第7話 『最終決戦! 恋はクイズよりも難しい?』(脚本)
〇山の展望台(鍵無し)
ひろみが愛と究太郎に詰め寄る。
三沢愛「ひ、ひろみさん? 何でここに?」
伊東ひろみ「それはこっちのセリフよ! 私、究太郎と約束してたの」
伊東ひろみ「同じ日に修学旅行だから2人で待ち合わせしようって・・・なのに何でアナタが?」
本田究太郎「クイズを出し合っていただけだ」
伊東ひろみ「究太郎は黙ってて!」
三沢愛「ひろみさん。私たちは別に──」
伊東ひろみ「ねぇ対決しましょ。アナタと私、 どちらが究太郎にふさわしいか決めるの」
三沢愛「対決・・・?」
伊東ひろみ「勝負は簡単。今から出題するクイズを、 制限時間内に正解できたらアナタの勝ちよ」
三沢愛「・・・・・・」
伊東ひろみ「ただし、負けたら二度と究太郎に 近づいてはいけない」
三沢愛「え・・・?」
伊東ひろみ「どうする? この勝負受ける?」
本田究太郎「ひろみは俺に匹敵するほどの クイズマニアだ。お前に勝ち目はない。 こんな無謀な勝負受けなくていい」
三沢愛「私・・・やる。このままこの人に バカにされたままじゃ嫌」
本田究太郎「ふん・・・好きにしろ」
そう言って究太郎は立ち去った。
伊東ひろみ「──問題」
伊東ひろみ「銀閣寺が黒塗りである理由は 3つあると言われている」
伊東ひろみ「その理由は、【塗装が落ちた】 【予算がなかった】そしてもう1つは何?」
伊東ひろみ「制限時間は15分よ。スタート!」
三沢愛「15分!?」
伊東ひろみ「早く探したほうがいいんじゃない?」
三沢愛「あー! もう・・・!」
〇林道
息を切らしながら学生たちに近寄る。
三沢愛「あ、あの! 銀閣寺ってどうして 黒色なのか知ってます?」
学生A「予算が無くなった、 ってテレビで言ってたけど」
三沢愛「その説じゃなくて。 あと、塗装が落ちたでもない説で・・・」
学生B「え、なんだっけな~」
三沢愛「お願い!」
学生B「そう言われてもなぁ」
三沢愛「ねぇ急いでるの!」
学生A「住職にでも聞いてみれば?」
三沢愛「そうか・・・! その手があった!」
究太郎は、
愛の様子を陰で見守っていた。
本田究太郎「・・・相変わらずだな」
〇神社の本殿
社務所に着くと、
既に小窓が閉じていた。
三沢愛「ウソ・・・もう閉じてるなんて──」
思わず膝から崩れ落ちる。
三沢愛「時間がない。もう無理だよ・・・無理!」
三沢愛「なんでここに・・・?」
本田究太郎「やはりその程度だったか」
三沢愛「私は・・・精一杯頑張った。 でももう限界。これ以上は無理だよ」
本田究太郎「センスのあるヤツだと思っていたが、 ただの根性ナシか。 どうせ投げ出してしまうんだろ?」
三沢愛「そんなこと言いにここに来たの?」
本田究太郎「ああ。お前はクイズを舐めている」
本田究太郎「たった一つの答えにたどり着けない 人間が、これからの人生どうやって 乗り切っていく気だ?」
三沢愛「大きなお世話よ! クイズと人生を一緒にしないでよ。 私はクイズバカの究太郎君とは違う!」
本田究太郎「同じだと思っていたのは俺だけか」
三沢愛「え・・・?」
本田究太郎「どんな難問の前でも最後まで諦めない」
本田究太郎「知恵と体力を限界まで使って問題に 取り組む・・・お前もそんな熱い魂を 持っていると思っていた」
三沢愛「・・・・・・」
本田究太郎「じゃあな」
三沢愛「待って・・・! まだ5分ある!」
本田究太郎「・・・ほう」
三沢愛「私、最後まであがいてみせるから!」
走り出す愛。
その背中を見て、
究太郎はフッと笑う。
本田究太郎「やっぱりバカなヤツだ・・・」
〇銀閣寺
三沢愛「本物を見たら何か分かるはず・・・」
周辺を探すが、
手掛かりは見つからない。
銀閣寺の周りには、
人だかりができていた。
三沢愛「なんだろ?」
人々が夕日の差し込む銀閣寺を見ている。
三沢愛「黒いはずの銀閣寺が・・・輝いてる!!」
三沢愛「そうか、わかった! だから黒塗りなんだ!」
愛は再び走り出した。
〇山の展望台(鍵無し)
三沢愛「はぁ・・・はぁ・・・ま、間に合った」
伊東ひろみ「ふん、逃げたと思ったわ。 で、答えはわかったの?」
三沢愛「どうして銀閣寺は黒塗りなのか」
三沢愛「それは・・・黒塗りでも太陽の光に 当たると輝いて見えるから!」
伊東ひろみ「・・・っ! なんで──」
三沢愛「最後に銀閣寺を見に行ったの。 そしたらちょうど夕日にあたって 銀閣寺が輝くのを見たから」
伊東ひろみ「――正解」
伊東ひろみ「負けたわ。・・・やっぱり 究太郎の横にはアナタが似合うのかもね」
三沢愛「どういう意味?」
伊東ひろみ「究太郎、 アナタの横にいるときは笑ってた」
伊東ひろみ「お兄さんが亡くなって以来初めてよ、 彼が笑ったの」
三沢愛「究太郎君が笑った・・・?」
伊東ひろみ「アナタたちが雨宿りしてるときよ」
三沢愛「・・・・・・」
ひろみが愛の手を握る。
伊東ひろみ「究太郎のそばにいてあげて。約束通り、 私は二度と究太郎に近づかないから」
三沢愛「・・・はい」
三沢愛「でも、私からも一つだけ お願いがあります」
伊東ひろみ「?」
三沢愛「ひろみさんは私にはない 知識を持ってます。 だから私のそばにいてください」
三沢愛「そしたら究太郎君のそばにも いられますよね」
伊東ひろみ「アナタ・・・」
三沢愛「これからもよろしくお願いしますねっ!」
〇屋敷の門
愛が究太郎の元に駆け寄る。
三沢愛「究太郎君! クイズに正解したの。 ひろみさんに勝った!」
本田究太郎「それくらいはお前なら当然だと思っていた」
三沢愛「え・・・?」
本田究太郎「問題。クイズという言葉の語源は?」
三沢愛「語源・・・そんなの知らないよ」
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これは凄い作品
ものすごく惹き込まれる、続きをどんどん読みたくなる。
続きが読みたくなるタイミングで話が終わるので
同じタップライターとして物凄く参考になる事ばかり
サウンドなしでなんでここまで魅力的になる?
本当に凄く面白い話だった
究太郎君のクイズでアドバイスとか、クイズで会話する
っていうのも、作者さんが凄く頭が良かったりとか
こだわりがあって本当に凄いなと思いました。