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野田ノゾム

第6話 『京都で迷子になっちゃった!』(脚本)

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〇新幹線の座席
  新幹線・車内
  「修学旅行のしおり」を見ながら
  騒いでいる学生たち。
  楽しそうな彼らをよそに、
  愛は一人でうつむいていた。
三沢愛「究太郎君にあんな過去があったなんて」

〇生徒会室
伊東ひろみ「究太郎のお兄様は、高校生スーパークイズ選手権決勝の日に亡くなったの」

〇新幹線の座席
三沢愛「・・・私、何も知らなかった」
  立ち上がって究太郎の座席へ行く。
  究太郎は観光ガイドブックを広げたまま、窓の外を眺めていた。
三沢愛「あのね・・・お兄さんのこと、 ひろみさんから聞いた」
本田究太郎「そうか・・・」
三沢愛「究太郎君のためにできることはない?」
本田究太郎「問題。フランスでは狼、イギリスでは猿、日本では狐を当てはめると同じ意味になる慣用句は?」
三沢愛「え?」
本田究太郎「君も成長しているようだし、 今回はヒントなしでどうだ?」

〇銀閣寺
  銀閣寺
三沢愛「またクイズ・・・」
三沢愛「でも究太郎君のことだから、 あの問題の答えにも 何かメッセージがあるはず」
三沢愛「フランスでは狼、イギリスでは猿。 日本では──って痛っ!」
  前に立っていた外国人にぶつかって
  尻もちをつく。
三沢愛「イタタ・・・」
外国人「ソーリー」
住職「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」
三沢愛「あ、はい。私のほうこそすみません」
外国人「ユーノー、モンキーウエディング?」
三沢愛「はい? モンキー? ノー、ヒューマン!」
外国人「ドューユーハブアンブレラ?」
三沢愛「え・・・何て?」
住職「さっきからこの外人さんが傘を欲しい だの、モンキーウエディングだの 言うから困ってねぇ」
住職「こんなイイ天気だっていうのに、 イギリスじゃ傘が日本土産なのかね」
三沢愛「イギリスの方なんですね」
住職「今朝、ロンドンから来たって」
  外国人は空に手をかざすと、
  慌てて去っていった。
三沢愛「どうしたんだろ?」
三沢愛「傘が欲しい・・・ モンキーウエディングか、 ちょっと調べてみよう」

〇古い図書室
  愛は観光案内所の
  スタッフに話しかけた。
三沢愛「・・・というわけなんです。ここの スタッフの方なら、外国語も話せるし、 何か知っているかもしれないと思って」
スタッフ「モンキーウエディング・・・ 猿の結婚式って、 こういう天気のことを言うのよね」
  窓の外では小雨が降り始めている。
三沢愛「え! さっきまで晴れてたのに」
スタッフ「突然降り出す雨を国によって 色んな言い方をするなんて面白いわよね」
三沢愛「! そうか・・・ありがとうございます!」

〇山の展望台(鍵無し)
  展望所にたどり着くと、
  究太郎が、街の景色を眺めていた。
三沢愛「やっぱりここだ」
本田究太郎「やっぱり?」
三沢愛「新幹線の中で観光ガイド見てたでしょ? この場所に印があったから」
本田究太郎「ふん。前よりはいい観察眼だ」
三沢愛「それより答えがわかったの。フランスでは狼、イギリスでは猿、日本では狐を 当てはめる慣用句は・・・狐の嫁入り」
三沢愛「今みたいに突然降りだす雨のことを、 世界ではいろんな動物で表現する。 イギリスではモンキーウエディング!」
本田究太郎「正解。日本では狐の嫁入りと呼ぶ」

〇山の展望台(鍵無し)
  その時、突然雷が鳴り響いた。
三沢愛「キャ!」
本田究太郎「大げさな奴だ」
三沢愛「わ、私、昔から雷が苦手なの・・・! 怖い!!」
本田究太郎「落ち着け。光ってから音が鳴るまで 時間があった。かなり距離がある」

〇山の展望台(鍵無し)
  しかし、雨は益々激しくなる。
  愛は寒さに身を震わせた。
本田究太郎「大丈夫か?」
三沢愛「大丈夫だよ、これくらい・・・クシュン」
本田究太郎「・・・・・・」
  究太郎はみかねて、
  愛の身体を抱き寄せた。
三沢愛「ちょ、な、何を──」
本田究太郎「雨が止むまでの間だけだ」
三沢愛「・・・ありがと。 究太郎君ってカッコいいところあるね」
本田究太郎「いや、俺はカッコ悪い人間だ」
本田究太郎「なのに兄貴は死んで、 俺みたいのが生き残ってしまった」
三沢愛「ねぇ。お兄さんが亡くなった日のこと、 ちゃんと教えてくれない?」
本田究太郎「・・・・・・」
三沢愛「ううん。やっぱりごめん。 話したくないなら──」
本田究太郎「あの日、兄貴がクイズ選手権に向かおうとしていた日――俺は学校から帰る途中で、赤信号に気が付かなかった」
本田究太郎「そしたら俺を助けるために、 兄貴が身代わりになって──」
三沢愛「!」
本田究太郎「兄貴はクイズ選手権に 優勝するはずだったのに」

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