オズワルド】を破壊しろ!」
【メイナード】「対象範囲外デス」
キース・フォスター「何・・・!?」
アドルフ・フォスター大佐「届くわけねェ」
〇空
「奴さんは──」
〇宇宙ステーション
「──遥か空の上だよ」
〇VR施設のロビー
霧生華清(きりゅうかせい)「空の上・・・!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「いえ、まだです」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】!」
キース・フォスター「先生、何のつもりだ!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「宇宙(そら)に飛びます」
キース・フォスター「無茶だ! 届きっこない!」
霧生華清(きりゅうかせい)「手動なら届くかもしれません」
キース・フォスター「待てッ! むやみに動くなッ!」
キース・フォスター「何か! 何か方法があるはずだ!」
キース・フォスター「教えてくれ、Mr.キース」
キース・フォスター「──ダッド・・・!」
〇VR施設のロビー
ゲイル・カーター「これが──気象干渉装置【オズワルド】」
ふむ、人為的に気象操作が可能な遺物か
お偉方の官邸に雪でも降らせてみようか?
凶兆を感じ取ってくれるかもしれない
ゲイル・カーター「それは無理な要望だよ、Mr.キース」
ゲイル・カーター「遺物は依存関係にある」
ゲイル・カーター「【メイナード】が【ケイラ】を利用して いるように」
ゲイル・カーター「【オズワルド】もまた未来演算を他の 遺物に委ねている」
ゲイル・カーター「試しにやってみると──」
〇VR施設のロビー
キース・フォスター「ぐああっ!」
アドルフ・フォスター大佐「やめておけ」
アドルフ・フォスター大佐「脳が焼き切れるぜ?」
キース・フォスター「はあ・・・はあ・・・」
キース・フォスター「・・・構わない」
キース・フォスター「それが【ヒューゴ】の断罪だと言うのなら」
アドルフ・フォスター大佐「・・・相変わらず言うこと一つ聞いてくれないねェ」
アドルフ・フォスター大佐「困った奴だよ、お前は」
キース・フォスター「ぐうっ!」
〇VR施設のロビー
【オズワルド】「エラー」
【オズワルド】「生態系ヘノ 悪影響ガ 認メラレマシタ」
ゲイル・カーター「ほらね」
あくまでも生態系の保護が目的、か
これでは戦争を止められない
阻害している遺物を止めるか?
ゲイル・カーター「いや、問題ない」
ゲイル・カーター「これが先人たちの積み重ねてきたもの なのだとしたら」
ゲイル・カーター「必ずより良い世界にしてくれる」
ゲイル・カーター「【オズワルド】の裁定に委ねよう」
ゲイル・カーター「人類の行く末を──」
〇VR施設のロビー
キース・フォスター「・・・見えた」
キース・フォスター「先生ッ! こいつを受け取れッ!」
アドルフ・フォスター大佐「そいつは俺の──!」
キース・フォスター「これは【オズワルド】の裁定じゃないッ!」
キース・フォスター「【オズワルド】の裁定とは未来演算に よる統計的選択!」
キース・フォスター「【ウィルフレッド】の審判だ!」
キース・フォスター「【ウィルフレッド】さえ起動すれば」
キース・フォスター「未来演算が正常に行われ──」
キース・フォスター「【オズワルド】は最善の道を辿る!」
〇空
霧生華清(きりゅうかせい)「しかと受け止めました!」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】!」
〇VR施設のロビー
【オズワルド】「実行マデ 残リ一分」
キース・フォスター「先生、頼んだぞ・・・!」
〇未来の店
〇VR施設のロビー
【オズワルド】「実行シマス──」
キース・フォスター「先生ッ・・・!」
【オズワルド】「【ウィルフレッド】ノ 起動ヲ 確認シマシタ」
【オズワルド】「設定値ヲ 再計算シマス」
キース・フォスター「やった、のか・・・?」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんッ!」
キース・フォスター「成し遂げたな・・・先生」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんと共にいたからです」
霧生華清(きりゅうかせい)「ありがとうございます」
キース・フォスター「礼には及ばないさ」
