渋谷ギャル! ハチ公の犬に!(脚本)
〇ハチ公前
渋谷治安維持エージェント候補
一人目、高峰 凛
万年金欠ギャル
ハチ「渋谷の治安維持のために 手始めに彼女を──」
ハチ「エージェントに調教する」
ハチ「ワンッ!」
〇ハチ公前
高峰 凛「あ~あ あのバック欲しかったなぁ~」
高峰 凛「こういう時 金持ちの彼氏がいれば買ってくれるのに」
友人ギャル「読モの仕事でもらった お金はどうしたの?」
高峰 凛「そんなのネイルとコスメで使い切ったって」
友人ギャル「もっと計画持って使いなよぉ」
彼氏君
友人ギャル「あ、彼氏君! うん、今ハチ公前」
友人ギャル「彼氏君 駅着いたみたいだから行くね じゃねぇ」
高峰 凛「んだよ。 自分だけ金持ちイケメンの彼氏GET しやがって」
高峰 凛「あー バック欲しい!!」
〇ハチ公前
高峰 凛「はぁあ・・・・・・」
通行人「──」
通行人「──」
高峰 凛「な、なにこれ・・・・・・ 音が聴こえない」
高峰 凛「どどどどどどうなってんの!?」
「ここは現実と切り離された 僕と君だけの空間」
「だから、音も出入らない。 ワンッ!」
高峰 凛「うわ! 誰!?」
ハチ「僕はハチ」
ハチ「君達が待ち合わせに使っている ハチ公像のいわば化身って奴だ ワンッ!」
高峰 凛「・・・・・・」
さわさわ
もふもふ
ぶにっ
高峰 凛「なんだコレ? 喋るぬいぐるみ・・・・・・?」
ハチ「やめるワンッ!」
ハチ「僕はぬいぐるみじゃない。 化身、ハチそのものだワンッ!」
高峰 凛「それで、そのハチがアタシになんのよう? はやく帰して欲しいんだけど」
高峰 凛「アタシはどうにかしてバックを 手に入れなきゃいけないんだから」
ハチ「そのバックは僕が君にプレゼントする ワンッ!」
高峰 凛「えええええ! マジで!?」
ハチ「ただし、 この渋谷で正義の行いを5回するワン」
ハチ「そしたらバックをプレゼントするワンッ!」
高峰 凛「やったー!! バックGET!!!!」
ハチ「話聞いてるかワン?」
高峰 凛「聞いてる聞いてる」
ハチ「本当かワン・・・・・・」
ハチ「期限は今日中だワン! 頑張るワンね」
〇ハチ公前
高峰 凛「うお! 音が戻った。 なんかうるさく感じるわー」
高峰 凛「そう言えば、 ハチがアタシをなんたらの世界に 呼んだのってなんのためだったんだ?」
高峰 凛「アタシに良い事をさせるため?」
高峰 凛「ま、いいやバック貰えるなら さっそくバックを手に入れる為に 良い事するぞ!!」
〇センター街
高峰 凛「とは、言ったものの・・・・・・ 別に悪いことしてる奴も 事件も起きてないなぁ」
高峰 凛「あ!」
〇薬局の店内
高峰 凛「このコスメ超安いじゃん これは買うしかないな!!」
高峰 凛「あれ? あいつって確か・・・・・・ 3組の川田愛花だっけ?」
川田 愛花「・・・・・・」
高峰 凛「何してんだ? あんなにきょろきょろして・・・・・・」
高峰 凛「あいつ、まさか!」
川田 愛花「・・・・・・」
高峰 凛「・・・・・・ちょっと待った。 お前、3組の川田愛花だよな?」
川田 愛花「!!!! 高峰さん・・・・・・」
高峰 凛「万引きなんて つまんないことやめときな」
川田 愛花「・・・・・・」
高峰 凛「お、おい! なんだよ、あいつ」
高峰 凛「あ! そこポイ捨てすんな!!」
〇渋谷駅前
高峰 凛「街中で喧嘩するな!」
〇モヤイ像
高峰 凛「路上喫煙禁止!!!!」
〇SHIBUYA109
高峰 凛「あと1つ~ あっと1つ~♪」
川田 愛花「・・・・・・」
高峰 凛「あー! あいつ!!!」
高峰 凛「おい、川田!!!」
高峰 凛「お前、さっきは話の途中で逃げやがって!」
川田 愛花「・・・・・・」
高峰 凛「なんとか言ったらどうなんだ?」
高峰 凛「お、おいどうした?」
高峰 凛「お前、その顔の痣どうしたんだ!?」
川田 愛花「あなたのせいで・・・・・・ あなたのせいで私は殴られたの!」
川田 愛花「高峰さんが、 あの時止めなければ、私は・・・・・・」
高峰 凛「どういうことだ?」
川田 愛花「私、やらされたの・・・・・・ 万引きして来いって、 そしたらもういじめないって言われて」
川田 愛花「一回の罪で辛い日々から 解放されるなら私は・・・・・・」
高峰 凛「そんなこと命令する奴らが そんな約束守ると思うか?」
川田 愛花「・・・・・・」
高峰 凛「アタシが止めてなかったら お前は、きっと後悔してたと思う」
川田 愛花「う、うぅう」
高峰 凛「よし、じゃあ行くか」
川田 愛花「・・・・・・え? どこに?」
高峰 凛「もちろん、その命令した奴らのとこ アタシがぶっ飛ばしてやるから」
川田 愛花「え、駄目だよ 高峰さんが目を付けられちゃうよ」
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ギャルの女の子が派手な見た目と裏腹にめちゃくちゃまっすぐで性格がよくて、そのギャップがまた最高でした。彼女自身もバッグほしさにはじめたはずが、最後には善い行いをすることは自分も幸せにすると気づいたようですね。気分爽快な話でした。
主人公の女の子が明るく、(自分の欲にも正義にも)まっすぐなところが読んでいて気持ちがよかったです。リズムよく場面が切り替わっていくところも読みやすかったです。
動機はバッグが欲しいと言う欲からなのに最後には確りと善行を施すエージェント。凜をエージェントに調教したハチ様さすがです。