番外編② パラディスの悲劇(脚本)
〇レンガ造りの家
カーターさん
本当に何も知らない、と?
ゲイル・カーター「何度言われても知らないものは知らない」
ゲイル・カーター「確かに超古代文明の遺物を調べていたが」
ゲイル・カーター「結局、何も見つからなかったよ」
ゲイル・カーター「『パラディスの悲劇』は天災だ」
ゲイル・カーター「東洋人の仕業だとする陰謀論はあるが」
ゲイル・カーター「人為的な事故じゃない」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)という人物に心当たりは?
ゲイル・カーター「ああ、Mr.キースね」
ゲイル・カーター「知ってるよ」
ゲイル・カーター「戦時中、息子たちが世話になったからね」
調査内容をお見せいただいても?
ゲイル・カーター「構わない」
ゲイル・カーター「どんどん見てくれ!」
〇屋敷の書斎
古代パラディス文明に関する調査
確かに調査に進展はない
だが、何故途中で断念した?
日記?
〇VR施設のロビー
1960年8月31日
【オズワルド】「自動モード ニ 移行シマス」
【オズワルド】「対象エリア パラディス島周辺海域」
【オズワルド】「シミュレーション 開始シマス」
【オズワルド】「シミュレーション 完了シマシタ」
【オズワルド】「自動モード ニヨル 救助人口 推定四万人」
【オズワルド】「実行シマスカ?」
はい
▶いいえ
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「長い道のりだった」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「ありがとう、ゲイル」
ゲイル・カーター「こちらの台詞だ、Mr.キース」
ゲイル・カーター「ようやくパラング戦争が終わる」
ゲイル・カーター「貴方は最高のパートナーだよ」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「ああ、君もまた私の最高の相棒だ」
ゲイル・カーター「フフ」
ゲイル・カーター「【オズワルド】、この国に平穏を!」
▶はい
いいえ
【オズワルド】「自動モード 開始シマス」
〇島
〇島
〇島
パラディス島周辺に突如として積乱雲が発生!
それに伴い、局所的豪雨、竜巻、津波が
押し寄せています!
至急、高台に避難してください!
〇島の家
〇堤防
アドルフ・フォスター少佐「こいつは・・・!」
アドルフ・フォスター少佐「こいつは──マズい!」
アドルフ・フォスター少佐「こちらアドルフ・フォスター!」
アドルフ・フォスター少佐「パラディス沖に巨大な竜巻を観測!」
アドルフ・フォスター少佐「それに伴う津波も観測!」
アドルフ・フォスター少佐「沖合の軍艦を帰島させることを提案します!」
〇大会議室
ルイス・メイヤーズ司令官「ならん!」
ルイス・メイヤーズ司令官「彼らは国のため戦いへ赴いたのだ」
ルイス・メイヤーズ司令官「自然災害に臆したとなれば──」
ルイス・メイヤーズ司令官「パラディス国軍の沽券に関わる!」
ルイス・メイヤーズ司令官「何があっても任務を遂行するのだ!」
〇堤防
アドルフ・フォスター少佐「司令官? メイヤーズ司令官!」
アドルフ・フォスター少佐「クソッタレが!」
アドルフ・フォスター少佐「こちらアドルフ・フォスター!」
アドルフ・フォスター少佐「応答せよ!」
アドルフ・フォスター少佐「応答せよ──ダニー!」
〇漁船の上
──せ──ル──!
ダニエル・フォスター「こちらダニエル・フォスター!」
ダニエル・フォスター「応答せよ! 応答せよ!」
ダニエル・フォスター「くっ!」
ケイレブ・スペンサー少佐「何だこの豪雨は!」
パラディス国軍「船が沈む!」
ケイレブ・スペンサー少佐「各員、救命胴衣を身に着けろ!」
パラディス国軍「ダメです! 全て流されました!」
ケイレブ・スペンサー少佐「終い、か」
ケイレブ・スペンサー少佐「これは?」
ダニエル・フォスター「常に身につけていました」
ダニエル・フォスター「スペンサー少佐、せめて貴方だけでも」
ケイレブ・スペンサー少佐「だが──!」
ダニエル・フォスター「早く!」
〇堤防
うわああああああああ!!
アドルフ・フォスター少佐「ダニー!」
アドルフ・フォスター少佐「ダニエル!」
アドルフ・フォスター少佐「なんてこった!」
アドルフ・フォスター少佐「・・・戦線は壊滅」
アドルフ・フォスター少佐「俺たちは・・・負けた」
ジェニー・スペンサー「貴方! 貴方ー!」
アドルフ・フォスター少佐「ジェニー! そんなところにいたら──!」
〇堤防
「きゃあああああああ!!」
〇VR施設のロビー
ゲイル・カーター「・・・・・・!」
ゲイル・カーター「何だ、これは・・・?」
【オズワルド】「推定被害人口一万人」
【オズワルド】「約四万人ノ 人命ガ 助カリマシタ」
ゲイル・カーター「そんなことを聞いているわけではないッ!」
ゲイル・カーター「僕の・・・僕が、一万人──殺した?」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「ゲイル、君だけの責任ではない」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「これは私たちの罪だ」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「守るべきものを選び取り」
紀伊州接吉(きいすつぐよし)「先人と同じ過ちを繰り返してしまった私たちの──」
〇屋敷の書斎
【オズワルド】の裁定は下された
もう・・・耐えられない
私は──どうすれば良かったのだろうか
ようやく・・・ようやく見つけた
〇黒
──標(しるべ)を
4万人の命を救えても、1万人が犠牲になる悲劇は受け止められませんね😥
以前に永遠の命を与えられて姿形が変化した人々が出てきましたが、遺物は何でも願いを叶えられる万能なものではないのだなと確信しました…
死にたくない、も
多くの人々を救いたい、も
死んだ人に会いたい、も程度が過ぎれば身を滅ぼしますよね😓
クライマックスに近づいていますがさらに面白さが加速していてワクワクします!