キース・フォスター「先生の行動力が──」
【オズワルド】「再計算ガ 完了シマシタ」
【オズワルド】「【オズワルド】 実行シマス」
キース・フォスター「な・・・に・・・!?」
〇宇宙ステーション
〇VR施設のロビー
【オズワルド】「指定区域カラ 避難シテクダサイ」
アドルフ・フォスター大佐「始まったな」
キース・フォスター「どういうことだ、アドルフ!!」
キース・フォスター「【ウィルフレッド】を起動したのに──」
キース・フォスター「何故【オズワルド】が起動する!?」
アドルフ・フォスター大佐「履き違えるな」
アドルフ・フォスター大佐「【ウィルフレッド】は【オズワルド】の 未来演算に用いられるだけ」
アドルフ・フォスター大佐「裁定自体は下される」
キース・フォスター「何だとッ・・・!?」
アドルフ・フォスター大佐「俺たちは人類の命運を託すしかねェのさ」
アドルフ・フォスター大佐「ヒトがつくった神の力へと──」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん!」
霧生華清(きりゅうかせい)「ここはもう崩れます!」
霧生華清(きりゅうかせい)「乗ってください!」
霧生華清(きりゅうかせい)「他の方は全員乗せました!」
キース・フォスター「あ、ああ!」
キース・フォスター「あんたも来るんだよ!!」
アドルフ・フォスター大佐「生き延びたところで極刑だよ」
アドルフ・フォスター大佐「だったら──」
キース・フォスター「うるさい」
キース・フォスター「一人だけ生き延びてフォスター家を 名乗るなんて御免だよ」
アドルフ・フォスター大佐「お前って奴は・・・」
キース・フォスター「それとタバコはやめてくれ」
キース・フォスター「俺はそいつが嫌いなんだ」
アドルフ・フォスター大佐「ンなこと、知ってるよ」
〇空
キース・フォスター「あの方角は──」
〇原っぱ
〇魔物の巣窟
〇空
キース・フォスター「あそこは・・・永年樹!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「【エルヴィス】が・・・あそこには──!」
霧生華清(きりゅうかせい)「また・・・!」
キース・フォスター「まさか──」
〇雪山
〇秘密基地の中枢
〇空
キース・フォスター「アステル山が、崩れる・・・!」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】が・・・!」
キース・フォスター「まさか【オズワルド】の目的は──」
霧生華清(きりゅうかせい)「は、早く降りなければ!」
キース・フォスター「いや、コンソールの接続範囲外だ」
キース・フォスター「【メイナード】が墜落するおそれはない」
霧生華清(きりゅうかせい)「で、ですが──!」
キース・フォスター「・・・鳴り止んだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「これで終わり・・・ですか?」
キース・フォスター「いや──数が合わない」
霧生華清(きりゅうかせい)「え?」
キース・フォスター「【ルーカス】を除いて遺物は9つ」
キース・フォスター「対する落雷は8回」
霧生華清(きりゅうかせい)「落ちていない場所がある・・・?」
キース・フォスター「遺物の破壊が目的なら何故豪雨が 止まらない?」
キース・フォスター「いや待て」
キース・フォスター「【オズワルド】がマニュアルモードで 実行される前から」
キース・フォスター「天気は荒れていた」
キース・フォスター「そうだ、【オズワルド】はパラディス島の 特異な自然環境をずっと維持していた」
キース・フォスター「ずっと動いて──」
キース・フォスター「──だ」
霧生華清(きりゅうかせい)「え?」
キース・フォスター「先生、今すぐ向かってほしいところがある」
〇黒
「【ウィルフレッド】は人類にとって より良い選択をした」
「それが遺物の破棄」
「だが、遺物はまだ残っている」
「そいつはつまり人類にとって必要だということ」
「ひとつは、この【メイナード】本体」
「そして、もうひとつは──」
〇謎の施設の中枢
【マヤ】「【マヤ】──起動シマス」
キース・フォスター「遺物は星のエネルギーを利用している」
キース・フォスター「【オズワルド】も例外じゃない」
キース・フォスター「ここで遺物を使い警報が鳴ったように──」
