読切(脚本)
〇高い屋上
アキ(僕なんて生きてる意味ないよね)
アキ「このまま飛び降りよ」
アキ「バイバイ、皆」
「ちょ~っと待った〜ぁ!!!」
アキ「なに?」
ヤマト「飛び降りようとしてる?」
アキ「いや、夕焼けを見てるだけだよ」
ヤマト「ウソだね」
アキ「どうして、そう思うんだい?」
ヤマト「だって、さっき『飛び降りよう』って言ってたじゃん!」
アキ「止めてもムダだよ」
ヤマト「誰も止めるなんて言ってないよ」
アキ「じゃぁ、なに?」
アキ「僕の飛び降りる所でも見ておくの?」
ヤマト「いや、僕も一緒に飛び降りよかなって」
アキ「な、なんで!?」
ヤマト「1人で行くより2人で行くほうがいいかなって」
アキ「フンッ好きにすれば」
ヤマト「君はどうして飛び降りるの?」
アキ「君には関係ない」
ヤマト「別にいいじゃん!死ぬんだし」
アキ「疲れたんだよ」
ヤマト「何に?」
アキ「僕の人生に」
ヤマト「・・・」
ヤマト「そうなんだ」
アキ「もぅいいだろ!」
ヤマト「君には、家族はいる?」
アキ「君にだっているだろ」
ヤマト「僕にはね、家族がいないんだ」
ヤマト「小さい頃に2人共亡くなったんだ」
ヤマト「だから、そろそろ会いに行こうかな?って」
アキ「なんか、ごめん」
ヤマト「別にいいよ」
ヤマト「さぁ、一緒に飛び降りるよ」
ヤマト「あっ!!」
アキ「今度は何!」
ヤマト「見たいテレビがあったんだ!」
ヤマト「飛び降りるの今度にしない?」
アキ「はぁ?」
アキ「もぅ、いい!」
アキ「飛び降りるのやめる」
ヤマト「じゃぁ、また今度」
アキ「何だよ、アイツ」
アキ「変なの」
アキ「ここからは飛び降りるのバカバカしくなってきた」
アキ「ありがとう、何だかスッキリしたよ」
〇屋上の入口
「ありがとう、何かスッキリしたよ」
ヤマト「──」
ヤマト「一件落着っと」
ヤマト「さぁ、急いで帰ろう!」