霧生華清(きりゅうかせい)「【オズワルド】はエネルギーの限界だった」
霧生華清(きりゅうかせい)「だから、よりエネルギー効率の良い遺物を使うことにした」
霧生華清(きりゅうかせい)「人類の未来のために──」
キース・フォスター「そう、それが──無限浄水機構【マヤ】」
〇島
「豪雨が続けばダムが決壊する」
「津波が来れば街は沈む」
「だが【マヤ】には──排水機能がある」
「島中に根を張り、水害を阻止する」
「それこそが【オズワルド】の裁定──」
「いや、先人たちが導き出した結論だ」
「過ぎた技術は要らない」
「最低限の技術を有効活用するのさ」
〇謎の施設の中枢
【マヤ】「排水開始シマス」
【メイナード】「エネルギー 残リ 十パーセント」
【メイナード】「タダチニ 充電ドック ニ 接続 シテクダサイ」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】の帰る場所はない」
霧生華清(きりゅうかせい)「これで【メイナード】も──機能停止」
霧生華清(きりゅうかせい)「他の方を降ろしてきて正解でした」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・うまくいくでしょうか?」
キース・フォスター「あとは神のみぞ知る・・・いや」
キース・フォスター「ヒトのみぞ知る、だな」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん?」
キース・フォスター「外に出よう」
〇洞窟の入口(看板無し)
キース・フォスター「天を貫かんとする 汝の業に祝福を」
キース・フォスター「【オズワルド】という天災をも操る遺物」
キース・フォスター「そいつを創り出した人間の業は深い」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですが、天はヒトを見放さなかった」
霧生華清(きりゅうかせい)「【マヤ】を遺してくれました」
キース・フォスター「マッチポンプかもしれないがね」
キース・フォスター「ヒトが試練を乗り越えた時」
キース・フォスター「祝福の声が鳴り響くことだろう」
キース・フォスター「さあ、行こう」
キース・フォスター「『帰る場所』へと──」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・キースさん」
霧生華清(きりゅうかせい)「もう、隠さなくていいです」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんの身体に異常があることは 知っています」
霧生華清(きりゅうかせい)「【オズワルド】を止めるために無茶をしたことも」
霧生華清(きりゅうかせい)「早く病院へ向かいましょう」
キース・フォスター「・・・敵わないな」
キース・フォスター「だがね、先生」
キース・フォスター「無茶をしてでも守りたいものがあったんだ」
キース・フォスター「そう責めないでくれ」
霧生華清(きりゅうかせい)「わかっています」
霧生華清(きりゅうかせい)「この島もアドルフさんも」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんの『帰る場所』」
霧生華清(きりゅうかせい)「守りたいと願うのは至極当然」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですが──」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんにだけ辛いことを押しつけてしまったことが」
霧生華清(きりゅうかせい)「悔しいんです」
キース・フォスター「違うよ、先生」
キース・フォスター「俺はずっと先生に支えられてきた」
キース・フォスター「さっきだってそうだ」
キース・フォスター「先生が隣にいなければ、今頃俺は・・・」
キース・フォスター「ありがとう、先生」
キース・フォスター「今まで寄り添ってくれて」
霧生華清(きりゅうかせい)「それは、自分のほうこそ・・・」
キース・フォスター「それにね、先生」
キース・フォスター「俺が一番守りたかったものは──」
キース・フォスター「あ・・・がッ・・・!」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん・・・?」
〇空
「アイクッ!」